鐸比古鐸比賣神社
(ぬでひこぬでひめじんじゃ)


河内国大縣郡
大阪府柏原市大県4-6-1
(P無し、石段手前の左隅ギリギリに寄せて足早参拝しか方法無しか)

■延喜式神名帳
鐸比古神社の比定社
鐸比賣神社の比定社
若倭彦命神社 鍬 の論社
若倭姫命神社 鍬 の論社

■旧社格
郷社

■祭神
鐸比古命
鐸比賣命


背後の「高尾山」(標高278m)をご神体、神奈備とする神社。麓の方の斜面に鎮座しています。
◎元々は神名帳が記すように2社であり、鐸比古神社は頂上付近にあったのが中世に鐸比賣神社のところに降りて来たようです。
◎その頂上には巨石が座し、岩盤なども露出する磐座信仰の聖地。また一帯は弥生時代の高地性集落であり、土器や石器が出土しています。中でも頂上より少し下ったブドウ畑から多紐細文鏡が出土。朝鮮式の鏡であり、渡来人が居住していたことが分かります。
また麓の西方は大県遺跡。縄文時代の流路、弥生時代から古墳時代の竪穴式住居などが発見されています。
◎この辺りから「雁多尾畑(かりんどおばた)」と呼ばれる地に鎮座する金山媛神社金山彦神社、さらに龍田の方までは一連の山地。古代たたら製鉄の一大産地でもありました。高度な技術を携えた渡来人たちが製鉄業に従事していたもよう。「高尾山」の山中でも鍛治炉跡や鉄屑も見つかっています。「鐸」の神名がその何よりの証。上述の大県遺跡から鍛冶炉の他、鉄滓も出土しています。
◎ご祭神は記に見える沼滞別命(ヌタラシワケノミコト)、紀に見える鐸石別命(ヌテシワケノミコト)と同神。第11代垂仁天皇と渟葉田瓊入姫(ヌハタニイリヒメ)の御子神。渟葉田瓊入姫はいずれも垂仁天皇の妃となった丹波道主王の5姉妹の次女。「鉄」など金属に深い関係を持つ神々です。
◎鐸比古神は道鏡事件で有名な和気清麻呂の祖神であり、吉備国の和気神社(未参拝)と当社でのみ祀られています。吉備国もまた「鉄」を巡っての多くの歴史が繰り広げられた地。
◎なお同じく式内社の若倭彦神社若倭姫神社を合祀していました(戦後に復社)。







以下、柏原市立歴史資料館の展示物。

左上の一角が大県遺跡からの出土品。

上段が大県遺跡からの出土品。