福島九頭神社


紀伊国名草郡
和歌山市福島一本木73
(P無し、アクセスは下部写真参照)

■祭神


「紀ノ川」の河口間近、川からほど近い市街地内に鎮座する社。
◎創建由緒については社頭案内に以下のように示されています。
━━元永元年(1118年)、白河法皇吉野より紀州熊野に行脚される。紀ノ川の西への道中、大河を眺め随所に流れ入る支流を、竜の頭に準え九頭と名付ける━━
これを以て創建とは明言してはいないものの、概ねそのような認識であろうかと。
◎「紀ノ川」流域に多く鎮座する九頭神系の神社では磐排別神が多く祀られているように思います。これは大和国内の「吉野川」(「紀ノ川」上流)でも同様。
磐排別神は神武東征時に、大和国吉野の山中で岩を押し開き現れたとされる土着の人物(神)。国樔(くず、国栖)の祖であり、吉野首(吉野連)の祖でも。
◎ところが大伴氏の始祖からの系譜を載せる「古屋家家譜」に於いては、当社名らしき社名が見えます。
始祖を高皇産霊尊(異論有り)として、安牟須比命→香都知命(紀伊国名草郡 香都知神社)→天雷命(紀伊国名草郡 鳴神社)と続けています。( )内は補注。安牟須比命・香都知命・天雷命は同神でカグツチ神のことであろうとも。
そしてそれに続くのが天石門別安国玉主命。別名として大国栖玉命と大刀辛雄命(手力男神)であるとし、紀伊国名草郡の朝椋神社と同国同郡の九頭神社(おそらく当社のこと)等で祀られると補注しています。
◎これを採るなら、当社は大伴氏が祖神(天石門別安国玉主命=大国栖玉命=手力男神)を奉斎した社であるということになります。同じ名草郡内の刺田比古神社の境内社 大黒社(祭神/大己貴命)に於いては、「国を守る」神社という意味を込めて「国主神社」としたのが、転じて大国主命を祀る神社となったとしています。紀伊国内には同様の事例と思われる社が他でも見受けられます。
◎以上から当社創建は遥か古代に遡るのではないかと考えています。式内社と成り得なかったのは、当社が「福島」一村を氏子とする社であったからかと。往古は大伴氏の裔たちの集落ごとに磐排別神が祀られていたのではないかと想像されます。

*写真は2018年9月と2024年3月撮影のものとが混在しています。


スーパーエバーグリーン福島店から徒歩10分足らず。






牛滝神社と不明社

白龍王大神、大国主命

天神社(天満宮)




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