たまらなく孤独で、熱い街 -90ページ目

『変種第二号』 フィリップ・K・ディック

変種第二号 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-24) 変種第二号
著者:フィリップ・K・ディック

編者・後書:大森 望

(ハヤカワ文庫SF)

初版:2014年3月25日

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「たそがれの朝食」(1954) 浅倉久志・訳

「ゴールデン・マン」(1954) 若島正・訳

「安定社会」(1947?) 浅倉久志・訳

「戦利船」(1954) 大森望・訳

「火星潜入」(1954) 浅倉久志・訳

「歴戦の勇士」(1955) 浅倉久志・訳

「奉仕するもの」(1956) 浅倉久志・訳

「ジョンの世界」(1954) 浅倉久志・訳

「変種第二号」(1953) 若島正・訳

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今巻は戦争ものを中心に。

戦争ものといえば、直接戦闘は描いてないが「フォスター、おまえ、死んでるところだぞ」や「おもちゃの戦争」も印象に残っている。

初訳は「戦利船」、なるほど残されていたのには訳があったのね。

この中でのベストはやはり「変種第二号」か。

どれも面白いけどね。


『NOVA 10』 大森 望・責任編集

NOVA 10 ---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)

NOVA 10 ---書き下ろし日本SFコレクション
編者:大森 望

(河出文庫)

初版:2013年7月20日

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「妄想少女」 菅浩江

「メルボルンの想い出」 柴崎友香

「味噌樽の中のカブト虫」 北野勇作

「ライフ・オブザリビングデッド」 片瀬二郎

「地獄八景」 山野浩一

「大正航時機奇譚」 山本弘

「かみ☆ふぁみ!」 伴名練

「百合君と百合ちゃん」 森奈津子

「トーキョーを食べて育った」 倉田タカシ

「ぼくとわらう」 木本雅彦

「(Atlas)³」 円城塔

「ミシェル」 瀬名秀明

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まあ、良作揃いと言えましょう。

中でも円城塔と、意外にも瀬名秀明が読ませた。

ただ、どれもそつなく書かれたかのような印象で、しばらくすれば忘れそう。

ないものねだりなのは分かっていても、腹にズシーンとくるようなSFが読みたいものだ。

ともあれ『NOVA』第一期の完。

お疲れ様でした。




『未来の回想』 シギズムンド・クルジジャノフスキイ

未来の回想

未来の回想
著者:シギズムンド・クルジジャノフスキイ

訳者・後書:秋草 俊一郎

(松籟社)

初版:2013年10月15日

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1929年頃の作。

普段は分かりやすい本しか読んでいないせいか、実に手ごわかった。

ウェルズの『タイム・マシン』がどの程度作者に影響を与えたか興味が持たれる。

後半の主人公の語り(騙り?)は迫力があり、ラスト三行は胸を打つ。


『すべては雪に消える』 A・D・ミラー

すべては雪に消える (ハヤカワ文庫 NV ミ 3-1)

すべては雪に消える
著者:A・D・ミラー

訳者・後書:北野 寿美枝

(ハヤカワ文庫NV)

初版:2011年7月25日

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2011年の作。

原題の「スノードロップ」とは、冬の間は雪の下に隠されているが、雪解けと共にあらわれる死体。

あるいは、常に身近にありながら見ないふりをしている悪行。

ソ連からロシアになった混乱期にはあちこちであったであろう事件あるいは犯罪。

だが被害者にとってはたまったものじゃない。

物語はロシアで働く英国の弁護士が恋人か婚約者に語る形で進む。

地下鉄通路で出会った二人の若い女性。

仕事では銀行とうさんくさい業者の橋渡し。

行方不明の隣人の友人。

決して結びつかない三つの事件(犯罪)。

語り手が気が付いたときはすべてが終わっている。

試みは悪くないと思うが、いかんせん盛り上がりに欠ける。

ラストは本音だろうが恋人に失礼じゃないかい。


『保健室登校』 矢部 嵩

保健室登校 (角川ホラー文庫)

保健室登校
著者・後書:矢部 嵩

(角川ホラー文庫)

初版:2009年12月25日

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「クラス旅行」

「血まみれ運動会」

「期末試験」

「平日」

「殺人合唱コン(練習)」

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1話目の大ネタでのけ反って、2話目でガックリ。

やり過ぎと言うよりは全然面白くないんだよね。

少しシュールさが光るところもありそうななさそうな感じだが、セリフの酷さに疲れた。。

誤植かなと思ったところもあったけど分からん。

ホラー小説大賞長編賞作も読んでみたいような読みたくないような。




【読書メーター】 2014年3月分

もう3月も終わりとは・・・。

 

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:6244ページ



リカーシブル リカーシブル感想
1年以上寝かしちゃったけど(そんな本は他にもざらにあるのだが・・・)、ようやく読む。この作者のはシリーズものよりも『さよなら妖精』『犬はどこだ』『ボトルネック』『折れた竜骨』などの単発作の方がお気に入り。読み始めると既読感があると思ってたら『Story Seller 2』でさわりを読んだのね。相変わらず主人公は鋭すぎて引いてしまうが、SF要素もあるのかと見せかけて実はという辺りがいささか苦しい。まあ、面白く読めたし主人公の今後も気になるということで。 363ページ
読了日:3月2日 著者:米澤穂信
量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ) 量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
目くるめくワイドスクリーン・バロックとでも言いたくなるような作品だが、目くらましのような気も。これでもかとガジェットを放り込んでくれて手こずりつつも楽しいが、過剰な装飾を脱ぎ捨てると骨格は少し細いかも。やたらと現実から「逃げている」としか思えなくて、脱獄などは仮想現実などでなく現実でやってくれたらもっと楽しかっただろうに。あとは、もっと怪盗対名探偵を全面に出してほしかった。これは三部作の1作目らしいが・・・。456ページ
読了日:3月5日 著者:ハンヌ・ライアニエミ
バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー) バックマン・ブックス〈4〉死のロングウォーク (扶桑社ミステリー)感想
キングが大学1年のときに書かれたというから恐れ入る。軍国主義が色濃い、書かれた当時より近未来と思われるアメリカで毎年開催されるロングウォーク。出場するのは14歳から16歳までの少年100名。ひたすら歩き続け、99人が脱落(=死)して残った一人が勝者。今後の国を背負うであろう若者をむざむざ殺していいのかという疑問が起こるが、それすらも心の隅においやるほど素晴らしい(全面的にとは言わんが)。だからと言って他のキング本を読む気になるかというとそうでもない。 412ページ
読了日:3月7日 著者:スティーヴン・キング
華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA) 華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)感想
プロローグの二人が主人公かと思っていたらドンドン進んで、ホットプルームによる海面上昇が260メートル。陸地は何パーセント失われたのだろうね。それから数百年後、かりそめの繁栄を謳歌する陸と海に分かれた人類に迫るさらなる危機。まさに『日本沈没』の世界版。海上民に双子が生まれて云々がどうしても頭では納得できないが、政治的な駆け引きに終始しているようでも結構読ませる。398ページ
読了日:3月9日 著者:上田早夕里
華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA) 華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)感想
ホットプルームって、海底で風船を膨らませたような感じかな。風船がしぼんだり破裂したりして元に戻るということはないのか。アシスタント知性体はひとつ欲しい気も。そして人類を襲うさらなる危機とは何か。人類に明日はあるのか。ラストは圧倒的な迫力で読まされました。『深紅の碑文』も楽しみですね。458ページ
読了日:3月11日 著者:上田早夕里
四年後の夏 (扶桑社ミステリー) 四年後の夏 (扶桑社ミステリー)感想
4年前の夏、二人の少女は夏休みの旅先で出会い、ヒッチハイクをしながら旅を続けていたが、些細な(と本人は思った)ことが大騒ぎとなり、ついにはどちらかが男性を殺してしまう。だが、完璧な嘘を警察は暴けず。4年後、殺された男性の妹が探偵に調査を依頼。どちらが男性を殺したのか。嘘に穴はないのか。謎が謎のうちはミステリアスであったが、急転直下の結末にあ然とするばかり。しかもこの探偵は親切なのか意地悪なのか、言わずもがなのことまで依頼人に話す・・・。 307ページ
読了日:3月13日 著者:パトリシア・カーロン
宙の地図 (上) (ハヤカワ文庫NV) 宙の地図 (上) (ハヤカワ文庫NV)感想
相変わらず脱線というか冗長だな。ようやく火星人が活動を始めたが、クレイトンの失神は作者に狙いがあるのだろうか。474ページ
読了日:3月15日 著者:フェリクス・J・パルマ
宙の地図 (下) (ハヤカワ文庫NV) 宙の地図 (下) (ハヤカワ文庫NV)感想
ひとつひとつのエピソードはしっかりと書かれているのだが、もう少しテンポよく進めてくれてもいいんじゃないかと思わずにいられない。ウェルズ登場の前振りから始まったが、座礁した南極探検船やら不時着したUFOやら恋の物語やら、ウェルズはどこ行ったんだと思ってたら上巻の終り頃に再登場。その後も色々あって、これはどう終わらすのかと不安になってきたら、なるほど。この物語にはこの書き方がしっくりくるような気もしますが、やはり冗長。463ページ
読了日:3月17日 著者:フェリクス・J・パルマ
脳男 (講談社文庫) 脳男 (講談社文庫)感想
心を持たない男。この脳男はサヴァンとは少し違うのだろうか。脳男そのものよりも、真梨子や茶屋の行動が笑えた。ラストは実は凄い能力を持つ脳男を描くのに手いっぱいで爆弾男はどうでもよくなったんだね。384ページ
読了日:3月19日 著者:首藤瓜於
パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV) パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)感想
記憶喪失の男、怪しげな人々、抜け出せない町。過去にこんなようなのを読んだ気もするなあ、と思いつつ読み進めると・・・。ああ、そこまでは想像できなかった。しかし、この町のホテルに客が来るのか?面白かったから、こまけーことはいいか。439ページ
読了日:3月21日 著者:ブレイク・クラウチ
月に歪む夜 (創元推理文庫) 月に歪む夜 (創元推理文庫)感想
35年前に彼氏と彼氏の友人と共に三人で気ままな夏休みを過ごしていたところへ、見知らぬ少女が加わったことにより歯車が狂い始めるのだが、数ページ読んだだけで、あまりの読みにくさに辟易。なんとか読み終えたが。語り手である女の「私はあんたたちとは違うのよ」「誰も私のことを分かってくれない」という意識か無意識が全面にでていて非常に読んでて疲れた。語り手に感情移入できればもっと違った情景を脳内に描くことが出来たかもしれませんが、なにしろ完全に醒めた頭で読んでましたのでそれが残念といえば残念です。423ページ
読了日:3月23日 著者:ダイアン・ジェーンズ
最後のウィネベーゴ (河出文庫) 最後のウィネベーゴ (河出文庫)感想
さすがの面白さですが、これらの近未来には住みたくないな。一部をデフォルメしただけという気もしますが。しかしながら、コニー・ウィリスはどこがどうとは言えないけどいつも違和感が付きまとう。書き方か、世界観か、他の何かか。その「何か」のせいで少し引いて読むためか、いつも少し満たされない。424ページ
読了日:3月25日 著者:コニー・ウィリス
サムシング・ブルー (創元推理文庫) サムシング・ブルー (創元推理文庫)感想
この表紙ではとてもじゃないが105円でも買う気はなかったが、他に目ぼしい本もなかったし『毒薬の小壜』の作者だしと1年ほど前に購入。 裏表紙のあらすじはネタバレじゃねーのかと、ほとんど諦めの心境で読んでました。 ところが途中から俄然面白くなり、ラストはハラハラしながら読み終えたものですよ。 こういうことがたまーにあるから埋もれた本も馬鹿に出来ない。 330ページ
読了日:3月27日 著者:シャーロット・アームストロング
さよならが君を二度殺す (角川ホラー文庫) さよならが君を二度殺す (角川ホラー文庫)感想
タイトルに惹かれて購入。 四国の山間部の村で五人が失踪し半日後に発見されたが、彼らはその間の記憶がなかった。 そして32年後、彼らの頭の中で声が聞こえる・・・。 良くも悪くもエイリアン・アブダクションものSFの典型のような。 何故にホラー文庫でという気もしますが、楽しく読めたからいいか。 400ページ
読了日:3月29日 著者:黒井卓司
極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫) 極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)感想
一つ一つは楽しめたものが多かったが、どんな奇想天外な話が書かれているかという期待感ワクワク感が以前よりも薄れてしまっている気がする。 こんな感情は私だけかもしれないが、似たような感じを持ってSFから遠のく人が増えると「SFの夏」とか言って浮かれている足元では衰退が始まっているかもしれない。 読者は貪欲ですから、飛びつくのも早ければ見切りをつけるのも早い。 私は一生付き合いますが。 513ページ
読了日:3月31日 著者:大森望、日下三蔵(編)

読書メーター

『極光星群-年間日本SF傑作選』 大森望/日下三蔵・編

極光星群 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

極光星群 (年刊日本SF傑作選)
編者:大森 望、日下 三蔵

(創元SF文庫)

初版:2013年6月28日

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「星間野球」 宮内悠介

「氷波(ひょうは)」 上田早夕里

「機巧のイヴ」 乾緑郎

「群れ」 山口雅也

「百万本の薔薇」 高野史緒

「無常のうた」 『UN-GO』第二話 會川昇 

「とっておきの脇差」 平方イコルスン

「奴隷」 西崎憲

「内在天文学」 円城塔

「ウェイブスウィ-ド」 瀬尾つかさ

「Wonderful World」 瀬名秀明

「銀河風帆走」 宮西建礼

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一つ一つは楽しめたものが多かったが、どんな奇想天外な話が書かれているかという期待感ワクワク感が薄れてしまっている。

こんな感情は私だけかもしれないが、似たような感じを持ってSFから遠のく人が増えると「SFの夏」とか言って浮かれている足元では衰退が始まっているかもしれない。

私は一生付き合いますが。





『さよならが君を二度殺す』 黒井 卓司

さよならが君を二度殺す (角川ホラー文庫)

さよならが君を二度殺す

著者:黒井 卓司

解説:大森 望

(角川ホラー文庫)

初版:2012年4月25日

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タイトルに惹かれて購入。

四国の山間部の村で五人が失踪した。

半日後に発見されたが、彼らはその間の記憶がなかった。

そして32年後、彼らの頭の中で声が聞こえる・・・。

良くも悪くもエイリアン・アブダクションものSFの王道のような。

何故にホラー文庫でという気もしますが、楽しく読めたからいいか。


『サムシング・ブルー』 シャーロット・アームストロング

サムシング・ブルー (創元推理文庫)

サムシング・ブルー
著者:シャーロット・アームストロング

訳者:森 茂里

解説:小森 収

(創元推理文庫)

初版:1998年3月27日

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1962年の作。

この表紙ではとてもじゃないが105円でも買う気はなかったが、他に目ぼしい本もなかったし『毒薬の小壜』の作者だしと1年ほど前に購入。

裏表紙のあらすじはネタバレじゃねーのかと、ほとんど諦めの心境で読んでました。

ところが途中から俄然面白くなり、ラストはハラハラしながら読み終えたものですよ。

こういうことがたまーにあるから埋もれた本も馬鹿に出来ない。





『最後のウィネベーゴ』 コニー・ウィリス

最後のウィネベーゴ (河出文庫)

最後のウィネベーゴ
著者:コニー・ウィリス

訳者・後書:大森 望

(河出文庫)

初版:2013年2月20日

(2006年12月に河出書房新社より刊行)

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「女王様でも」

「タイムアウト」

「スパイス・ポグロム」

「最後のウィネベーゴ」

「からさわぎ」

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コニー・ウィリスはさすがの面白さですが、これらの近未来には住みたくないな。

一部をデフォルメしただけという気もしますが。

しかしながら、どこがどうとは言えないけど何か違和感が付きまとう。

書き方か、世界観か、他の何かか。

その「何か」のせいで少し引いて読むためか、いつも少し満たされない。