【絶滅危惧の東武鉄道古参列車の旅③】SL大樹の旅(鬼怒川温泉〜下今市) | 湘南軽便鉄道のブログ

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その他、5インチゲージ自家用乗用鉄道「湘南軽便鉄道」についても掲載。路線は湘南本線(ベランダ線・路程約0.01km)があったが現在廃止。新たな庭園鉄道敷設の構想中。

(前回記事の続き)

(DL大樹  @鬼怒川温泉駅)







東武鉄道鬼怒川線・鬼怒川温泉駅
観光列車「SL大樹」



SL大樹用の蒸気機関車の入れ替え作業

蒸気機関車のすぐ後ろには事業用貨車「ヨ8000形」を常に連結。元は国鉄の貨物列車の車掌車で、1978年(昭和53年)製。この「ヨ8709」はJR西日本から譲受。この他、JR貨物から譲受した「ヨ8634」も在籍。
東武鉄道では、ヨ8000形に、蒸気機関車内に設置できない自動列車停止装置(東武形ATS(TSP))を搭載し蒸気機関車と連動し安全を確保。したがって車掌車に車掌は乗務していない。


車掌車の窓からは、「鬼怒川温泉おにまつり」の鬼たちが顔を覗かせている。

JR西日本時代の鳥取県・米子の車両略号「米ヨナ」


ちょうど、「江戸ワンダーランド日光江戸村」とのコラボイベント「神出鬼出 あっぱれ日光!SL大樹珍道中~EDO WONDER TRAIN~」として運行

「EDO WONDER TRAIN 邪気退散」

蒸気機関車「C11形325号機」は、1946年(昭和21年)日本車輌熱田工場製。ローカル線列車のけん引用や入換用として、国鉄の茅ヶ崎機関区(相模線、南武線)・米沢機関区(米坂線、左沢線)で運用。現役引退後は新潟県水原町(現・阿賀野市)で静態保存されていたが、その後動態保存復活し、真岡鐵道(下館〜茂木)の2機のSLのうちの1機として活躍。
真岡鐵道から引退後、東武鉄道に移り、2機目のSLとして活躍中。


東武鉄道では3機の蒸気機関車を保有
他には、「C11形207号」と「C11形123号」がある。

「C11形207号」は、1941年(昭和16年)に日立製作所笠戸工場で製造。長らく北海道で活躍し、廃車後北海道静内町(現・新ひだか町)で静態保存。2000年(平成12年)動態復元しJR北海道で「SLニセコ号」「SL冬の湿原号」で活躍。その後東武鉄道が借り受け運行開始。
車両正面左右に前照灯を備えた「カニ目」が特徴。

「C11形123号」は、1947年(昭和22年)に滋賀県の私鉄・江若鉄道の発注で日本車輌製造にて製造され客車列車牽引で活躍。1957年(昭和32年)から北海道の雄別炭礦鉄道(C11-1)、1970年(昭和45年)から釧路開発埠頭で貨物牽引で活躍。1975年(昭和50年)に廃車され、個人による静態保存の後、日本鉄道保存協会で静態保存。
東武鉄道が譲受し動態運転に向け現在整備中。今後は車両番号を「C11形123号」とし運転開始予定。





鬼怒川温泉駅前広場の転車台で向きを変えた後、客車に連結のため、側線から本線へ向かうSL


本線で一旦停止し、バックで入線する。

鬼怒川温泉駅前広場にある転車台へ向かう線路(左)

標高386mの鬼怒川温泉駅

SL連結を待つ国鉄型客車

SLがバックで入線

SL車両に積めない自動列車停止装置(東武形ATS(TSP))を積んだヨ8000形(元・車掌車)が客車に連結



「EDO WONDER TRAIN  絢爛豪華」





乗車する「SL大樹2号」は、「江戸ワンダーランド日光江戸村」とのコラボイベント期間中は、「神出鬼没 あっぱれ日光!  SL大樹珍道中」のヘッドマークを掲出











連結完了


先頭3号車「オハフ15 1」

かつては国鉄、JR東海、JR四国で活躍していた車両

オハフ15形のトップナンバー




2号車「オハテ12  2」

展望デッキ付き

JR四国時代は、快速「ムーンライト高知」「ムーンライト松山」だった車両



12系にはサボ差しがあり、行先サボが取り付けられている。

国鉄グリーン車をイメージした淡い緑帯を纏う。





最後尾1号車「スハフ14  1」

国鉄14系座席車の初期車を、東武鉄道博物館所有の動態保存車としてSL大樹等で運用。












鬼怒川温泉駅舎

駅前広場には蒸気機関車の転車台(ターンテーブル)




「DL大樹」到着、大樹同士の並び
午前11時05分、隣のホームに下今市駅発の「DL大樹3号」が鬼怒川温泉駅に到着

到着した列車は、寝台特急北斗星牽引DL色を模した「DE10-1109」に、ぶどう色の14系・12系客車3両を繋げた編成。

この「DE10形 1109号」は、1971年(昭和46年)日本車輌製造豊川工場製。国鉄一ノ関機関区、JR東日本では青森駅構内での客車・貨車の牽引・入換作業等で活躍。東武鉄道がJR東日本より譲受し、「SL大樹」運転時の補機や「DL大樹」客車牽引で活躍。
塗装はJR北海道でかつて寝台特急「北斗星」等牽引で活躍していたDD51形ディーゼル機関車の塗色を模した“青色に金色帯と流星マーク”を施したものに変更。

SL大樹等のヘッドマークのロゴは、書道家・涼風花氏の筆


ヘッドマークデザイン

《書道家・涼風花氏》




SL大樹は、勾配対応や万が一のSL故障時の救援のため、編成後尾にディーゼル機関車を連結する場合が多い。
東武鉄道ではこの青い「DE10-1109」のほか、もう1機朱色の「DE10形 1099号」も在籍。「DE10形 1099号」は、1971年(昭和46年)日本車輌製造豊川工場製。国鉄福知山線等、JR東日本入換・工事用列車牽引等で活躍し、2014年度末に運行終了。東武鉄道がJR東日本より譲受し、「SL大樹」運転時の補機や「DL大樹」客車牽引で活躍。塗装は朱色の国鉄色を堅持。



「DE10-1109」には、タブレットキャッチャーは無い。もう1機の「DE10形 1099号」には付いている。




「DE10-1109」の運転台は旋回窓。「DE10形 1099号」は旋回窓ではない。


ぶどう色の14系客車は扉が引戸の元JR北海道車。JR北海道時代末期は急行「はまなす号」で活躍していた。

色違いの14系座席車同士が並ぶ。




「SL大樹2号」下今市行きに乗車

テールマーク



午前11時10分、鬼怒川温泉駅発車
途中停車駅は、東武ワールドスクウェア駅のみ。

座席は国鉄時代からの簡易リクライニングシート
背もたれのヘッドカバーは、通常白いものが掛けられるが、「江戸ワンダーランド日光江戸村」とのコラボイベント期間中のため特別デザインのヘッドカバーに入れ替わっている。

《参考︰通常は白いヘッドカバー↓↓》



簡易リクライニングシートは、肘掛けのレバーを操作し、背中で背もたれを押すと一段バタンと後ろに少しリクライニングする。しかしリクライニングにストッパー機能がなく、身体を起こすとリクライニングが「バタン」と戻ってしまう。そこでこの簡易リクライニングシートは「バタンシート」、「バッタンシート」と呼ばれる、今ではなかなか見られない懐かしいタイプ。

車内販売用のワゴンが通路に待機



2号車「オハテ12」

12系客車を改造した2号車のみ4人掛けボックスシート。大きなテーブルが新たに取り付けられている。



乗車した「SL大樹2号」は、「江戸ワンダーランド日光江戸村」とのコラボイベント期間中のため、窓の上部には「あっぱれ日光  SL大樹珍道中」の暖簾

乗車した「SL大樹2号」は、「SL大樹」に乗り込んだ女盗賊「雷お新」一味と、SL大樹を追いかける沖田総司率いる「新撰組」による江戸活劇が繰り広げるエンターテイメント列車

窓は2段開閉式だが、下段窓の開閉用つまみは撤去され、現在は下段窓は開閉できないようになっている。


国鉄時代からの天井の冷房機

沿線の畑にはうっすら雪が積もる。


「江戸ワンダーランド日光江戸村」とのコラボイベント期間中は、「あっぱれ日光  SL大樹珍道中」として、車両内外でイベントを実施。車外では新選組に扮した人たちがSL大樹をずっと追ってくる。


「オハテ12」の展望デッキへ。

SL大樹の14系座席車は、国鉄時代の波動用の特急車両であり、窓は固定式でSLの煙や匂いを体感できないため、これを体感できる展望デッキが新たに設けられた。


鬼怒川に沿ってゆっくり走る。





新高徳駅通過



単線の鬼怒川線を行く。


鬼怒川橋梁を渡る。






砥川橋梁。小百川を渡る。


煙や蒸気を噴き上げながらSLはゆっくり進む。




大桑駅通過

20400型普通列車とすれ違い。

列車を追いかけてきた新撰組に扮した人たちがホームでSL大樹を待ち伏せ。





車窓右側に、倉ヶ崎SL広場。花の季節になると花畑になる。

小さなハート型の池ミニ富士山




車窓右側には標高2000m級の日光連山





大谷川橋梁

大谷川を渡る。

雄大な日光連山

左側は日光連山を代表する男体山

新撰組に扮した人たちがSL大樹に向かって突撃、と思いきや、新選組はここでSL大樹に向かって一礼してお別れ。



右後ろから東武日光線と合流


間もなく終点・下今市



反対側のホームには、11時46分発の特急「きぬ115号」鬼怒川温泉行きが発車待ち。1991年(平成3年)にアルナ工機製の東武100系「スペーシア」の第5編成。
2011年(平成23年)のリニューアルにより、「雅」をイメージした江戸紫を基調とし「フューチャーブルー」の帯を巻いた外観になった。


11時45分、終点・下今市(しもいまいち)駅到着








※2022年(令和4年)2月



(続く)