〈概要〉
12日に行われる総選挙まで1週間を切った。
今回の総選挙では、EU離脱の是非が最大の争点となる。ジョンソン首相率いる現与党である保守党は、議会で過半数をとり、期限通り来年1月末のEU離脱を目指している。また、離脱後には、EUとの間で自由貿易協定の締結を進める方針だ。一方、最大野党である労働党は、自由貿易協定によるアメリカ企業の英国医療制度への参入、英国の医療制度の弱体化の危険性を指摘している。最新の世論調査での主要政党の支持率は以下の通りだ。保守党 42%、 労働党33%、自由民主党 12% 。保守党がリードしてはいるが、労働党も追い上げを見せている。
 
〈考察〉
来週に迫った総選挙の結果は、英国のEU離脱の行方を大きく左右するという点で意義を持つだろう。保守党が過半数をとれば、英国のEU離脱もいよいよ現実味を帯びてくる。しかし、労働党が過半数をとればEU離脱への動きは停滞すると考えられる。英国の有権者は、EU離脱の是非を再度考えたうえで、慎重に投票する政党を選ぶ必要があると思う。
 
〈Reference〉
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191205/k10012202601000.html
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/12/eu-204.php

<概要>

17日、イギリスでは与党である保守党が12月12日の総選挙で勝利した場合に、2021年1月にEUからの移民に対して現在採られている優遇措置を撤廃するという公約を発表した。これは、2020年末にEU離脱後の移行期間が終了することを受けてEU離脱後の方針を示したものである。具体的な内容としては、EUからの移民が社会保障給付の受給資格を得るまでの待機期間を現在の3か月から5年に延ばすことが挙げられる。また、保守党は公共医療を提供する国民保健サービス(NHS)の利用に際して移民が支払う上乗せ額を来年から400ポンドから625ポンドに引き上げる案を示している。この案では、全ての外国人労働者がNHSを利用できるようになるため、年間5億ポンド強の収入が見込まれている。ジョンソン首相は今回の公約により、移民制度が平等になるという見解を示している。

                                                                                     

<イギリスに移民が増加した背景/近年の傾向>

イギリスはEU28か国だけでなく、スイス、欧州経済領域(EEA)加盟国と移民協定を結んでいる。それに加え、歴史的には移民政策が比較的寛容であったことが理由として挙げられる。近年では、景気の低迷や若者の失業率上昇から国民が移民に対して懸念を示すようになっている。保守党政権下では、厳格な移民政策が出されており、EU域外の国からの移民は減少した。しかし、EUに加盟している現状ではEU域内からの移民の制限は難しいため、EU域内からの移民は増加している。

 

<考察>

今回の保守党の公約は、確かに制度上はEU域内、域外の移民を平等に扱うものであると感じられる。これが本当にEU域内からの移民の流入を減少させる効果をもつのかどうかについて、今後の総選挙の結果とともに着目していきたい。

 

Reference>

https://jp.reuters.com/article/uk-conservative-immigrant-idJPKBN1XS00X

https://www.dir.co.jp/report/research/economics/europe/20140724_008784.pdf

 

 

 

 

米大統領ドナルド・トランプ氏は、イギリスがEUを離脱すれば、英米間の通商を妨げるとして、英首相ジョンソン氏の政策を批判しました。

 

 

 

イギリスの現状は

 

イギリスとEUは、イギリスのEU離脱の期限を2020年1月31日まで延期することで合意しました。

 

離脱協定の是非を問う解散総選挙を、12月12日に行うことも決定しました。

 

 

トランプ氏の姿勢

 

そもそも、トランプ氏はイギリスのEU離脱に賛成していました。実際に、今年8月には、イギリスと「とても大きな貿易協定」を結ぶと約束しており、イギリスを失ったEUについて、錨(いかり)を失ったようになるだろうと話していました。

 

コービン労働党党首について、国のためにならないと語り、ジョンソン英首相を「今まさに必要な人材」と評する一方で、彼の離脱協定案については批判しています。

 

 

最後に

 

トランプ氏の現状としては、支持するジョンソン氏の政策に不満でやきもきしているようです。そもそも他国の選挙には介入しないのが通例ですが、トランプ氏は自身の意見を公に他の米大統領に比べても表明しているように思います。2016年に彼が当選して、予想されていたほど急激にではありませんが、徐々に世界が変わっていっているのではないでしょうか。なんだかこういった行いが「トランプ氏だから」と世間が許容してしまっていきそうなのも少し怖い気がします。

 

Reference

 

https://www.bbc.com/news/election-2019-50252285

 

 

 EU離脱期限が正式に延期>

今月28日に、欧州理事会のドナルド・トゥスク常任理事がイギリスのEU離脱の期限を2020年1月31日に延期することで合意がとれたと発表した。ボリス・ジョンソン首相は、かねてからEUとの合意がとれなくとも予定通り10月31日にEUを離脱することを強調してきた。しかし、今回の合意により10月31日にEUを離脱する可能性はなくなった。今回のイギリスのEU離脱期限延長の要請の背景には、イギリス議会が成立させた通称「ベン法」があった。

 

<総選挙に向けて>

29日、イギリスの下院(定数650)はボリス・ジョンソン首相が提出した12月12日を総選挙の投票日とする法案を438対20の賛成多数で可決した。かねてから総選挙の前倒しに反対していた最大野党である労働党が法案支持に回ったことで、情勢が大きく動いた。労働党は姿勢変更の理由として、EU離脱期限の再延長が認められたことで合意なき離脱の可能性はなくなったとの確約をEU加盟各国から得られたと判断したことを挙げている。与野党は、総選挙を通じてEU離脱をめぐり行き詰った現状の打破を目指している。

 

<主要政党のブレグジットへの姿勢>

保守党:出来るだけ早いEU離脱を進めたい。総選挙で過半数を確保し、離脱期限前に議会でEU離脱協定案を成立させることを目指す。また、議会で過半数をとり、合意なき離脱を強行する可能性も視野に入れている。

 

労働党:2度目の国民投票を行う前に、まずEUと離脱協定案を再交渉したい。

 

自由民主党:ブレグジットを取りやめたい。

 

スコットランド国民党:EUに残留したい。そのため2度目の国民投票を望んでいる。

 

<考察>

今度の総選挙の結果は、イギリスのEU離脱の方向性に大きな影響をもたらすだろう。もし保守党が過半数をとることが出来れば、イギリスのEU離脱は確実となる。一方、EU残留派の支持率が高まれば、離脱自体が再検討されうる。しかしながら、EU側が1度離脱を認めたイギリスの残留を容易に認めるかは疑問である。今後の動向にも着目していきたい。

 

<Reference>
https://www.bbc.com/japanese/50229647

 

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50229897

 

[はじめに]

 

Brexit(ブレグジット)関連の報道でよく取り上げられているのは、「EUとのボーダーをどうするか」という問題である。このボーダーとは、アイルランド島に存在する、イギリス領北アイルランドとアイルランド共和国との間の国境線のことを指している。イギリスは島国というイメージが強くついつい忘れがちになってしまうが、他国と陸続きになっている部分があるのだ。そして、この陸の国境線がBrexit問題における懸念事項となっている。

 

 

 

[現在]

 

現在、北アイルランドの属するイギリスとアイルランド共和国はともにEUの加盟国であるため、両国の間は行き来が自由だ。物資や人々は国境線を自由に超えることができる。

 

 

 

[Brexit後は何が変わるのか?]

 

Answer. 国境線の存在感

 

両国の関係は、イギリスがEUを脱退してしまうと変わらざるを得なくなる。

これまではEU加盟国同士ということで自由であった往来が、イギリスが脱退し非EU加盟国となると、国境を境に制限されてしまう可能性が高い。

 

 

現在、Brexit問題によって、両国の国境線をどうするべきかという議論がなされている。

 

これまでのように国境は往来自由とすべきか。

それとも国境管理をするべきか。その場合は、ノルウェー(EU非加盟国)とスウェーデン(EU加盟国)のような、取り締まりはあるものの、同じ経済圏であるため緩い国境警備にするか。それとも厳しくするか。

 

1968~1998年のThe Northern Ireland Conflict(北アイルランド問題)という激しい地域紛争がまだ記憶に新しい土地であるだけに、議論は決着がついていない。

 

 

 

[もし国境警備をするとしたら?]

 

北アイルランド問題(The Northern Ireland Conflict)での紛争時を彷彿とさせ、アイルランド共和国と北アイルランドの住民同士の関係が再び悪化する可能性がある。

 

 

 

[もし往来を自由または警備を緩くしたら?]

 

密輸が蔓延ってしまったり、不法移民問題が生じる危険がある。

 

 

 

 [最後に]

この北アイルランドとアイルランド共和国の関係は、最近ではラグビーW杯でのアイルランド代表の存在によって日本でも注目されるようになった。ラグビーアイルランド代表は両国による合同チームである。練習へは毎回国境を渡って参加しているため、今後は当然Brexitによるこの国境問題の影響を免れない。

 

問題を抱える両国であるため、皆が納得するように解決するのは難しいであろう。

 

 

 

 

[References]

 

https://www.politico.eu/article/brexit-ireland-border-customs-norway-sweden/

 

http://www.theirishstory.com/2015/02/09/the-northern-ireland-conflict-1968-1998-an-overview/#.XbHivm5uIvU