岡八幡宮 (伊賀市白樫)


伊賀国伊賀郡
三重県伊賀市白樫1638
(公園を併設した大きな駐車場有)

■祭神
譽田別尊 神功皇后 仲津姫命 仁徳天皇 大山祇神 伊賀津彦命 伊賀津姫命 天兒屋根命 火之迦具土命 大物主命 建速須佐之男命 蛭子命 五男三女神 菅原道真公


伊賀市郊外の農村「白樫」に鎮座する社。ほとんど知られない片田舎ではあるものの、太古からの霊地であることを感じさせる地であり、式内社ではないものの重要な一社であるかと思います。
◎創建は文治五年(1189年)。源頼朝公が平泉の藤原泰衛に義経を功殺した後、泰衛追討の院宣を得ます。その戦勝祈願を鶴岡八幡宮(未参拝)で行った際に、戦勝し全国平定を遂げた暁に全国60余国に「岡八幡宮」を建立することを約束。一番初めに建てる地を伺うと、伊賀国という神託があったとされます。なぜか一宮である敢國神社からは遠く離れたこの地に創建されました。頼朝はこの後亡くなり、全国60余国にという計画は頓挫、最初で最後の「岡八幡宮」となりました。
◎なぜ伊賀国であったのかは謎。また同じ伊賀国内でもなぜこのような地に創建されたのかも謎。伊賀国にという神託はさておき、当地の東1km余りの「竜王山」は上古からの霊地であったようです。夥しい磐座群が山頂から中腹にかけて座しており、また磐座の宝庫である山添村からそう遠くはない距離でもある地(7~8km程度)。そう考えると縄文創草期からの祭祀場であったのではないかとも。
◎ご本殿の左側(向かって右側)に尺殿明神と称される大山祇神と伊賀津彦命・伊賀津姫命を祀る祠(山神の磐と覆屋のみ)が鎮座します。これは当地を開拓した伊賀津彦命夫妻が山の神を祀ったというもの。従者が五村に分かれて奉斎したものを、当社にて合祀したようです。
◎したがって頼朝公による創建説話云々の遥か上古からの霊地であり、ここで伊賀津彦命が祭祀を行ったのを創祀と考えます。当地は霊峰「竜王山」の遙拝所的な地ではなかったかとも。
◎伊賀津彦命については伊賀国開拓の祖。「伊勢国風土記」逸文によれば、伊勢津彦命と同神とみなされ、敢國神社穴石神社にまつわる記述がみられます。本居宣長は建御名方神と同神としていますが、やや難ありといったところでしょうか。伊勢国や伊賀国、出雲国にも関わる謎深い神でもあり、いずれ記事を起こしたいと思います。

「竜王山」磐座群 








こちらが尺殿明神。