ロマンチックじゃないアートのはなし -4ページ目

8月15日がやってくる

ある友人がいうには、いまの日本の国が持つエネルギーはちょうど50歳の中年が持つくらいのエネルギーだという。 中国はこれから成人を迎えるティーンエイジのエネルギー。 韓国やシンガポールは30歳くらいのこれから働き盛りを迎えようとする大人くらいだと。 ようするに彼によると日本は国家として年老いていくステージにあるらしい。


年をとるということは体力の低下もそうなのだが環境の変化に適応できなくなることが致命的だ。 自分を変えるのが難しくなっていく。


ふたつのニュースが気になる。



日本外交が試された国連非難決議



昭和天皇 A級戦犯の合祀に不快感



自分はナショナリストではなく、むしろ反対側にいたいほうだがここ最近ずっと気になっていたこのふたつの問題を前にしてわれわれ中年の国が変化していけるのかどうかとても興味がある。 それは自分じしんの問題でもあるからね。





アフリカの糞の人?


USのパワー・ギャラリーがやってきた。



むこうはもう夏休みでガブリエラという名前の可愛い12歳の娘も一緒だ。 彼女はキディ・ランドがお目当てらしい。


日本料理のランチをとりながらアジアの状況の話を聞かせると、彼らはこの夏休みに西海岸からアフリカに家族旅行にでかけるという。 ちょうど森美術館でアフリカ展をやっていることを告げ、これまで周縁とみなされていた地域のアーティストの話になる。



「あのウンコの上に絵を置く作家、だれだっけ?」


「あ~、なんて名前でしたっけ」



とプロのギャラリストふたりが思い出せないでいると


娘が、



「クリス・オフィリょ!」



と得意げにいう。 先月、学校で習ったという。




offili



ガブリエラの小学校では毎月2人の現代美術のアーティストを覚えていくらしい。 作品の写真を見て、あるときは美術館に赴いてクラス全員で議論するらしい。 普通の小学生がそうしているわけだ。


刺身が苦手なアメリカの小学生に負けた。




偶然だろうか明日はクリス・オフィリのギャラリーからグレンがやってくる。




台湾のチャンさん

台北のギャラリストであるチャンさんがやってきた。


私が買った若い台湾のアーティストの所属ギャラリーのディレクターです。 チャンさんは日本の状況を知りたいのだが、その問いに答えるよりも私が台湾について質問したいことがたくさんあるから彼には申し訳ないミーティングだった。 中国メインランドの人々は台湾の作品を買うのか。 アーティストの交流はあるのか。 海外流出組はどれくらいいるのか。 美術館の状況。 伝統との関わりなど。


チャンさんが知りたがっている日本の状況を話してあげたいが僕は批評家みたく日本をリプレゼントしたような話ができないので、個人の東アジアへの期待を話した。 調子にのって話しているといつの間にか北一輝になっている自分がいた。 期待ではなく島国の欲望を語る自分がいた。


これはマズイ。


いま一度考えなければいけない。



王様だなんてうかれている場合じゃない



イスラエルがレバノン侵攻



原油が出なくとも 原油先物



nasdaq




友人が王様になったようだ

友人でアートを勉強中の外資系金融マンとランチしました。 金融系でアートに興味のある人はそのほとんどが外国人であり、彼は例外的なマイノリティに分類される。 先月はMOTのカルチェコレクションを見て、先週末はBTを読み、今日は森美術館のアフリカ展を見てきたらしい。 ただ少し前から変化がおきていてこんなアート界でも邦人のマネージングディレクタークラスに出くわすことが多くなった。 いわゆる富裕層の消費行動が変化しているのだろう。


「いま海の向こうはバブルだろ。 アートや音楽なんて領域は、かつて王族の庇護のもとに発展したものだが、いまじゃ王様なんていなくなった。 代わってとんでもないお金持ちがいろんな国に現れて彼らが王様の役割を代行するようになっているんだよ。 いま興味深いのがいろんな国でいっせいに彼らが現れたこと。 芸術だけじゃなくバフェットがゲイツの基金に寄付をしただろ。 あれも現代の王様なんだよ」という。


この1年を振り返ると明らかに90年代のバブルとは違った性質のお金の流動性を感じる。 大きな王様だけじゃなく小さな王様がおおぜい増えた。 便利なネット社会のおかげで海外の小さな王様たちがいとも簡単に美味しい果実を実らせた東京のギャラリーにコンタクトをとってくる。


ランチを終えて彼と別れてから少しして携帯がなった。 「ギャラリーにかけてあったあの白い絵を買うよ」という。 安い買い物ではない。 彼も小さな王様になったのかもしれない。




夕方、ある国の王族の血をひく方がいらして作品をリザーブしていった。 これは本当の王様系。 ネタでも冗談でもなく、本当に起こった今日という日の出来事でした。


「market capitalization」とチャイナ・プレミアム

ある会社の時価総額を英語でmarket capitalizationというらしい。 small capとは時価総額が比較的小さな上場会社でT投資顧問のK氏は浮動株が小さなこのsmall capを巧みに操ってサラリーマンとしてはとんでもない高額の報酬(2004年度の納税額が約37億円)を得て週刊誌を賑わしたのは記憶に新しい。


さて、株式に時価総額という考えがあるのならアーティストが生産する作品バリューの総額やボリュームもあるはず。 ピカソは生前10,000点の作品(@1億として総額10兆円)を残したと言われるけれども、モダーンな巨匠の話はさておいて先日購入しようとしたある中国人作家のある作品の総額にはリトルびっくりだった(笑)。


その作家はマーケットをにぎわしているメインランド作家ではなくて台湾のまだ20代の映像作家なんだけど。 映像作品はDVDやディバイスという実態作品として版画作品と同じように1作品に対して複数のエディションが制作される。 僕が興味を持った少林寺の思想を援用した映像作品の単価は9,300ドル。 そしてエディション15ということは、つまりcapは約140,000ドルの計算。 作家保存用のAPを3割とすると180,000ドルだ。 2003年の作品でしかもエディションはまだ売り切っていないにも関わらず。


彼は現在オランダにレジデンスで滞在していてヨーロッパを中心にいくつかの美術館での展覧会をこなしているが、たぶん彼よりも評価が高く彼以上のレベルの美術館での展覧会をこなしているロンドンの我がSさんの時価総額がシングル・スクリーンで約50,000ドル(APを入れても6万)と比較しても割高だといえる。 ピピロッティ以降の期待を担ったこれからのアーティストが3万ドルから3万ユーロあたりが相場でかなりの著名アーティストでもcapが200,000ドルに手が届くかというプライシングを基準と考えると作法が違うと感じてしまう。


これからのアーティストはもちろん未来への期待度が先行し価格に反映されるけれどもいまだ流動性が疑わしい彼の作品の時価総額を計算していて首を傾げてしまった。


これをチャイナ・プレミアムとよぶべきなのだろうか。



アジアばっか

捻挫までして買えなかったServe Chiiledを入手できた。

なんのことはないロンドン・ヒースロー空港のバージン・ストアで売っていた。 それもrecommendで何枚もならべてあった。 ロンドンは音楽の市場のようだ。


なぜだか。


なぜだか、アメリカやヨーロッパに行くときにはアジア本を持っていく。 アジアに行くときには欧米の現代美術関係の読みたい本とか「さかさま」なチョイスになってしまう。 また遊びで旅行に行くときには税務関連の書籍とか、仕事のときには小説を携えていく。 距離があるほうがリアリティを感じ取れるとでも信じているのだろうか。



post


こんかいはいぜんに読んだ孫歌(Sun Ge)さんが編纂した「ポスト〈東アジア〉」です。 この本はよくできていて論文や鼎談が盛りだくさん。 互いに連関していてちょうど網の目のように編集されている。 東アジアの国それぞれの歴史や共通認識の差異など、そしてこれからの可能性について域内の多くの研究者の人たちが面白い議論を繰り広げている。 たやすく東アジアなどと語れない多様性を備えた地域なので面白くないわけがない。 欧米の文法では見えない部分を浮かび上がらせようとする意図がみえる。 そこがスリリングでいい。



philtre



バージン・アトランティックで東京に帰るのだが機内のオーディオはバージンらしくジュークボックスと呼ばれイギリスで人気のあるミュージシャンの比較的最近の新譜を聞くことができる。 東アジアではないけどエィジアン・ブリティッシュのニティン・ソーニー を聞いた。



syriana



そのうえ映画は「シリアナ」だわんわん


シリアか・・・・



i was twisted!

いい気になって油断してたんだよ。


よい結果を残したロンドンをあと、パリのバスティーユ広場で石段を踏み外し右足を捻挫してしまいました。 旅行の楽しみのひとつはCD集めで特にヨーロッパはアフリカや中近東の音楽が買いやすい。 今回はアフリカ採取ではなくってレ・アールにあるFNAC本店でちょうど売り切れていた懐かしいhead kandiの新譜serve chiiledを求めてFNACのバスティーユ店に向かう途中だった。



head kandi



まいったよ。 土曜の夕方でお医者にも行けず。 CDもあきらめた。 return to the brighter side of chillとはいかず。


肥満したように腫れた足首をいたわりながらミラノに行った。 ギャラリーを運営するCさんのところに厄介になったのですが、このCさんスキーでの骨折や運動での重なる捻挫歴で足のトラブルにめっぽう詳しい。 ケミカルな成分の入っていない痛み止めをくれベッドの足がのる部分を心臓よりも高く位置させるように手際よく手当てしくれる。 お酒も飲まず水枕で冷やしておいたら肥満が小太りくらいにやせた。 ありがとう。


個展のために合流する予定だったロンドンのSさんが到着。 うれしいことに2枚もCDをいただく。 



ソニーのブラヴィアのCFで一躍有名になったホセ・ゴンザレス


veneer



初めて聴くreadymade FCのバビロニア


babilonia


ねぇ、Sさん。 このジャケット、あなたの作品「8 minutes」にそっくりなんですが。 



行ったことがないという本家corso comoのCD売り場に連れて行くと、なんとこの2枚が並んでディスプレイされていた。 ふたりで驚いたよ。


音楽を聴く頭は年とともにだんだん古臭くなるので旬なCDをプレゼントされるととてもうれしい。 Sさんにもグラッツェ・ミーレなのだ。






ところで先に予告したGなるガゴシアンが村上隆をリプレゼントすることはバーゼルで発表されたわけだけどサザビーズではほとんど無反応だった。 エスティメートの高いところまでさえ届かなかった。 折込済みということか。 老練の作家と若い作家との扱いが違うとはもっぱらの噂だけどまだまだ若い作家ということでよかったじゃない。 のりしろは無限だよ。 









    

my collection on sale in london

ロンドンからユーロスターに乗ってパリにやってきました。 左岸の6月はもう夏のようです。



友人がオークション会社サザビーズ の要職に就いたお祝いでコレクションの中から数点を売り出しました。 最近復活の兆しを見せるロンドン・サザビーズと友人にご祝儀というわけです。 いい作品が市場にないのも事実。 確かに最近のオークションへの出品作品を見ると10年前に比べて小粒な作品ばかりだ。 代表作がマーケットにないという。 当時はだれも手を出さなかった後期ウォーホルなどがメインセールに出てきたりするから世の中変わったものです。 理由はカンタン。 日本でいう富裕層の拡大にマーケットが変化しているわけです。 ただこれは欧米に限ったことで日本の彼らはなかなか現代美術を買うことはない。 日本の現代美術が努力の末に国際マーケットに登場するようになった現在でも日本の富裕層にとっては芸術家といえばパクリの和田画伯なんだろうから。 この貧困さってなんなんだろう?



それはそれとして、小粒は小粒でもエクセレントな小品がボンドストリートに火柱を上げるのを見てみたくなったわけです。 


jumping jack flash



nara  



奈良さんの小さな作品は今はもう小学生になっている子どもためにNo1になってほしいとの願いをこめて、個展のオープニング後に売れ残っていた作品のなかから6万円で買ったもの。 昨年末に暴騰した記憶は新しくセールにだすには期を逸したかと思いましたが買値の100倍以上 で落札されました。 予想価格の2倍以上に跳ねたわけです。 オークションの朝担当者からホテルに電話があり「リザーブプライスを低くしてほしい」という。 人気がないのか心配になったけど買値を下回ることさえなければよいと思って「お任せします」と承諾した。 これはいま思うと、いったん価格をしゃがませて跳躍を狙ったオークショナーの戦略だったのかなと想像します。 そうだとしたら上手だなぁ。 元の所有者であり「もう私には子どもっぽすぎる」とのたまう娘はNo1どころか学校の成績は親のDNAを正確に受け継ぎ低迷しています。



kawara


河原温さんのデイトペインティングは数年前に200万円相当でクライアントから買い取ったものです。 特にカワラ・ファンというわけではありませんでしたが世界の多くのアーティストが尊敬するartist' artistですし、 また当時どうしても見ることができなかったフランスでのConscienceという名のkawara+giacometti展というどうにも素晴らしい展覧会を悔やんでいましたからねー、あの頃は。 リザーブプライスからスタートするわけですが会場ではいきなり前から後ろから横からもマシンガンのようなビッドが入ってびっくりしました。 エスティメートの倍にあたる10万ポンドを越えたあたりから声はスローダウンしますが、それでも遠方からの電話での声やパドルを上げたままなかなか降りようとしないコレクターらしき人たちのエネルギーを感じました。 結局、落札されたのは予想価格をはるかに超えて3500万円 。 同日夜に開催されたクリスティーズのメインセールに出品された一回り大きな作品を凌ぐ落札価格となりました。 これには理由があってマーケットに影響力を持つ●●というセカンダリディーラーが年初に河原さんの作品を扱い始めたからです。 セカンダリーの人たちは良好なコンディションのもの以外には手を出しません。 研究者やアーティスト間では特別視されるほど評価は高かったものの今回初めてマーケットで居場所を変えることになったわけです。



もう1点出品した河原さんの作品は昔NYの古本屋で買い求めたもの。 3点合わせてとんでもない数字になりましたが税金を考えると素直に喜べない自分がいました。



そのほかロンドンではお付き合いのあるアーティストにガスワークス というレジデンス附帯のパブリックギャラリーやロンドン大学スレード校の展覧会のレセプションに連れて行ってもらった。 ガスワークスのキュレーターはよく調査をしておりアジア作家のコメントが参考になった。 またスレード校では気さくな先生たちと話すこともできて自由ななかにもプロフェッショナルな教育機関という印象をうけました。 こうした機関からアートを科学するような姿勢の素晴らしいアーティストが輩出されることに当然のことながらジェラシーを抱きます。 文化が価値を生み、文化が国益になることに自覚的な国なのでしょうね。


あとは友人にご馳走してもらったフレンチ・レストランザ・スクエア とオークションあとに奢る羽目になったウィルトンズ というふたつのレストランはビックリ美味しかった。



今宵のご飯も格別でしょうね。 FIFAワールドカップのフランスvsトーゴ戦のせいでしょう、パリの通りは日本のお正月のようにだれもいません。

crazy mess



art baselがとんでもないことになっていたようだ