【古事記神話】本文
 (~その88 国譲り編 4)






天菩比神の葦原中國への派遣は失敗に終わりました。


第2弾として、天若日子が派遣されることとなります。


長らくこの神の謎が解けずにいましたが

わずかな一筋の光明が見えてきたかなといったところ。


「出雲~大和」間でばかり考えていたので

なかなか見えなかったのです。


一筋の光明は「美濃」にありました。


また遠征せねばならんのですが…。



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是を以て高御産巢日神 天照大御神亦た諸神等に問ひたまはく 葦原中國に遣わせる所の天菩比神 復奏まをさず 亦た何れの神を使はしてば吉けむと告りたまひき 爾に思金神 答へて白さく 天津國玉神の子 天若日子を遣わす可き 故爾に天之麻迦古弓 [麻自り下以て音] 天之波波 [此の二字以て音] 矢 天若日子に賜ひて遣わしき


【大意】

高御産巢日神と天照大御神はまた、諸神等に問いました。「葦原中國に遣わした天菩比神は久しく返事が無いが、また何れの神を遣わせばよいだろうか」と。すると思金神は「天津國玉神の子である天若日子を遣わすべきです」と答えて申し上げました。そこで天之麻迦古弓と天之波波矢を天若日子に授け遣わしました。



【補足】

葦原中國への天菩比神派遣が失敗に終わり、続いて天若日子が派遣されることになりました。またもや思金神の提案。またもや失敗するのですが、責任問題は問われないのか?などと詮索するのはやめましょう。


天若日子の父として語られているのが「天津國玉神」。謎の神。事蹟から系譜から何も語られていません。天若日子の出自がよく分からないため、適当に創り出した神なのでしょうか。

おそらくは大国主神の別名である「宇都志國玉神」(顕國玉神)に対応させたものでしょう。「天上の精霊たる神」といったところでしょうか。


◎「天之麻迦古弓」と「天之波波矢」が授けられました。大仰な名で語られる武器ですが、天若日子の場面でしか登場はせず、どのようなものかは分かりません。
紀の一書には「天鹿児弓」と記されていることから、鹿を仕留める用途の武器とする説もあるようです。葦原中國平定のための璽(レガリア)のようなものだったのではないかと認識しています。


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【読み下し文】
是に於ひて天若日子 其の國に降り到りて 即ち大國主神の女 下照比賣を娶りて 亦た其の國を獲むと慮りて 八年に至るまで復奏まをさず


【大意】

天若日子はその国に降り立ち、大國主神の娘である下照比賣を娶り、その国を獲ようとして八年も返事をしませんでした。



【補足】
取り立てて補足することもないのですが、下照比賣について高照姫命の記事にて少々触れております。





今回はここまで。

次回も天若日子の話が続きます。




*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。