市販薬の中で葉の痛みや歯槽膿漏に使う漢方薬が最近増えてきました。
以前ならお店で生薬を調合して、煎じて飲んでもらうという薬が多かったのですが最近では粉末のエキス剤が出てきているので少し価格は高めですがよく効いてくれるので重宝しています。
一番最近販売され始めたのが「桂枝五物湯エキス細粒G(コタロー)」です。この処方は江戸中期頃の漢方医である吉益東洞先生が経験的に歯の痛みや歯肉炎、歯槽膿漏によく使ったとされる処方です。この先生は、日本で始めて麻酔をかけて外科手術を奥さんに施したことで有名な花岡青州先生の師匠筋に当たる方です。
桂枝五物湯は、桂枝、黄芩、桔梗、地黄、茯苓という5つの生薬で作られる処方で、歯の痛みや歯茎の痛みや腫れ化膿がまだ起こり始めたようなときによく効く処方です。
腫れが酷くて痛みが酷いときで、ほっぺたが腫れているようなときには葛根湯に石膏や桔梗石膏、黄芩を加えて使いますがそれよりは幾分腫れが穏やかな状態で使います。
以前ここでも紹介したことのある「甘露飲」はこの状態よりも進んだ状態で、歯茎の腫れや痛みが少し慢性化したり、歯槽膿漏が進行したり、歯肉が痩せて、歯肉下がりが顕著になり、慢性的な痛みがあるような状態に使います。歯がぐらついたような状態にも良い処方で、処方の中に地黄がたくさんはいるので腎を強めて骨を丈夫にすることを狙っていて、歯の植わっている歯槽骨を健康にしていく働きがあります。
この2つの処方には茯苓や石斛、枇杷の葉が配合されていて、これらは口の中の細菌のバランスを改善すると思われるので口臭にも良い効果があります。
波の痛みは、激しくなると顔面の神経に影響が及ぶことがあり、例えば右の奥歯が痛みを起こすと、なんでもない反対側の歯二痛みがあるような感じがすることがあります。これは投影痛の一種のようなもので、左右対称に神経が走っていると見られる現象のようです。
これ以外にも排膿散及湯が歯槽膿漏の適応があります。これは化膿が進んでいるのに膿が溜まっているようなときに使うと良い効果があります。
これらの薬をうまく使い分けると、歯や歯茎の健康が守りやすくなります。