御厨子神社
(みずしじんじゃ)


大和国十市郡
奈良県橿原市東池尻町447
(P有、御厨子観音と共同、入口は下部写真のところから、左手にあるキレイな方は御厨子観音)

■祭神
根裂神(ネサクノカミ)
安産霊神(ヤスムスビノカミ)
[合祀] 品陀和気命


「天香山」の北東500mほど、「御厨子山」という小山の山頂に鎮座する社。当社のすぐ東側から伝説の「磐余池」(「市磯の長池」、「埴安池」とも)がありました(詳細は「鳥見山・多武峰郷土史 伝説の埴安池 その1その2」を参照)。
◎社名に関して2説あり。一つはその「磐余池」の「尻」にあたることで、「水尻」から転化したもの。もう一つは「御厨子所(内膳司)」からのもの。当社の北側に「膳夫(かしわて)」という地があり関連付けられます。前者の方が一般的ですが、素直に考えるなら後者の方でしょうか。
◎境内の鬱蒼とした竹藪の中に「月輪石」というものが座しています(下部写真参照)。真っ二つに割れたもので、ご神体かと思われます。ご本殿がそちらを向いていないのが気になりますが。磐座信仰の一つととらえるべきでしょうか。
◎ご祭神は根裂神であり磐裂神と対になるもの。イザナミ神がカグツチ神を産んだ際に女陰を焼かれ亡くなったことで、イザナギがそのカグツチ神を十握剣で斬り殺します。その滴る血から化生した神とされています。
いろいろな解釈がなされますが、根を裂くほどの磐を裂くほどの霊威をもった剣の神格化でしょうか。その「月輪石」には磐裂神が宿るとされています。
安産霊神については不明。斬られたカグツチ神、つまり火産霊神からの誤植でしょうか。
境内の荒み具合はかなりひどく、人気の御厨子観音とはあまりに対照的。おそらくほとんど管理がなされていないようです。

*写真は2018年7月と2021年2月撮影のものとが混在しています。


参道へと続く入口。右手は駐車場。



ご本殿の瑞垣は倒壊、あまりに酷い惨状。

修復されており一安心。

鳥居内右手に見えるのが「月輪石」。竹藪の中に埋もれているため、探し出す必要があります。




社前からの「磐余池」と万葉歌碑。