志都美神社


大和国葛下郡
奈良県香芝市今泉592
(P有)

■延喜式神名帳
志都美神社の比定社

■旧社格
村社

■祭神
天児屋根命
中筒男命
誉田別命


武烈天皇陵の南隣に鎮座する社。香芝ICの南すぐ、平地に位置します。
◎式内比定社ながら創建由緒について諸説あり、いずれとも決めがたい社。
◎社頭案内には藤原鎌足六世孫の片岡綱利が、813年に清水神社という祠を建て、後に志都美神社と改称したとしています。つまり「しみず」→「しずみ」への転訛。境内には「清水の井」というものがあり、盲目僧がその清水で目を洗うと霊験を得たなどという伝承も。「大和名所図絵」には「清水八幡」として描かれています。
◎また同じく社伝では「鹿葦津比賣命」であるとも(社頭案内には記載無し)。正体不明の神ですが、大和国では吉野町南国栖に鎮座する大蔵神社のご祭神に見えます。
「国樔村史」に「川上鹿鹽神社」を「大倉神社」と誤記したものとあります。「川上鹿鹽神社」は式内社で、比定社は吉野町樫尾(かしお)に鎮座する川上鹿塩神社。大倉比売命(下照姫命)をご祭神とする説があります。「鹿葦」と「鹿鹽(かしお)」は同義なのでしょうか。
◎近江国甲賀郡の吉姫神社は上鹿葦津姫大神をご祭神としており、こちらは木花開耶姫と同神としています。
◎また「鹿塩」という地名は長野県下伊那郡大鹿村鹿塩に見られ、「本諏訪社」と呼ばれる葦原神社(未参拝)が鎮座します。
岐阜県川辺町(美濃加茂市の隣)にも「鹿塩」という地名があります。「鹿塩・鹿葦」という語には何かが秘められていそうな気もします。鴨族と関係があるのかもしれません。
◎別説として「シズヒメ命」を祀っていた神社ではないかというもの。シズヒメ命は木花咲耶姫のこととされています。
◎さらに背後の森(万葉集にも歌われる)が椎の原生林であったようで、「椎摘み(しいつみ)」からの転訛などというものも。
この背後の原生林ですが、武烈天皇陵(治定墓)があります。「神籬樹叢」として神聖視されていたようで、ご本殿の向きからも武烈天皇陵を拝しているととれなくもありません。散策したところ神籬跡らしきものがありました。
◎以上のように多くの謎を秘め興味の尽きない社ですが、現在は氏子の減少などで境内は荒れ果て存続が危ぶまれています。
また2018年の大型台風で相当な被害が出たようで、拝殿以外はほとんど進入禁止となっていました。2020年12月参拝時はかなり修復されています。

※写真は過去数年に渡る参拝時のものが混在しています。


西面する一の鳥居。






2019年参拝時には既に撤去され、ここから先は立ち入り禁止となっています。

背後を散策してみたところ神籬跡と見れなくもない石組みがありました。写真は消失しました。

かつて大阪にあった「松島遊郭」の守護神のようです。「オールニッポン性道選手権大会」が開催されたようで、15ラウンドまでいったとか…。