よみうりカルチャー「鈴木健.txtの体感文法講座」7月期募集 | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

現在開講中の読売日本テレビ文化センター(よみうりカルチャー)恵比寿文章講座「鈴木健.txtの体感文法講座」7月期受講生を募集します。プロのマスコミを目指す実戦派はもちろん、趣味として文章力を高めたいという受講者にも役立つ内容を2010年4月より多くの受講生が学んできました。読み手の目線にならったリズム感のある伝わる文章、ブログ等では意識しないテクニックを身につけるのが目的です。文章力をつけたあとにプロレス観戦や映画鑑賞をした上での取材実習、インタビュー実習といった目標を立てて、継続的に学んでいくものです。
 
これまで新規受講者は19時~20時、継続受講者は20時~21時でおこなってまいりましたが、今回は新規受講者が20時開始となります。19時からだと時間の都合がつかなかった方は再度ご検討ください。
 
「鈴木健.txtの体感文法講座」
〔講座日時〕7月11日より毎週第2&第4火曜日20時~21時。3カ月分の開講日は以下――第1回…7月11日、第2回…7月25日、第3回…8月8日、第4回…8月22日、第5回…9月12日、第6回…9月26日(変更の可能性あり)
〔会場〕東京・読売日本テレビ文化センター恵比寿センター(JR恵比寿駅ビル「アトレ」7F http://www.ync.ne.jp/ebisu/
〔受講料〕3カ月(6講座)分税込み1万9440円(うち消費税1440円。以後3カ月ごとに更新)
〔設備費〕3カ月分777円
〔読売カルチャー入会金〕税込み5400円(他のよみうりカルチャー講座を受講している場合は不要)※WEB割引用クーポン券を利用すると税込み3240円になります→
http://www.ync.ne.jp/yomicul/coupon.php#coupon-info
〔体験講座〕どんな講義なのか体験してみたいという方には体験講座があります。受講料1回分3240円と設備費1回分126円を申し込みください。なお2回分以上希望の場合は通常の3カ月分申し込みとなります
〔申し込み・問い合わせ〕読売日本テレビ文化センター恵比寿センター(TEL03-3473-5005、担当・小玉)にて受付中。ウェブからの申し込み、詳細はhttp://www.ync.ne.jp/ebisu/kouza/201707-01110004.htm

 

 
インターネットの普及により、現代では誰もが自分の書いた文章を不特定多数に向けて発信することができます。そうした中、雑誌や新聞、書籍など商用媒体に掲載されるのは“読者にお金を払ってもらう文章”であるのが最大の相違点です。無料で文章や読め、情報が得られる中でお金を出して買ってもらうには、読者という消費者のニーズに応えられるものでなければならず、その大前提としてわかりやすい、伝わりやすいものであるのが必須となります。伝わりやすい文章とは何か? それは読み手の目線、意識にならった書き方です。読者が読みやすいと思える構成、自分本位ではない内容であるのを意識するだけで、ブログの文章とはまったく違うものが書けます。
 
読者に伝えるための押さえどころとしては“リズム感のある文章”“くどくない文章”があげられます。当講座では、そのための具体的な文章構成力を養っていきます。改行ひとつに気を配り、句読点の位置にも意味を持ち、同じ言葉の乱発を避けることで文章にはリズムがつき、スラスラと読まれるようになります。また漢字・かたかな、記号の使い分け方のようなブログレベルでは意識しないテクニックも磨けます。これらの読み手の立場になった上での呼吸、間に基づいた文法を「体感文法」と名づけました。
 
カリキュラムはまず基礎的なルールの理解からスタートし、書いてみてその修正を繰り返すことで文法を身につけていきます。さらに取材実習やインタビュー実習を通じ構成力を養います。学ぶ内容は本格的ですが、カルチャースクールですからみんなで楽しむのを前提にやっていくつもりです。そのためには取材実習にも積極的に参加して、仲間を増やしていってください。

なお、過去に寄せられた質問と回答をFAQとしてまとめましたので参考にしてください。
 
Q プロレスにもスポーツ全般にも興味がありません。そんな人間が受講しても大丈夫なのでしょうか。
A 講義内容については、私自身の経験に基づいていますのでプロレスに寄ったものになると思います。寄ったもの…というのは、具体的な例文や経験したことの事例をあげるさいにそうなるケースが多いことを指します。ただし、プロレスだけでなく音楽や映画、演劇などの見たものを例として出すことも考えられます。どのジャンルに特化しても文章を書く、あるいは書き方を覚える上ではすべて地続きです。文章力を身につけたあとにおこなう取材実習に関してもプロレス観戦に偏るつもりはなく、映画や演劇等を見た上で文章を提出する機会も設けます。これらは希望者によるものですので、自分が体験したいものを選んで参加していただければけっこうです。参加しない実習でも、ほかの受講生が書いて添削を施された文章をいっしょに講義でなぞっていくだけでも、自分自身の力になります。なので、プロレスを見ていなくても学ぶことは実になると思われます。
 
Q 受講を決意してはいるのですが、カルチャースクールや文章を学ぶという経験がないため、紹介文の「実戦派」という単語に軽い恐怖を抱いております。句読点の付け方をなんとかしたい、文章の構成方法がよくわからないレベルの人間でも、問題なく受講できるものなのでしょうか。
A 文章講座に関してはプロレスなどの練習と同じように基礎をしっかりと身につけるのが第一前提であり、最優先される目的と考えております。そして、それが身についたところで初めて“実戦”を目指せるのであり、今回受講いただく皆様は全員、スタートはその基礎作りにあります。ですので、句読点の付け方をなんとかしたい、文章の構成方法がよくわからないという方々向けのものであり、そこでもうワンステップ上にいきたいとの願望が芽生えたら実戦向きのものに着手していただければと思います。実戦よりも、基礎を何度も反復することで完璧に身につけたいと思われる場合は、それでもかまいません。要は、目的に合ったスタンスで受講いただければいいかと思われます。最初の3カ月は、本当に基礎中の基礎…なぜ、そこに句点が来て、ここに読点が来て、ここで改行するのかといった細かく地味ながらも、それでいて本当に文章の足場となることを理屈で覚えていく作業となります。それを経て、自分の文章力に変化が見えて具体的なテーマを立てた上で、さらに伸ばしたいという方のために取材実習等を考えております。
 
Q プロレスマスコミになりたいのですが、その道は拓いていただけるのでしょうか。
A 講座を通じて私から推薦するに値する能力が身についた方で希望される場合は関連メディアに斡旋します。以前に同センターでおこなった講座からは4名がマスコミ関係の仕事に進み、うち1名が週刊プロレスに在籍していました。プロレスにかぎらず独自にマスコミ、ライターを目指す方も文章力と心構えについては合格レベルのものを養えると思われます。
 
Q 文章の書き方以外に役立つことはありますか。
A まず、講座を受けることで他者の話を聞く姿勢が身につきます。お金を払って参加されるわけですから、あらゆるものを吸収していただきたい。そのために集中することで自己を抑え、他者の目線になれます。じつは文章を書く上でこれが非常に重要になってきます。「読者の気持ちになる=相手の気持ち、立場になって考える」が、私の考えるお金をとる文章とそうではない文章の違いだからです。この講座は、文章実習を通じてそうした姿勢を養う点にもうひとつの目的があります。
 
Q 3カ月更新となっていますが、本当に3カ月だけの受講でもいいんですか。
A 講座のカリキュラムとしては前半3カ月で基礎を身につけ、後半3カ月で実習を重ねるのが1つのサイクルであり、それ以上に実習を積み重ねてより腕を磨きたい方は3カ月ごとに更新し、継続していくほどに上達します。なので、本来ならば6カ月単位で募集するところですが、それだと一度に払い込む受講料等が高くなってしまうため3カ月単位にしました。せっかく身につけた基礎をじっさいに試してみて、添削を受けることでさらにブラッシュアップする。その繰り返しで腕は磨かれていくので、最低でも6カ月は続けることをお勧めします。
 
Q 第2回目以降からの途中参加は可能ですか。
A すでにカリキュラムが進んでいますので、それまでの資料をお渡しし、別枠で受けていない分をまとめて説明することはできます。ただし、半分進んでしまうと内容的にそれが難しくなりますので、途中参加は第3回まで可能と考えています。その場合の受講料等に関してはセンターにお問い合わせください。
 
最後に、過去在籍した受講生が課題で書いた講座の紹介文を掲載します。この方も、スタート時は一般的なテキストでしたが地道に積み重ねた結果、ここまでのリズム感がある読みやすい文章が書けるようになりました。
 
 

文章を書くことによって
引き出されていくもの

三橋 建

 
 
 日常生活において、文字にふれな
いで一日を過ごすのは難しい。街に
出れば、そこには言葉があふれてお
り、学校や会社で私たちはたくさん
の文章と出会うことになる。
 文章の読み書きはコミュニケーシ
ョンのツールとして、会話についで
大切な手段である。相手あってのも
のなので、自分本位の一方的な出力
ではならない。
 インターネットの普及により、誰
でも簡単に公へむけて自分を発信で
きる時代となった。便利になる一方、
twitterや大型掲示板、facebookと
いったところでの他人との衝突や事
件も増えてきたようだ。
 人とのコミュニケーションが円滑
にすすめられるためのものであるに
もかかわらず、文章への理解がない
ために、友人を傷つけてしまう。あ
るいは、間違った情報で結果的に人
を騙してしまうのも、なんとももっ
たいない話だ。
 だからこそ私たちは、その情報が
間違いでないか、自分のことが正確
に発信できているかを見直す必要が
ある。社会全体が文章という表現と
伝達の方法を、学びなおす時期なの
でと思う。
 鈴木健.txt氏の文章講座は名称が
『体感文法講座』となっている。ポ
イントになるのはもちろん“体感”
というフレーズである。
 体感は、この場合“リズム”と置
き換えても構わないだろう。読みや
すく、音楽のように耳に届いてくる
文章ということだ。
 講座では毎回、完成した文章を自
分で音読することになる。書いてい
た時は気づかないのだが、声に出し
てみると、文章のバランスの悪さに
気づく。
“てにをは”といった助詞の使い方
はもとより、句読点の打ち方や段落
の作り方。同じ言葉の重複をさけ、
いかに読みやすい文とするか、じっ
さいに声をだしてみて、それを体感
しながら基本を学んでいく。
 よい文章はすらすらと読みすすめ
ることができ、読み手にストレスを
与えないもの。講座の講師である鈴
木先生は、つねにその存在を意識し
た文章の意義を生徒に伝え続けてい
る。
 日常生活でも、自分のことだけを
くどくどと話し続ける人との会話は
苦痛である。聞き手を意識し、必要
な内容をわかりやすく伝えるのがポ
イントだ。
 文章においても大切なことは削る
作業。誇大する自分をおさえ、いか
に自身へNOをいえるかの闘いでもあ
る。
 また、文章においては文字が紙面
に残ることになる。ここにも読み手
への配慮が必要。たとえば“やさし
い”という言葉は、漢字で書くのと
ひらがなとでは見た印象が大きく変
わる。
 ひらがなを使えば印象はやわらか
いものとなるが、漢字で“優しい”
と書くとその画数の多さから少し重
いイメージを与えてしまう。またこ
の字は“人が憂う”や“すぐれてい
る”という意味でも使われるので、
これを使い分けることによって、自
分の感情をより正確に表現できる。
 漢字の使い方に関してはもっと細
かく指導がある。“超える”と“越
える”とではなにがちがうのか。ま
た「行った」と書くと“いった”な
のか“おこなった”なのかがわから
ない。こういった表記に気をまわせ
るようになるだけでも、一気に読み
やすい文章へと変わっていく。
 課題の作成には毎回テーマが出題
される。劇や映画のレビューだけで
なく、時事問題についての意見、自
分自身のことなど、非常に幅広い。
 書き手はつねに第三者である読み
手を想像しながら書くので、ひとり
よがりな文章にならぬよう、受講者
全員で課題にふれることになる。ま
ずはこの人たちからの共感と理解を
得られるかどうかだ。
 普段こういったことは気の合う友
人とだけ話をしているようなら、気
をつけたほうがよい。講座には老若
男女、さまざまな人が参加している。
職業もちがえば、歩んできた人生も
異なる。
 なにげない出力に、自分の意図と
はまったく別な感想が返ってくるこ
ともある。これを会社などでおこな
っていたかと思うと、少しこわくな
る時もしばしばだ。
 逆に人の課題を読み、自分とはち
がう意見や感想にびっくりさせられ
るケースもしばしば。この講座のお
もしろみは、ここにもある。他者の
意見を知り、自分の見識がさらに深
まっていくのだ。
 課題にはかならず書き直しが必要
となる。大量の“アカ”とよばれる
先生による訂正の指摘をいれられ、
参加者全員の前で音読をし、その体
感を自分で確かめる。そのあとみん
なでほかの訂正箇所や内容について
の評価をおこなう。
 そうやってアカをいれられた部分
を訂正し、ほかの参加者の意見を聞
き、より読み手を意識し書き直して
いくと、それだけで段違いに文章が
よくなるのだ。自分の思考が深化さ
れ、より簡略化された出力に驚くは
ずだ。
 鈴木先生は人の言葉をより深め、
その奥にある思考を引き出すのが抜
群にうまい。そうやって講評と会話
を通したなかでうまれた文章は、見
違えるように読みやすく伝わりやす
くなり、そしておもしろいものとな
っていく。
 そしてこれが文章を書く喜びにも
つながる。自分の思考が言葉となっ
て表現でき、人に伝わったときの感
動は知る人ぞ知るもの。さまざまな
芸術家たちが内面を形にせんと苦悩
しながら、表現する作業をやめない
のがよくわかる。
 引き出されるのはそういった表現
だけではない。文章とは自分自身の
言葉だから、課題を書く際には否応
なしに自らと向き合うことになる。
 人の歩みに大きく左右される文章
は、いわば人生そのもの。自分がど
う感じ、判断してどのように生きて
きたか。日常生活に埋もれてしまい
がちな部分を、この講座は掘り起こ
してくれる。
 そして、文章として自分の言葉で
第三者の前へさらしたときに、あら
ためて己の生き方がどういうもので
あったか、自身がどういった存在で
あるかを見つめなおすことにもなる。
 忙しさにかまけていろいろな人の
気持ちや自分の感情を置き去りにし
ていると感じるのであれば、文章を
書くのはそういったものを引き出す
のに、じつは一番いい方法であった
りもするのだ。確かに、ほかの表現
活動と比べて孤独なものだし、
地味
な作業なのは否めない。
 しかしこの講座では、
人とのつな
がりの中で作っていくも
のだと教え
られる。たとえそれ
が、弱いつなが
りであったとし
てもだ。
 講師である鈴木先生は、プロレス
専門誌の記者だった方だ。現在はフ
リーライターとして、芝居や映画の
レビュー、音楽誌への寄稿などを手
がけている。一方でプロレス中継の
実況やコメンテーター、イベントや
インターネット番組の司会として、
あらゆる媒介で活躍をされている、
マルチな才能を持つ人である。
 文章は通常の記録を目的とした新
聞記事のようなものから、読み手が
思わず吹き出してしまうコミカルな
ものまでと幅広いが、一番の特徴は
人の
歩みを丁寧に追っていき、言葉
だけ
でその軌跡をドキュメント映像
や映
画のように、読み手の脳裏にう
かび
あがらせる表現力と巧緻力だ
う。
 人間の特性を見抜くのが抜群にう
まく、博識と多方面への好奇心を絶
やさない人なので、講師としても生
徒の秘めたる部分を引き出すことが
できるのだと思う。この『体感文法
講座』は、人の内面や能力を呼び起
こす講座でもあるのだ。
 職場で必要な文章作成がより楽し
くなり、コミュニケーションのスキ
ルアップにもつながる。自分の枠が
なかなか広がらずにいるのであれば、
こういった場で今までまったく接点
のなかった人たちの薦める映画やお
芝居にふれてみるのもいいだろう。
 ネット上でのものではなく、生身
の人間としての感想や意見を聞き、
理解を深めていく。このような文化
サロンとしての側面をもつ場所も、
今の時代はなかなかに得難い場所で
あるといえる。
 英語では教育のことを“education”
という。educeという動詞の派生語
で、引き出す意味である。
 いろいろなものに行き詰まりを感
じている方へ、特にこの講座をお勧
めしたい。内面にある本人でも気が
ついていない自分自身を引き出せる
場所と講師が、ここにはある。