廣國神社


河内国丹比郡
大阪府堺市美原区大保248
(境内東側にP有り)

■旧社格
村社

■祭神
廣國押武金日命
[合祀] 保食神 猿田彦命 大国主命 誉田別命 天照大御神 天児屋根命 市杵島姫命 金山彦命 須佐之男命 菅原道真公 石凝姥命 鍋宮大明神


第26代安閑天皇(廣國押武金日命)をご祭神とする社。鎮座地は美原区「大保(だいほ)」、境内は国道309号線に接しています。
◎安閑天皇は継体天皇の後を受け在66歳の高齢にて即位、在位わずか4年の天皇。主な事蹟は「屯倉」の大量設置くらい。継体天皇崩御後に皇位継承戦争が勃発、安閑・宣化朝と欽明朝と二朝並立説もあります。
宮は大和国高市郡(現在の橿原市)の「勾金橋宮(まがりのかなはしのみや)」に設けられ、現在は金橋神社の中に。治定墓は古市古墳群の中の古市高屋丘陵、当地より東方5km余り。
◎安閑天皇は神仏習合の影響で蔵王権現と同神とされてしまっています。これは林羅山の「本朝神社考」の影響、「金峰山」に顕現した権現が「吾は廣國押武金日命也」と「和漢三才図絵」にも記されています。
◎創建年代は不明ながら平安時代中頃、蔵王権現として祀られていたと伝わります。明治の神仏分離により「太井」の方に移されたとか。鎌倉時代には境内に蔵王堂という仏教施設が建てられ、現在の拝殿となっています。境内社として三十八社があり、こちらもその名残。
◎その三十八社の社前には「鍋宮大明神」と刻まれた石標があります。鍋宮大明神は同じ「大保」に鎮座していた八阪神社に明治に合祀されます。ところがその八阪神社は当社へ合祀。覆屋内の三十八社の横には磐座が据えられています。ところがこちらも戦前には無かったという情報もあり、鍋宮大明神の所在は不明。
◎この「鍋宮大明神」とは、奈良時代から中世にかけて活躍した「河内鋳物師(いもじ)」が奉祭した神。石凝姥命・天児屋根命・猿田彦命の三柱を「鍋子丸」として祀っていたと伝わります。
当地を中心に広範囲に活動していたとされ、梵鐘や釜、鍋、農具などの鋳造を行っていたようです。当社境内にも高さ1.4mの大鍋が奉納されています。
◎なおご祭神については他に漏れている合祀神があると思われます。式名社 櫟本神社も合祀(現在は旧社地に復興社あり)されているようですが、ご祭神が見えません。

*写真は2018年3月と2022年4月撮影のものとが混在しています。










鍋宮大明神のご神体、磐座。

猿田彦命と市杵島姫命を祀る境内社。

近くの黒姫山古墳の石室の天井板。川の橋に利用されていたそうです。