化粧品犬です。
ジュレームアミノ ダメージリペア(ディープモイスト)(2018)の解析の3回目です。
今回はトリートメント処方の詳細解析です。
リニューアルでの変更点を中心に、考えていきます。
今回も、裏面の処方を整理します。
今回は対象品のほかに、概要編でも言及した、旧製品に相当する製品(ジュレームアミノトリートメント(モイスト&スムース)(2016))の裏面も整理しました。
分かりやすいように末尾に(2016)とつけました。
原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にパート分けし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。
九通の成分は、共通欄に○印をつけました。
こんな感じになりました。
では上から見て行きましょう。
まずワックス類のパート。
セテアリルアルコールとベヘニルアルコール が使われていますが、これはトリートメントやコンディショナーでは一般的な原料です。
次はトリートメントでは最も重要なコンディショニング剤のパート。
四級カチオンと言われる、特に吸着効果の高い原料の他、吸着性の高いアミノ酸や吸着性の高いシリコン(アモジメチコン)をこのパートに分類してあります。
このパートは製品の心臓とも言える部分で、複雑に見えますが、よくみると結構簡単です。
基本的には、油性感の出しやすい、長い鎖長のカチオンであるベヘントリモニウムクロリドと、中ぐらいの鎖長のステアルトリモニウムクロリドの2種類のカチオンの組み合わせを基本とし、そこに吸着感の強い二鎖型カチオンのジステアリルジモニウムクロリドとジココジモニウムクロリドの2種類のカチオンをくみあわせたものです。
この2+2の組み合わせは最近のコーセーのトリートメントの得意技で、直近のジュレームである、ジュレームリラックス(ソフト&モイスト)(2017)でも、この基本配合は使われていました。というか。このジュレームリラックス以降、コーセーで多用されるようになったみたいです。
そこに吸着感の高い3種の塩基性アミノ酸(アルギニン、ヒスチジンリシンHCl)と、吸着感を高めたシリコンであるアモジメチコン、ヘアシャンプーにも使われているカチオン化ポリマーのポリクオタニウム-7を加えて、使用感を整えています。
なかなか豪華な布陣です(^_^;)
次は油剤のパートです。
ここも一見分かりにくいですが、旧製品と新製品を比べると、旧姓品に配合されていたシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールのような凝った油は止めて、ヤシ油、オリーブ油、スクワラン、パーム油といった、天然系であることが、わかりやすい油に絞り込んだのだなということ感じさせます。
次は防腐剤のパート。
これも防腐剤としては普通です。
しかし、旧製品と較べて安息香酸Naが増えています。
これは化粧品は防腐剤の効果を強める、可溶化剤と言われる成分が配合されていることが多いのですが、その役割をしていたPEG-8が新製品では削除されたからでしょう。防腐剤の効果を強めることができなくなったのでその代わりに防腐剤を増やして対応したわけです。安息香酸Naは水溶性が高いので、可溶化剤が無くても、比較的謀議効果が出やすい成分です。この背景には、可溶化剤として多用されてきたBGの生産が逼迫していることがあるのでしょう。
最後は保湿剤のパート。
広告通り、アミノ酸は大幅に増えていますね。
前回もエントリも書きましたが、基本的に味の素が販売しているアミノ酸のミックス液に、他社のアミノ酸(誘導体)をちょい足ししているようです。
ちょい足ししているのは、アセチルグルタミン、アセチルグルタミン酸、アセチルヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、グリシルグリシンです。詳しくは前回のエントリを見てください。
アミノ酸が増えた反面、アルゲエキス(海藻エキス)やマコンブエキスといった海藻系のエキスやハイビスカス花エキスなどが減っています。
このあたりはジュレーム「アミノ」のコンセプトが明確になって良かったんじゃ無いでしょうか。
簡単ですが今回はこれで終わりです。
ジュレームアミノ2018とジュレームリラックス2017は兄弟的な製品だということが明らかになりました(^_^;)
良い鋳物は良いという点では良いのですが、今後は使用感の差別化に苦労しそうですね