4月8日(木)【16:50】

 

JIMIN>

 

 

「お疲れ様でした~」

 

バラエティ番組の収録を終えて

控室へ戻る通路は、

相変わらず、うるさかった。

 

テヒョンは、

・・ちゃんと笑ってる。

 

ヌナとの関係を戻したい

 

それは、メンバー、

みんな同じ想いだったけど

 

たぶん、みんなの中でも

迷いが出てきてる。

 

ヌナとの関係を戻す事で

少しずつ見えてきたこの笑顔が

また、消えてしまうのを。

 

いつか、戻す。

 

それは、変わらないはずなのに・・

 

 

 

 

 

 

・・あれ?

 

 

メンバーから移した視線の先

髪をアップにした小柄な女性の

背中が見えた。

 

ジウさん?

 

 

彼女は何も言わなかったけど

 

現場で彼女を見なくなったのは

アメリカから帰国してからだった。

 

俺との事で何か言われたのは

明らかだった。

 

こっちで仕事できるように

なったのかな

 

半年は会っていない彼女を

近くに感じたのは

この前、ゲームの世界で

奇跡的に繋がったから。

 

もちろん、彼女は、相手が

俺だとは知らないままだったけど

会う約束もしてないのに、

今度会ったら、この話をするかどうか

しばらく悩んだ。

 

「どうした?ジミナ」

 

!?

 

ホソギヒョンの声に

肩が動いてしまった。

 

「あ、い、いや、知り合いの

スタッフが見えたから」

 

「どこ?」

 

「え?」

 

あれ?

 

さっきまで見えてたのに

 

「見間違い?」

 

「・・じゃないと思うけど・・あ、」

 

いた

 

 

 

 

 

「ジミナ~、すぐ戻ってこいよ~」

 

ヒョンの声は背中で聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、ジウさん」

 

!!!っっ

 

先にかけられた声に思わず

手前の柱の陰に隠れてしまった。

 

「ヘジンさん」

 

ヘジン・・?

 

柱の陰から、少しだけ覗くと

ジウさんと、年上の女性が

楽しそうに話していた。

 

・・・・誰?

 

 

「今日は、収録だったんですか?」

 

「えぇ、ジウさんは

現場に戻れたの?」

 

「はい、院長の新しい担当の

グループの方で」

 

・・・・こっちには、こないのか

 

「よかったわね」

 

「はい」

 

「じゃあ、頑張って」

 

「はい、ありがとうございます」

 

できるだけ、不自然にならないように

柱を背に立ってみたけど

 

スマホも見ずに

立ち尽くすには、限界があった。

 

「あ、ジウさん」

 

彼女から離れた女性の声が

さっきより近くで聞こえた。

 

「配信、見たわ。

すごくかわいかったわよ。

頑張ってね」

 

配信?

 

もう、ジウさんの声は聞こえなかった。

 

なんだ、配信って

 

「・・もしかして、パク・ジミンさん?」

 

!!

 

急にかけられた声に慌てて視線を上げると

さっきまでジウさんと話していた女性が

俺の方を見て立っていた。

 

「あ、はい」

 

「急にごめんなさいね。声かけちゃって」

 

「あ、いえ・・え、と」

 

キレイな女性だった。

 

どっかで見た事がある・・。

 

「チョン・ヘジンと申します」

 

自然と手の中に渡された名刺

 

その肩書で頭の片隅にあった記憶が

飛んできた。

 

「あの、もし、よければ

写真撮ってもらえないかしら。

娘があなたの大ファンで。

ファンクラブにも入ってるの。

ほら、え、とARMYって・・

で、よかったかしら?」

 

「ああ、そうなんですね。

応援していただいて

ありがたいです。

写真、ここでいいですか?」

 

「ホントにありがとう。娘が喜ぶわ。

・・あ、でも、私が一緒に撮ったら

やきもち焼かれるだけかしら」

 

肩書に見えていた彼女とは違う

母親の表情に自然と言葉が出た。

 

「あ、じゃあ、動画で撮りますか」

 

「いいの?ありがとう。

あ、ちょっと待ってね。

動画は・・あ、娘の名前は

ジアンって言うの」

 

「ジアンさん・・」

 

ふと、思い出した。

 

「どうかした?」

 

「あ、いえ。・・えっと、

ジアンさん、パク・ジミンです。

応援してくれてありがとう。

これからも頑張ります。ジアンさんも

身体に気を付けて、頑張ってください

・・・・どうでしょうか?」

 

「ありがとう。娘もすごく喜ぶと思うわ。

ごめんなさいね、忙しいのに

足止めしちゃって。ホントにありがとう。

あ、これは、むやみに人に見せないように、

きつく言っておくから。って言っても

娘自身が見せないでしょうけど、

じゃあ、これからも頑張って」

 

丁寧に身体を倒されたから、

慌ててお辞儀をした。

 

ジアン・・

 

確か、あの女の子の名前は

“ジア”だった。

 

俺の事を応援してくれて、

心臓の手術が成功して退院する時に

駆け落ちして式も

挙げていなかった両親に

病院のスタッフと協力して、

“結婚式”をプレゼントした。

ナムジュニヒョンから聞いて、

俺達も協力させてもらえる事になって。

 

彼女の未来の為に作った

未完成の歌は、ヌナが作詞をして、

 

そういえば、

その子を担当していたのは

ジウさんの彼氏さんだったな・・

 

 

なんか、急にいろんな事を思い出した。

 

 

 

ジアちゃんは、

元気にしてるのかな

 

 

 

 

 

やば、

 

もう、戻らなきゃ。

 

 

・・・・配信ってなんだ?

 

 

スター スホ(2020年)

 

 https://ameblo.jp/kennag/entry-12783997756.html 

 

 

 

 

 

https://ameblo.jp/kennag/entry-12784005461.html 

 

 

 

 

 

~・~・~・~

 

 

なんで、そう思ったのかは

わからなかったけど

なんとなく“JIULU”で検索をすると

 

スマホの中に

彼女の笑顔が映った。

 

 

まだ、ぎこちないけど

 

一生懸命、頑張ってる。

 

 

・・・・。

 

これ、アカウント作って

フォローするかな

 

 

アカウントは

 

 

・・よし

 

 

彼女が気づいてくれたらいいな。

 

喜んでくれたら・・

 

「何か、いい事あったのか?」

 

!?っっ

 

「べ、別に」

 

気配に全く気付かなかった。

 

「ふ~~~ん」

 

すぐ横に座ったジンヒョンの

 

形のいい唇の端が上がった。

 

・・・・。

 

 

 

 

スター RM