秋になって皮膚炎の状態が変化している方が増えてきました。

 

春の終わりごろから夏にかけては、皮膚炎の中心が掻き傷からの感染症が多く、また外の気温も高いので、汗をかいたり、皮脂腺からの分泌も盛んになって炎症も熱を帯びたり、黄色ブドウ球菌などの細菌感染によるただれたような炎症で熱を帯びたような炎症状態になる方が多くあります。

この症状の捉え方には3つの分類があり、これを間違えると効果が出ないか、逆に症状が悪化することもよくあります。

 

①実熱

赤みやかゆみが強く、浸出液も多く出ているような状態であり症状が激しく、皮膚自体の抵抗力もまだある状態(皮膚の肌目が壊れていない状態)であるときです。幹部の熱感が強く炎症も短時間で広がったりすることもあります。この状態のときには免疫抑制剤であるステロイド剤や抗生物質などがよく効いたりしますが、体質的な虚弱性を持っていると、一時的に症状を抑えられても慢性化していくこともよくあります。また時期によって症状が悪化する場合にも、基礎的な部分の慢性的な炎症にプラスして炎症がひどくなっていることもあります。

この場合には漢方的には清熱、解毒と言った熱を冷ます働きのある生薬を使います。黄連、黄芩、黄柏、山梔子、大黄、石膏、柴胡などがよく用いられます。

処方としては、黄連解毒湯、柴胡清肝湯、越婢加朮湯、白虎加人参湯、竜胆瀉肝湯、十味敗毒湯などがよく使われます。

これらは強い炎症があり、体の回復力がまだある状態に使うものです。

店頭で相談を受けると、これらの強い熱を抑える薬剤を使い続けていて皮膚の回復力が逆に損なわれてしまっている体質、皮膚質の方をよく見かけます。またこの治療をしているときに過度の制限食をしていて、炎症にはきくかもしれないけど基礎体力や精神的にすごく負担になってしまっていてストレスを溜めてしまっている方もよく見かけます。

このあたりは個別の対応方法があるのですが、上記のような熱を冷ます薬を長期間服用するときは色々と配慮が必要となることが多いことに注意です。

健康保険で処方される薬剤は医療用の分量で作られているので生薬料がもともと多くできているので、胃腸の弱い方や炎症を抑えるのに冷やしすぎてしまう分量という方もいますのでそのあたりの量的な問題も注意が必要です。

特にアトピー体質で皮膚の乾燥感が強い方は、強い清熱剤を使い続けると慢性化しやすい事がよくあります。