公的医療保険制度の中で、会社勤めの人が加入している「健康保険等の被用者保険」の「保険料」を算定する時や「高額療養費制度の自己負担限度額」を算定する時に基礎となるのが「標準報酬月額」です。今回はこの「標準報酬月額」とは何なのかを解説します。
かなり荒っぽくざっくりと一言で言うと、「標準報酬月額」とは「おおよその総支給月収」です。かなりざっくりですが、日常生活で考える時は「おおよその月収(手取りではなく税金等を引く前の総支給)」と思っておいてそれほど支障はないと思います。
公的医療保険制度の保険料は収入が高ければ保険料も高くなります。受けられるサービスは「高額療養費制度」の自己負担額を考えると収入が低い方が手厚いとも言えますけどね。さすが相互扶助の制度です。さて、保険料や税金等は「収入」×「料率(税率)」というのが基本的な計算式になりますが、「健康保険等の被用者保険」や「会社勤めの人が加入する厚生年金」等を計算する時には、1円単位で収入を計算して算出するのではなく、例えば「月収33万円~月収35万円」の人達はまとめて「34万円」で計算する!という決まりになっています。前者の「月収33万円~35万円」という数字を「報酬月額」と言い、当然1円単位で細かく見ます。それでその範囲の人達はみんなまとめて「34万円」というこの34万円という数字が「標準報酬月額」です。健康保険を計算する時の標準報酬月額は50区分(等級)(令和4年4月納付分からの保険料額表から抜粋)に分かれており、厚生年金は32区分(等級)(平成29年9月分~)に分かれています。健康保険料や厚生年金は個人個人が計算するのではなく、企業側が計算しますので事務作業面を考えて簡略化されているのかも知れませんね。
さて注意が必要なのは、この「報酬月額」の方です。総支給の実際の「月収」ですね。この「報酬月額」は毎年4月から6月の月収を足して3で割ったもので計算されます。この月収には役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等や年4回以上支給された場合の賞与(何ともそれだけで羨ましい…)も含まれます。年賞与3回までなら「報酬月額」には含まれませんが、現制度では「標準賞与額」として計算されきちんと保険料は持っていかれますので、「月収減らしてボーナスを増やす。」は全くもって保険料を抑える事にはなりません。家族手当や通勤手当は引っ越しや家族の進学就職等が伴わない限り、毎月同じ額という場合がほとんどでしょうから心配ありませんが、「残業手当」に関しては月によって違いませんか?頑張って残業している人たちにはあまり言いたくありませんが、「よし、4月~6月は年度始めだから気合入れて残業しまくるぞ~!」なんて事をしてしまったら、その年の9月から公的保険料が爆上がり!なんて事になってしまう可能性も0ではありません。爆裂残業をするなら7月~3月までにしましょう!(冗談ですからね。残業はほどほどにね。)
さて今日は以上です。
ここで説明したのは一般的な「標準報酬月額」の計算方法でした。例外等もありますので、それはまた後日解説します。国民健康保険の計算等に使用される「課税標準額」や「旧ただし書き所得」に関しても後日解説します!
公的保険の知識は民間保険を選ぶ際には絶対に知っておいてほしい知識です!賢く民間保険に加入する為、ちゃんと自分で考えて民間保険を選ぶ為、もしくは民間保険に入らないという選択肢を取る為に学習していきましょう!
今回の記事は後日YouTubeでも掲載したいと思っていますので、興味のある方は有限会社ビッグ・ワンのYouTubeも見てみて下さい!(まだ全然更新できていませんが…)
それではサイツェンで~す!
※今回の記事は2023年10月4日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下さい!
【公的医療保険に関して~目次~】