深海の底
そこは
生物たちの物語の終着点





命の終着点

その命が尽きた大型生物は、ゆっくりと下降して、海底で永遠の眠りにつきます。



すると、その体から発生する匂いを嗅ぎつけて、植えた深海生物たちがあっという間に集まってきます。



1992年に、小笠原諸島近くの水深4000メートルを、有人潜水船「しんかい6500」で探査していた研究者は、海底に、死後100年以上は経っているであろうクジラの骨を発見しました。



死後100年が経過したと思われる、鯨の骨を研究室に持ち帰ると、ひどい腐敗臭がしていました。



その原因は、脂が腐ることで、硫化水素やメタンが発生していたからです。



また、腐った鯨の骨の上には、細菌や二枚貝のオアシスが形成されており、その二枚貝は細菌との間で共生関係にありました。



さらに、細いミミズのような赤い繊維状のひらひらしたものが無数に付着していて、未確認の新種のゴカイだと判明しました。



その後、このゴカイは、死んだクジラの骨にしか棲まないことが分かり、ゾンビワーム、または、ホネクイハナムシと命名されました。



死んだ鯨の骨にのみ棲息するゾンビワームこと、ホネクイハナムシは、どのようにして移動し、そして、絶滅を免れているのだろうか。



鯨の骨の上に形成されたオアシスのことは、鯨骨生物群集と名付けられました。



クジラの骨は、広い海の中では、まばらにしか存在していません。


そのため、クジラの骨にしか棲まない彼らは、どのようにして移動し、絶滅を免れているのか、不思議なことばかりです。




深海にひそむ巨大生物

深海は、地球上で最も大きな生物が住んでいる可能性があり、


まだその本当のことが確かめられていない場所です。


2003年の4月にメディアを賑わせたのは、世界で1番大きいイカとして知られているダイオウホウズキイカの、それまで知られていたものより、さらに大きな個体が捕獲されたというニュースです。


その捕獲されたイカは、成長途中のメスで、だいたい4メートルぐらいありました。


推定では、大人になると、その1.3〜2倍の大きさになるのではないか、とのことです。


2006年の12月4日には、日本の研究チームが、小笠原諸島沖の水深650メートル付近で、ダイオウイカを釣り上げました。


その大きさは、1.4メートル


体長3.5メートル


体重は50キログラムと小柄ではありましたが、


捕獲の一部始終が、ビデオカメラに収録されており、これが、ダイオウイカの生きている姿撮影した世界初の映像となりました。


2007年の2月22日には、南極大陸のロス海で、生きたまま捕獲された個体としては、世界最大となるダイオウズキイカのオスが、漁船によって、釣り上げられました。


体長は約10メートル


体重は約450キロで、それまでの記録よりも約190キロも上回っていました。


このような巨大なイカは、稀にしか存在しない、希少な生物ではありません。


ダイオウイカは、マッコウクジラの主な餌で、マッコウクジラの胃袋の中から、ダイオウイカが見つかることが、多くあります。


なので、ダイオウイカが、人間からうまく逃げているだけで、相当な数のダイオウイカが、海にしそんでいると考えられています。


しかし、やはり不思議なのは、その大きさです。


なぜ、これほどまで大きいのでしょうか?


このような、体が大きくなる傾向は、深海生物の巨大症と呼ばれています。


しかし、栄養の少ない深海で、なぜ、このような進化が起こったのか、


その理由はまだ分かっていません。


進化が生み出した、不思議な産物なのです。




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