たまらなく孤独で、熱い街 -87ページ目

『あなたのための物語』 長谷 敏司

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)

あなたのための物語
著者:長谷 敏司

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2011年6月15日

(2009年8月に早川書房より刊行)

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読み終えたときは野﨑まどの『know』が頭に浮かんだ。

21世紀末。

人工義肢の制御プロトコルで成功を収めたサマンサは、34歳にして余命半年を宣告される。

死を乗り越える方法は存在するのか。

死を前にしてサマンサは生や死とどう向きあったのか。

テーマは重いが読後の残像はやたらと怒りまくっているサマンサであった。


『時間のおとしもの』 入間 人間

時間のおとしもの (メディアワークス文庫)

時間のおとしもの
著者・後書:入間 人間

(アスキー・メディアワークス文庫)

初版:2012年1月25日

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「携帯電波」

「未来を待った男」

「ベストオーダー」

「時間のおとしもの」

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時間SFの短編集らしいので購入。

斬新な視点から思いもよらぬ切り口で時間を料理して欲しいと思ったが、期待のしすぎはよくないね。

中では「未来を待った男」が読ませたかな。

過ぎ去った時間に悔いはないの?

表題作もちょっとビターでした。

全体に地面にへばりついている感じで、もっとワクワクする浮揚感が欲しかった。



『青い脂』 ウラジーミル・ソローキン

青い脂

青い脂
著者:ウラジーミル・ソローキン

訳者・後書:望月 哲男、松下 隆志

(河出書房新社)

初版:2012年8月30日

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1999年の作。

5月の初めくらいから他の本ズと並行して読んでいたのだが、読了まで1か月かかっちまったな。

ともかく真ん中くらいまで読みにくかった。

前半は青脂が作られるところで(直接は書かれてないが)、ドストエフスキーやチェーホフなどの個体(クロン?)が創造したテクストは作者も力が入ったろうな。

「御万光」という訳語にも苦笑。

後半はガラリと読みやすかったが、読みにくい前半ほどのインパクトはなかった。

ともかくサービス満点(客は選ぶが)で盛り沢山で満腹です。



『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内 悠介

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヨハネスブルグの天使たち
著者:宮内 悠介

(ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

初版:2013年5月25日

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「ヨハネスブルグの天使たち」

「ロワーサイドの幽霊たち」

「ジャララバードの兵士たち」

「ハドラマウトの道化たち」

「北東京の子供たち」

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テロや戦争に否応なしに巻き込まれる人々とホビーロボットDX9をめぐる連作短編集。

なのだが、耐久試験場で繰り返し繰り返し落下し続けるDX9というのが、なんていうか許容できないというか他はリアルっぽく書かれているのにここだけマンガになって全体をぶち壊している印象。

読みやすかったのはミステリ風味の「ジャララバード」(ただし後日談の「ハドラマウト」は余分)。

『盤上の夜』もそうだが、期待値は高いが今ひとつ応えてくれない。


『アリス殺し』 小林 泰三

アリス殺し (創元クライム・クラブ)

アリス殺し
著者:小林 泰三

(創元クライム・クラブ)

初版:2013年9月20日

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設定が設定だけに、いろいろと書けないのがもどかしい。

アリスになって「不思議の国」で行動する夢ばかり見る主人公。

ところが「不思議の国」と「現実」が繋がっているとしか思えない事件が頻発。

『不思議の国のアリス』の行動をなぞった上で事件が起きるのかと思っていたが、キャラクターだけ借りてきたような感じ。

今度はイーガンも真っ青なハードSFを読ませておくれ。

『天獄と地国』の続編でもいいけど・・・。

『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル

不思議の国のアリス (新潮文庫)

不思議の国のアリス
著者:ルイス・キャロル

訳者・後書:矢川 澄子

(新潮文庫)

初版:1994年2月25日

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超有名すぎて、すっかり読んだ気になってましたが未読だと思うので読んでみました。

本当は『アリス殺し』を読むための参考として。

アリスはもちろんウサギやらチェシャキャットやらトランプの女王やら(ハンプティ・ダンプティは出てこなかったので『鏡の国』だったか)キャラクターの宝庫ですね。

内容や感想は、今さら私が申し上げるまでもないでしょう。

『オニキス』 下永 聖高

オニキス

オニキス
著者:下永 聖高

解説:藤田 直哉

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2014年2月15日

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「オニキス」

「神の創造」

「猿が出る」

「三千世界」

「満月(フルムーン)」

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表題作は「第1回ハヤカワSFコンテスト」最終候補作で、あとの4編は書き下ろし。

過去を書き換えることができる物質「マナ」のアイデアが秀逸。

そのせいでもないだろうけど、あとの作品も高いレベルとは思うがやや落ちる印象。

基本的にワンアイデアを膨らませているような(悪いと言っているのではない)。

これからも期待が持てそうではあるが、だからこそ回顧的な「満月」は勘弁して欲しい。

と思ったら、どれにも回顧的な雰囲気が多かれ少なかれ漂っているな。





【読書メーター】 2014年5月分

適当なコメントを書くと、あとあと読み返してもその本の内容がサッパリ思い出せないので、もう少しネタばれしない程度に内容に触れようかな。

 

2014年5月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5683ページ


踊るジョーカー (名探偵音野順の事件簿 ) (創元推理文庫) 踊るジョーカー (名探偵音野順の事件簿 ) (創元推理文庫)感想
付録のマグネットマーカー目当てで購入したのだが、ちょっと読みたいのと違ったな。 物理トリックがあるけれど、どちらかというと二人のキャラで読ませる感じ。 それがツボにはまれば快感なんだが、ちょっとね。 表題作のトリックがバカバカしくて記憶に残るかも。 339ページ
読了日:5月1日 著者:北山猛邦
曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫) 曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫)感想
カーにいいように弄ばれた。 どちらが本物か。 タイタニック号でなにがあったのか。 悪魔崇拝に機械人形。 うさんくさいフェル博士。 そして、口あんぐりの結末。 お腹いっぱいです。 374ページ
読了日:5月3日 著者:ジョン・ディクスン・カー
真夜中の相棒〈新装版〉 (文春文庫) 真夜中の相棒〈新装版〉 (文春文庫)感想
かなり期待したのだが。 ヴェトナム戦争での出来事、ニューヨークでの共同生活と仕事、同僚の死にすべてを投げ打って復讐に燃える刑事、等々。 どれもが人工的というか、作りものめいているというか、どこかからの借り物を張り合わせたようで読むのに骨が折れた。 もっと荒唐無稽な小説や下らん小説はいくらでも読んできたけど、そういうのとも違うんだよな。 おそらく私とは合わなかっただけでしょう。 残念だった。 414ページ
読了日:5月5日 著者:テリー・ホワイト
濡れた魚 上 (創元推理文庫) 濡れた魚 上 (創元推理文庫)感想
大恐慌やナチの台頭直前のベルリン。警視庁風紀課へ移ってきた主人公のラート警部。ちょっと隔靴掻痒気味だし色気も余分だが、下巻に期待・・・できるのか?346ページ
読了日:5月7日 著者:フォルカー・クッチャー
濡れた魚 下 (創元推理文庫) 濡れた魚 下 (創元推理文庫)感想
タイトルは迷宮入りのことらしい。 なんとか収めたようだが、もう少しスッキリとコンパクトには行かなかったものか。 その時代の空気らしきものは面白かったが。 今後は1年ずつ物語が進むということは、当然ナチも描くわけだがどうなるのだろ。 358ページ
読了日:5月9日 著者:フォルカー・クッチャー
頼子のために (講談社文庫) 頼子のために (講談社文庫)感想
『一の悲劇』をたしかノベルズ版で読んだのは随分昔だが、それ以来の法月綸太郎の長編。 素直というか書かれていることをそのまま受け取ってしまうので、父親の手記を読んで完結してるやん、探偵の入る余地があるとすれば殺した男が違っていたのだろうと思ったのだが・・・。 たとえ作られた「愛」であっても「憎悪」であっても、その深さ長さに慄然としてしまう。 結局は誰も救われない、探偵すらも。 348ページ
読了日:5月11日 著者:法月綸太郎
ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ) ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
3年越しでようやくシリーズ読了。 サプライズもハラハラもなかったが、落ち着くべきところに着地したというところでしょうか。 ゴリアテは予想通り。 100年後(つまり現在)のダーウィニストとクランカーはどうなっているでしょうね。 共存しているのか覇権を争っているのか。 494ページ
読了日:5月13日 著者:スコット・ウエスターフェルド
レイカ 警視庁刑事部捜査零課 (メディアワークス文庫) レイカ 警視庁刑事部捜査零課 (メディアワークス文庫)感想
書店で偶然表紙の女と目が合い、帯を読むと「驚くべき能力を持つ彼女が追う標的は―」とあったので、これも縁かと少し期待して購入したのだが、やはりバクチだったか。 テーマが重いのも、そもそも何故生かされない特殊能力を持たせたのかも、零課のメンバーがそれぞれに暗い重荷を背負っているのも、すべてがどうでもよくなるほど××がひどい。 プロの物書きに言うようなことじゃないけど、もう少しなんとかならんかい。 386ページ
読了日:5月15日 著者:樹のえる
謝罪代行社 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 謝罪代行社 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
出だしの人物紹介が読みにくくてまいったが、その後はなんとか。 謝罪する会社がやっていけるか疑問だが、日本人とは謝罪に対する感覚が違うかも。 そうは言ってもモヤモヤ感が残るなかで、なんとか話に追いついたような気がしたところで下巻へ。 335ページ
読了日:5月17日 著者:ゾラン・ドヴェンカー
謝罪代行社 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 謝罪代行社 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
下巻を読むと合点がいき「そうだったのか」とは思うが、題材が題材なだけに晴れやかな気分にはなれないねえ。 316ページ
読了日:5月19日 著者:ゾラン・ドヴェンカー
世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫) 世界の果ての庭 (ショート・ストーリーズ) (創元SF文庫)感想
55のショートストーリーが絡み合いもつれ合い、世界の果ての庭を垣間見せてくれるのかと思ったが。 バラバラの話かと思ったらいくつかの続きものになっているし。 たぶん私のイメージ喚起力が貧困なために散漫な印象のまま読み終えてしまった。 円城塔の解説は面白かった。 240ページ
読了日:5月21日 著者:西崎憲
エウロパの底から (メディアワークス文庫) エウロパの底から (メディアワークス文庫)感想
初入間。 「エウロパ」という言葉に惹かれて購入。 序盤は主人公である作家の愚痴だらけで、お前は浦賀和宏かよ。 中盤で書いた小説と同じことが起き、どう落とし前をつけてくれるかと期待したがウヤムヤにされたような気分。 入間の中では決着はついているようだが。 338ページ
読了日:5月23日 著者:入間人間
スチームオペラ (蒸気都市探偵譚) スチームオペラ (蒸気都市探偵譚)感想
まさにスチームパンクな倫敦と、宇宙がエーテルで満たされている世界。 そして全く不可解な事件とホームズ以上の名探偵。 さらに大ネタがあるんだけど、ボーイ・ミーツ・ガール(逆だったかな)な展開が妙にはまる。 楽しく読みましたが、ラストの5ページはひねりすぎていささか苦しい。 347ページ
読了日:5月25日 著者:芦辺拓
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫) 午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)感想
日常の謎ものは余り期待せずに読むけど、まれに「おー」というのがあって油断ができない。 高校一年の主人公は、同級生の女の子に一目惚れする。 マジック(あるいは魔法)でしか自分を表現できない彼女。 彼女のことをもっと知りたい主人公。 ややヘビーな日常の謎が続き、このまま二人は打ち解けるのかと思いきや三話目で・・・。 高校生に戻ったような気分で読み終えましたが、結局はこうなるのは仕方ないか。 この作者は「買い」かな。 続きもでているようですが、さらなるサプライズがあるようなら読んでみたい。 386ページ
読了日:5月27日 著者:相沢沙呼
きんきら屋敷の花嫁 (角川ホラー文庫) きんきら屋敷の花嫁 (角川ホラー文庫)感想
帯の惹句に惹かれて購入。 主人公が嫁いだ先は森に囲まれた屋敷で、一族でまとまり外部との接触を嫌う。 天涯孤独だった主人公はこの家のしきたりに馴染もうとするが、ある日大事な仕事を与えられる・・・。 全然怖くはないけど、なんだか引き込まれた。 派手な生活をしているようでもないし、毎年結構な量のアレが入手できればそれが途絶えたとしても食いつないでいけるんじゃないかと思うが、生きがいがなくなっちゃうのかな。 ラストは主人公の必死さが垣間見えて笑えた。 たしかに変でしたが、もっと変でもよかったぞ。 199ページ
読了日:5月29日 著者:添田小萩
ダークライン (ハヤカワ・ミステリ文庫) ダークライン (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
『ボトムズ』の姉妹編のような。 ただし、こちらは1958年が舞台。 映画好きの父が財を投げうって入手したドライブインシアター。 13歳の主人公は家族と共にドライブインシアターがある南部の町に引っ越してきた。 好奇心旺盛な年頃なので姉や友だちと近所を探検していると、古い缶に入った手紙や森の奥にある火事で焼けてしまった豪邸を見つけ、さらには過去に二人の少女が死んでいることを知る。 少年の冒険ものはいつでもワクワクしますし、ビターな後味が印象に残りますが『ボトムズ』よりも軽いかな。 463ページ
読了日:5月31日 著者:ジョー・R・ランズデール

読書メーター

『ダークライン』 ジョー・R・ランズデール

ダークライン (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ダークライン
著者:ジョー・R・ランズデール

訳者:匝瑳 玲子

解説:中辻 理夫

(ハヤカワ・ミステリ文庫)

初版:2006年7月15日

(2003年3月に早川書房より刊行)

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2003年の作。

『ボトムズ』の姉妹編のような。

ただし、こちらは1958年が舞台。

映画好きの父が財を投げうって入手したドライブインシアター。

ランズデールも映画が好きなんだろうね。

13歳の主人公は家族と共にドライブインシアターがあるデューモントに引っ越してきた。

好奇心旺盛な年頃なので姉や友だちと近所を探検していると、古い缶に入った手紙や森の奥にある火事にあった豪邸、さらには過去に二人の少女が死んでいることを知る。

少年の冒険ものはいつでもワクワクしますし、ビターな後味が印象に残ります。


『きんきら屋敷の花嫁』 添田 小萩

きんきら屋敷の花嫁 (角川ホラー文庫)

きんきら屋敷の花嫁
著者:添田 小萩

選評:第8回「幽」怪談文学賞

(角川ホラー文庫)

初版:2014年4月25日

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書店やブックオフで時間があると「角川ホラー文庫」にめぼしい本はないかと、特に知らない作家さんの本を物色してしまう。

これもそんな一冊。

旧家に嫁いだ主人公。

そこは深い森に囲まれた屋敷で、家族や親せきでまとまり外部との接触を嫌う。

天涯孤独だった主人公は、この家のしきたりに馴染もうとするが、ある日大事な仕事を与えられる。

全然怖くはないけど、なんだか引き込まれた。

派手な生活をしているようでもないし、毎年結構な量の○○が入手できればそれが途絶えたとしても食いつないでいけるんじゃないかと思うが、生きがいがなくなっちゃうのかな。

ラストは主人公の必死さが垣間見えて笑えた。

たしかに「変」でしたが、もっと変でもよかったぞ。