テレビのCMやドラッグストアでも見かけるようになった喉のつまり感に使われる半夏厚朴湯。処方箋でもよく見かける処方の一つになりました。

この半夏厚朴湯は漢方の古い医学書である金匱要略という書物の「婦人雑病門」というところに「婦人、咽中炙臠(焼いた肉のこと)あるが如きは、半夏厚朴湯之を主る」とあるところからストレスや婦人病にともなう咽の違和感によく使われる処方です。処方の内容は半夏、茯苓、厚朴、紫蘇葉、生姜を成分としていて、痰と気のつまりからくる咽のつまり感に使われる薬剤です。

ここで大事なのは、ストレス等によって起こる気のつまりだけではなく、半夏、茯苓という痰や水に対して使う生薬が配合されている点です。この生薬が配合されていることから、この処方は咽が乾燥していたり空咳があるような乾燥した時の状態に使うのではなく、まだ元気で咽にある程度以上の潤いが残っている状態の気詰まりに使うということです。

よく年配の方で、唾液の分泌が低下したり、咽がイガイガするということをよく訴える人がこの半夏厚朴湯を飲んでいるのを見かけますが、これは避けるべき使い方です。半夏厚朴湯にも乾かしすぎてしまう副作用があるので注意してほしいです。

 

喉の違和感に使われる処方は他にもあります。

慢性的な炎症があって喉の違和感があるときに使う柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)。

生理前や更年期時によく起こる症状にt買われる「逍遙散(しょうようさん)」。

甲状腺が少し晴れているような方で機能更新があるときに使われる「炙甘草湯(しゃかんぞうとう)」。

みぞおちから喉にかけてつまり感があるときに使われる「定悸飲(ていきいん)」や「苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)」。

これらがしばしば起こる状態でおへその周辺に動悸を感じる人は「八味地黄丸」「六味丸」「天王補心丹」に「桂枝加竜骨牡蛎湯」などです。

 

喉のつまりがよく起こる方で半夏厚朴湯を使っても良くならないときには背景にいろいろな状態が関係していることがありますのでそのあたりは専門家にしっかりと見極めてもらう必要があります。

 

個人的な経験では半夏厚朴湯は3日以上続けて効果が出なかった場合は、それ以上続けても症状が改善しないことが多いように感じています。