今年は例年より多く真夏日があったそうです。
このせいか、ここ数日夏の疲れを体が訴えていると思われる症状の相談が続いています。
特に多く感じるのが、首筋から肩甲骨にかけての痛みやコリ感のある症状や背中の筋肉が張った感じや締めつけ感、それらの症状が両脇から肋骨を巡って締め付けるような感じや痛みがあるという相談です。
症状がひどい方はお医者さんにかかってCT検査や血液検査などを受けたもののこれといった所見は見つからなかったということもよくあります。
これらの症状の多くは、冷房による肩口や首周辺を冷やし続けたことによるものや、体温よりも低い温度の飲み物や食べ物を胃腸に入れ続けたことによる体の内と外の「冷え」から起こる症状のことが多いです。
このような場合によく使うのが五積散(ごしゃくさん)という処方です。
五積散は、和剤局方 傷寒門に記載されている処方で、ベースになっているのが平胃散という胃腸の処方です。5つの滞りを解消する薬剤で、気、血、飲、食、痰という5つを解消することで体の気血水の循環を良くしつつ、胃腸の冷えを解消して消化運動を活発化させる働きがあります。
冷房病によく使われるだけでなく、冷えからくる神経痛にもよく使います。肋間神経痛や坐骨神経痛にもよく使いますし、冷たいものを胃腸に入れすぎてお腹が痛くなったときにも使います。
ここ数日のお客さんには、背中や肩の痛みがある方には五積散と羗活葛根湯を併用したり、肋間神経痛には桂枝人参湯や柴胡疎肝湯を併用したりします。動悸があって息苦しいときには血府逐瘀丸(商品名:冠脈通塞丸クラシエ)などを併用します。概ね数回の服用で楽になる方が多いです。
五積散は非常に優しい処方なので高齢者の方で足腰が冷える、動かしにくい、重だるいと言うときにも体の中から温めるためによく使います。服用していると朝起きるときの足腰の主だるさが解消する方が多いです。