ロマンチックじゃないアートのはなし -2ページ目

金利0.25%↑は見送り

政府による牽制が効いたのか日銀の追加利上げが見送りとなった。 参院選抜きにしても内需しか興味のない政治家が「景気が腰折れることを心配して」などと言ってたなぁ。 無能なポピュリズム政権の面目躍如だね。


金利がないに等しい日本の円を借りて金利の高い外国で運用することを円キャリートレードという。 円を借りて外貨に換えるから円はどんどん安くなる。 心理的な抵抗線であったドル120円とユーロ150円もやすやすと超えた。 輸出産業には良いとされていた円安もこれだけ資源が高騰してもそうなのでしょうか。 この前のソウル訪問ではタクシー以外は東京よりも物価高に感じた。 投機的なウォン買いもあるが、言いかたを変えれば円の魅力がなくなっている。 日本のバリューが落ちている。 サッチャー政権時のイギリスでは肉を切らせても外資を呼び込むような政策がとられたけれど美しい国の首相はそんな見通しは持っていないようです。 ディトレみたいな政権だ。


日ごろ無縁な銀座のブローカーのオフィスに行った。 バブル期にブイブイ言わせたかなり有名なセカンダリーのディーラーです。 安全のため厳重な施錠されたドアを開けると日本のお爺さんが好きなユトリロやフジタの絵が壁に飾られている。 面白いのはリーウーハンや草間彌生、奈良美智なんかもエコールドパリの作家の隣に展示されていた。 さらに驚いたのがあのジャン・シャオガンの作品もあるのだった。 なんでも「香港のクリスティーズでウン千万円で落札した」のだという。 これまでのお客さんは見向きもしないというが強烈なブローカーとは機を見るに敏としか言いようがない。 身を引いてユトリロ、キスリングから現代中国の仕手化したシャオガンまでを視界に入る風景として眺めてみると親潮と黒潮が合流する潮境のような気がしてきた。 商人はたくましい。


WBSで僕たちが参加した小さなアートフェアを紹介していた。 有料にもかかわらず2日間で4000人の入場があったみたい。 いっぽう日本中に1000館もあるという美術館は入館者の獲得に苦労しているみたいです。 潮境といったけどいま正にそんな場所にいるみたいです。




グローカル化?

グローカルなるビジネス造語があるようです。 グローバリズムとローカルを併せて今日の傾向を考える際に有効なコトバであるみたい。 日経グローカルという雑誌もあるようですから。 何かヘン!


ただ富裕層だの下流だのといわれる日本の二極化現象はグローバルに見ると日本以外のどこにでも見られた貧富の差であって、この国だけがこれまでの極端に平等であったのではないでしょうか。 何年か前までは諸手を挙げてグローバリズムなんて喧伝されていましたが日々感ずるグローバリズムが二極化の一般化というかたちで身に迫るとはだれも予想しなかったでしょうね。 もともとそうであったように不公平な世界をいまいちど受け入れなければいけないというなんとも皮肉な世界です。





mao



マタンゴさんという方が書き込んでいただいた箇所に今の中国美術(現代美術+清・明の陶磁器)とかつてのロシア美術の比較がありましたけど時代背景としてグローバリズムのレベルが違っているように思います。 ペレストロイカを受けてのロシア美術のブームはあくまで政治的な背景であって東西関係の力学の変化だとすれば、いまの中国ブームは第三国も参加できる経済レベルでのスロットマシーンという印象です(余談ですけど「カジノ資本主義」 とか「マッドマネー」というちょっと前の本を思い出しました)。 株式市場のIPO銘柄がそうであるように価格というものは先行する期待感だけで上にも下にもとんでもなくオーバーシュートします。 なかにはライブドアみたいな現象も美術マーケットにも確かに存在すると考えればいいのではないでしょうか。


期待感が先行するといえば一昨年あたりから日本の若いデビューしたてのアーティストの作品価格もかなり高額になってきています。 もちろんギャラリーのプライシングはさまざまで一概にいえませんけど。 たとえばあるキャリアのあるコレクターの言葉を借りて云えば90年代に5万円スタートの作家が、いま期待感が同様の作家であれば25万ですねと。 美術市場も大げさでセンチメント重視ですからこんなバカバカしいことになるのでしょうかねぇ。 昨日、一昨日に開催されたホテル・アグネスでのアートフェアにビッグコレクター数名が姿を現さなかったことはこれと無関係ではないような気がします。


年末にNYサザビーズのMiety Heidenがやってきて「このクレイジーな好景気はいつまで続くと思う?」との質問に「2007年の春か、あるいは夏には終焉を迎えるのでは」と間髪いれずに答えたのは印象的でした。 「秘密だけれどもどうでもいいような中級クラスの過熱感は危険信号。 素人のお金がそうさせているのよ」とも。 実際にアメリカの経済はハウジングに翳りが見えていますし、マイアミ・アートフェアに出品したとあるディーラーからは「まいったよ。 キャンセルが6つも出ちゃってね。 ○○ギャラリーも▲▲ギャラリーも同じみたい」とレポートをもらっています。


投資家でなくとも高値でモノを買うのは避けたいものです。 いま割高なのは何か? また割安なのは何かと考えるのは楽しいことですし世界を知ることにもつながります。 また投資の世界には「休むも相場」との格言があります。


昨年、自分のコレクション用に買った現代美術の作品は2点しかありませんでした。 少しだけあたりを見渡せば割安な分野も確かにあります。 また一方でオーバーシュートしている作家と高騰しているけど居場所を変えている作家を見分ける必要もあります。


こんな時こそ大胆なアクションとクールな分析が必要なのかもしれません。




そうそう、9月1日にレポートしたWOWOWがこんなふうに育っています。



WOWOW


死んだような新興市場にあっても咲く花はあるみたいですね。



最後にマタンゴさんへの私信ですけが、たしかに中国美術やロシア美術というように大きなトレンドもありますが、より重要なのはどこの国であれそのアーティスト個人がどのような意味やどういったポジションを獲得するかをウォッチしたほうが面白いですよ。 文化的なバックグラウンドや人種、国籍に縛られない個人であることがアートの強みではないでしょうか。


日の丸や星条旗を背負わない個人であること。 それが今の希望なんですよ。

カズからメール

ブロンド・レッド・ヘッド のボーカルのカズさんとギターのアメデオがプライベートで来日するという。 日本にいると音楽も美術もこの先のトレンドを強く意識してしまうけど、世界は思っているより広くっていろんなスタイルがあっていい。 ただ、いい歳になってもがんばりたいときに聴けるロックが少なくなった。 彼らのアルバムが好きなのもそんな理由かもしれない。 だってマーケットは若年層が主体ですからね。 彼、彼女たちとゴハンを食べようということになったのでいろんなことを話してみたい。 もちろんこれからのこと。 希望って大事です。


ずっと聴いているI'm not a Gunですが、ようやく全作が揃った。 なんでも「インスト・ポスト・ロック+エレクトロニカ」といわれているみたい。 音楽も美術も投入されるエネルギーの質量って重要だと思いますけど、技術が高次のある臨界点に留まってしまうマニエリスムな場所にいる作品に惹かれてしまう。 マニエリスムってルネッサンス後期に見られる特徴と美術史ではいうけれども、ある上昇線を描いてるアーティストの作品にもみられる特徴だと思う。 ちょうどおととい金沢でさわひらきさんと見附正康さんと会っていたいのですが彼らふたりともいい塩梅でそんなポジションにいる人たちでしょう。 きちんとウォッチしてないといつのまにかどこか違う場所に行ってしまう直前のほんの短い状態でもあるのでは。



読了!

村上&三島





小さい記事だけど

[アーバイン(米カリフォルニア州) 6日 ロイター] 米サンフランシスコ地区連銀のイエレン総裁は6日、ある段階で、過度の貯蓄を抱える国が米ドル建て資産への選好度を弱める可能性もあるとの見方を示した。当地での講演後、質問応答で述べた。 同総裁は、米国とドル建て資産を大量保有する国との間では利益が一致している、としつつも、「しかしそれは状況が変わらないということではない。ほかの国がドル建て資産への投入を減らし、最終的に、ある段階でわれわれが対処する必要があるほどの影響を与えるケースもあり得る」と述べた。(ロイター) - 11月7日11時33分更新


再び国際政治のマーケットへの影響が強くなるかもしれませんね。 これは無論アート・マーケットにも間接的な影響というか、通底する変化かもしれない。 政治でいうところのポピュリズムがアート・マーケットに蔓延しているのでここいらで変化が欲しいともいえる。

ひさしぶり

書くのが面倒くさくなってきてたのに建築家であろうash-takenaka さんから催促の書き込みありましたので近況報告いたします。 建築家といえばとあるパーティーで坂茂 さんにかなり久しぶりにお会いしました。 キラー・カーンが笑ったようなあの表情がとても好きです。


10月は母親が手術のために入院をしていてちょっと例外的な時間を過ごしました。 合間をぬって青森県美の縄文展やベネッセ、森美術館のビル・ヴィオラやワタリウムの河井美咲展、某氏のプライベートなアート・サロン「游庵」のお披露目、世界文化賞、札幌ICC+S-AIRでの南隆雄展、ソウル現代美術館でのメディア・シティ展など比較的たくさんの展覧会に顔をだしてみました。 青森では強力な低気圧のために飛行機が飛ばず、また東北本線も全面不通となり彼の地で不思議な時間を過ごすことになりました。


先週末、一週間ぶりにまたしてもソウルちかくのアニャン市に行ってきました。 APAPというちょうど妻有トリエンナーレのような市が運営するプロジェクトがあって下見にいったわけです。 今回のコミッショナーは何度か仕事をしているフランク・ゴトロー、そして市とのあいだを取り持つのがソウル・エルメスのプログラム・ダイレクターのキム・ソンウォン。 アニャンはかつての韓国映画の撮影所で有名でその昔は進駐軍の街であったらしい。 ソウルの衛星都市として、また工業都市として栄華を極めたが日本とおなじく産業が中国沿岸部に移転しつくして市役所はどうにか市の再生を考えてその末のプロジェクトだそうだ。 その下見にはこれまた旧知のチェ・ジョンファが同行することになった。 チェさんは新世界百貨店横にある大きな野菜の彫刻作品が有名。 東京でも六本木ヒルズのロボ公園もなかなかいかした作品だ。



franck and che



ロケハンが始まってものの10分でチェさんのプランがまとまる。 手元のノートを除き見ると





なんと植民地っぽい街灯を集積したタワー状の塔のドローイングが描かれているではないか。 名づけて「アニャン・タワー」というようだ。 予算やフィー、昨年はトリッキーな施策により多くの作品を廉価で手に入れた市サイドの姿勢などいろんな問題があるけどうまく実現してくれるといいな。


ソウルでは小高い丘の上にあるホテルにとまった。 この街も上海と同じく迷宮のような路地がラブリーだ。 遠目にはイスタンブールのようにも見える。



view





そうそうチャンヨンヘ重工業のふたり組にも遭遇したぞ。




前にレポートしたWOWOW株もいいカンジだ!





ロケハンに行く

海外のアートマーケットがバブルみたいになってきたといぜん書きましたが、ここ最近の海外のアート関係者のインタビューからも明らかになってきました。 慎重な人たちは「今のうちに売って売って、来年かいつか分からないけど不景気に備えよ」とまでいいます。 それはそうかもしれない。 07年1Qからの景気減速説も耳にしますからね。 年末からは慎重にならざるを得ないのでしょうか。


あるイタリアの企業がモルガン・スタンレーやドイツ銀行を巻き込んでアートスペースを計画している。 列車の組立工場跡の15,000平米というとんでもない広さの空間を美術館に代わる施設としてオープンするようだ。 日本では考えられない広さ。 何か提案できるプランがあるかと問われ現地でガイダンスを受けた。



kiefer


天井高30mの倉庫内には既にアンセルム・キーファーのコンテナ彫刻が設置されている。 屋外彫刻では世界で一番大きいという。 まさに圧巻。 建物外壁にはアニッシュ・カプーア、キーファーの対面にはアブラモビッチ、食堂はヴィト・アコンチが予定されているが他にも魅力的になるであろう空間がたくさんあってプランを語るディレクターの話は尽きない。 われわれのアーティストにはバスルームはどうだという。 くつろぐに足る広い空間にパウダールームだけではなくマッサージルームまで備えたクレイジーな空間はどうだという。


この企業ですが、上海に進出したばかりのイタリア・テレコムと大株主を同じくしていて、ごく最近政治がらみのスキャンダルがニュースになったんですけど、


なりましたが、


なりましたが・・・・・・



慎重になる前にプランを考えよう。



A Journey that wasn't

名古屋で会ったばかりのSさんに会いに、またテイト・モダンで開催中のピエール・ウィグの展覧会を観にロンドンに滞在した。 後で知ることになるのですが展覧会に出ていた名作「A Journey that Wasn't」を知り合いの韓国の友人が買ったという。 パブリック・アート・ファンドがミリオンを投じて制作したというシロモノ。 テイトのサイトから軽いオムニバス を見ることができますよ。




a joueney
 
 

とあるギャラリーにミーティングに立ち寄る。 ちょうどお隣のビルの階上にビューイングルームを作っているというので見せてもらってビックリ。 美術館並みの設備と空間でした。 追い風にのるとはこういうことをいうのだろう。

 

 


VMG


 

小さな私のギャラリーはオペレーションをリフォームしなくてはならない時期にさしかかっており、あえてその悩みを若いSさんに告る。 アーティストとのアートの匂いのしない会話も時にはいい。 またしても彼からCDをいただく。 いつもありがとう。




guide to insufficiency

 

ロンドンから直線距離で1000キロあまり、イタリアのある町の美術館でわがアーティストの個展が開催されるので12時間かけてようやくたどり着く。 友人でもありいくつもの仕事のパートナーでもあるキュレーターたちも来てくれている。 そのひとりからずっと探していたCDをいただく。 韓国の伝統音楽カヤグムです。 Sookmyung Kayagum Orchestraの2000年の録音。





sookmyung


実は彼女が秘密裏にユニークな韓国でのコレクションの総指揮をしていることが分かった。 私のアーティストの作品も買っていただけそうだ。 もう少し考えの核心を聞いてみよう。 面白そうだ。 





Zeng Fanzhi

上海美術館で行われたビエンナーレのレセプションでshanghartのローレンツを見かけたので空港に行く前30分だけ彼のギャラリーに寄ってみる。



ちょうど昨年、香港のHanartで見たZeng Fanzhiの新作展を見ることができた。


昨年の画面よりも断然いい。


よくなっていく作風の最初の頃っていうのはねらい目だ。



なるほどビエンナーレのオープンに合わせた意味がわかる。



zeng_fanzhi


少年が溺死したような画面の3mを超える横長の作品が唯一売れていなくて価格は25万ドルという。


迷っているお客のリザーブが入っているという「青年肖像」という小さな作品の行方を知らせて欲しいとリクエストして空港へ急いだ。



タクシーからみえる上海郊外の風景とラジオから聴こえる「バーバーのアダージョ Op.10」が溶け合うように感じた。






上海をみて氏ね

かつてベニスを見て氏ねといったけど「上海をみて氏ね」といいたい。


いろいろありすぎて書けないよぅ。


美術館脇のスタバでコミッショナーのひとりのジョナサンと会う。


        できばえは上々だって



上海ビエンナーレのオープニングはほうぼうから大勢の人がやってきた。



                  バッタのようにぺこぺこあいさつした




biennale
おもちゃのパワーショベルをつかったLee Gyung-Ho作品は秀逸だった
biennnale_2
300年以前の作品は海外持ち出し禁止らしいが買ってしまった外国人はどうするのだろうか?
過去300年までが現代の区分だそうだ。
ming dinasty
上海には光と影があった
短い滞在だったけどなんだか朝から深夜まで毎日がスゴすぎて書くことはできません。