たまらなく孤独で、熱い街 -86ページ目

『烏有此譚』 円城 塔

烏有此譚

烏有此譚
著者:円城 塔

(講談社)

初版:2009年12月14日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

実に面白く読めたし、さらに楽しめる注釈もあって二度おいしかった。

のだが、さて何が書かれていたのでしょう。

いつの間に話が変な方に行ってしまったのでしょう。

何かのメタファーでしょうか。

私には何もわかりません。

でも、面白かったのは事実。



『ブラッド・ミュージック』 グレッグ・ベア

ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF)

ブラッド・ミュージック
著者:グレッグ・ベア

訳者小川 隆

解説:山岸 真

(ハヤカワ文庫SF)

初版:1987年3月15日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

1985年の作。

遺伝子工学の天才・ウラムが作った生体素子は恐ろしいこと知性を持ってしまった。

バンデミックものかと思ったら、意外な展開。

徐々に変容していく世界の(読む者にとっては)おぞましくも美しさがたまらない。



【読書メーター】 2014年6月分

6月は個人的に大当たりはなかったなあ。

クズのような本でも自分の琴線に触れてくれれば。

 

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5260ページ



オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1) オニキス (ハヤカワ文庫 JA シ 8-1)感想
表題作は「第1回ハヤカワSFコンテスト」最終候補作で、あとの4編は書き下ろし。 過去を書き換えることができる物質「マナ」のアイデアが秀逸。 これだけでいくらでも書けそうな。 そのせいでもないだろうけど、あとの作品もそこそこのレベルとは思うがやや落ちる印象。 基本的にワンアイデアを膨らませているような(悪いと言っているのではない)。 これからも期待が持てそうではあるが、だからこそ内向きな「満月」は勘弁して欲しい。 と思ったら、どれにも内向きな雰囲気が多かれ少なかれ漂っているな。 318ページ
読了日:6月2日 著者:下永聖高
不思議の国のアリス (新潮文庫) 不思議の国のアリス (新潮文庫)感想
超有名すぎてすっかり内容も把握している気になってましたが、読んだ覚えがないのでトライ。 本当は『アリス殺し』を読むための参考として。 アリスはもちろんウサギやらチェシャキャットやらトランプの女王やら(ハンプティ・ダンプティは出てこなかったので『鏡の国』だったか)キャラクターの宝庫ですね。 内容や感想は、今さら私が申し上げるまでもないでしょうが、この話は文庫本よりも大判の本で読んだ方が楽しかったかも。 181ページ
読了日:6月4日 著者:ルイス・キャロル
アリス殺し (創元クライム・クラブ) アリス殺し (創元クライム・クラブ)感想
設定が設定だけに、いろいろと書けないのがもどかしい。 アリスになって「不思議の国」で行動する夢ばかり見る主人公。 ところが「不思議の国」と「現実」が繋がっているとしか思えない事件が頻発。 『不思議の国のアリス』の行動をなぞった上で事件が起きるのかと思っていたが、キャラクターだけ借りてきたような感じ。 今度はイーガンも真っ青なハードSFを読ませておくれ。 『天獄と地国』の続編でもいいけど・・・。 254ページ
読了日:6月6日 著者:小林泰三
ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)感想
テロや戦争に否応なしに巻き込まれる人々とホビーロボットDX9をめぐる連作短編集・・・。 なのだが、耐久試験場で繰り返し繰り返し落下し続けるDX9というのが、なんていうか許容できないというか他はリアルっぽく書かれているのにここだけマンガになって全体をぶち壊している印象。 読みやすかったのはミステリ風味の「ジャララバード」(ただし後日談の「ハドラマウト」は余分)。 『盤上の夜』もそうだが、この作者の期待値は高いが今ひとつ応えてくれない。 264ページ
読了日:6月8日 著者:宮内悠介
青い脂 青い脂感想
5月の初めくらいから他の本ズと並行して読んでいたのだが、読了まで1か月かかっちまったな。 ともかく真ん中くらいまで読みにくかった。 前半は青脂が作られるところで(直接は書かれてないが)、ドストエフスキーやチェーホフなどの個体(クローン?)が創造したテクストは作者も力が入ったろうな。 「御万光」という訳語にも苦笑。 後半はガラリと読みやすかったが、読みにくい前半ほどのインパクトはなかった。 ともかくサービス満点(客は選ぶが)で盛り沢山で満腹です。 392ページ
読了日:6月10日 著者:ウラジーミル・ソローキン
時間のおとしもの (メディアワークス文庫) 時間のおとしもの (メディアワークス文庫)感想
時間SFの短編集らしいので購入。 斬新な視点から思いもよらぬ切り口で時間を料理して欲しいと思ったが、期待のしすぎはよくないね。 中では「未来を待った男」が読ませたかな。 過ぎ去った時間に悔いはないの? 表題作もちょっとビターでした。 全体に地面にへばりついている感じで、もっとワクワクする浮揚感が欲しかった。 263ページ
読了日:6月12日 著者:入間人間
あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA) あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)感想
読み終えたときは野﨑まどの『know』が頭に浮かんだ。 21世紀末。 人工義肢の制御プロトコルで成功を収めたサマンサは、34歳にして余命半年を宣告される。 死を乗り越える方法は存在するのか。 死を前にしてサマンサは生や死とどう向きあったのか。 テーマは重いし歯ごたえも充分だが、読後しばらく経つとやたらと怒りまくっているサマンサの姿しか印象に残らなかった。 429ページ
読了日:6月14日 著者:長谷敏司
火星夜想曲 (ハヤカワ文庫SF) 火星夜想曲 (ハヤカワ文庫SF)感想
テラフォーミングされた火星の、とある砂漠に一つの町(デソレイション・ロード)が生まれ発展したが半世紀後には消えてしまう。 この町に流れ着いた者、家族、その子供らの数奇な運命を、時にはSF寄りに時にはファンタジー寄りに描いてます。 章ごとに登場人物が代わり、面白いエピソードやら面白くないエピソードやらさまざまでしたが、まさに大河ドラマのような趣。 いささか疲れましたが、読みごたえは十二分。 551ページ
読了日:6月17日 著者:イアン・マクドナルド
黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
舞台はスウェーデンのエーランド島。 20数年前に幼い子供が忽然と消えてしまったが手がかりは皆無。 母親は自分を責めながらもいまだに諦めきれない。 過去の事件だと回想や悔悟でさぞかし陰々滅滅かと思いきや、割とすんなり読めた。 そうは言ってもジワジワと真相へ近づく書き方は一気読みという訳にはいかない。 どちらかというと静かに余韻を残して終わると思ってたが、ラストはゴチャゴチャしすぎだしあっさりと白状しすぎじゃないのか。 なかなかの出来とは思うが、長期記憶にはほとんど残らないかも。 480ページ
読了日:6月20日 著者:ヨハン・テオリン
一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫) 一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)感想
執筆に行き詰った江戸川乱歩は、とあるホテルに身を隠す。 ところが根が小心者のせいかあれこれと悩む。 ここで書き始めた「梔子姫」はすこぶる快調に筆が進むが、乱歩の周りではおかしなことが・・・。 まともに読んだことはないが、ミステリ界の大御所・江戸川乱歩のイメージが覆されました。 作家の「書けない恐怖」というものは昔も今も変わらないのでしょうね。 久世さんは見事に乱歩を描いていると思うし、いかにも乱歩が書いたかのような「梔子姫」も面白かった。 336ページ
読了日:6月22日 著者:久世光彦
世界堂書店 (文春文庫) 世界堂書店 (文春文庫)感想
他の本を読む合間に少しずつ読んで、一応全部読み終えて一晩経ったら恐ろしいことに各編のタイトルも内容も思い出せない。 パラパラとめくれば「そーだった」と思い出せるのですが。 ひとつひとつは読み応えやインパクトはあるのだが、なぜ? 並行して読んでいる(読んでいた)長編のイメージが大きいから、どうしても「分かり易い驚愕のオチもの」の話でないと記憶に残らないか。 全然この短編集をほめてないような気がしてきましたが、編者のセレクトが光るいい短編が揃った本ですよ(説得力ゼロ)。 396ページ
読了日:6月24日 著者:米澤穂信(編)
言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ) 言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
実に歯ごたえがあって、とてもじゃないが私ごときではあ太刀打ちできない。 語り手の女性が観察者かオブザーバー風で一歩引いて語っているか、あるいはモニター越しに語っているかのようで臨場感が伝わらなくて、読み難さやもどかしさに拍車をかけている。 作者はじっくりと話を進めているようだが、かえって間延びしている印象。 ラストはこれしかないのかもしれないが、一つの種族の文化文明を根こそぎにするかのようで後味は良くない。 アリエカ人の「ゲンゴ」は魅力的ではあったが。 496ページ
読了日:6月26日 著者:チャイナ・ミエヴィル
SF JACK SF JACK感想
最近はSFのアンソロジーに食傷気味だが、これも期待の山田正紀と小林泰三が不発だったのが痛い。 あとは、うーん。 せめて一本気に入ったのがあればいいのだが。 結局、宮部みゆきの「さよならの儀式」が一番出来がいいというのが情けない。 SFプロパーは何をやっとんじゃ。 474ページ
読了日:6月28日 著者:日本SF作家クラブ(編)
ピーチツリー探偵社 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ピーチツリー探偵社 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
意外と拾い物。 表紙の感じから集英社文庫だとずっと思ってましたがハヤカワなのね。 探偵社の社長代理・サニーは、盗まれた絵を取り戻そうと取引場所へ行くとそこには他殺体が。 さらに銀行へ10万ドルを早急に入金しないと倒産してしまう。 四面楚歌の中、がんばるサニー。 ところがさらに・・・。 裏表紙に「どんでん返しの連続回転記録に挑むジェットコースター・ハードボイルド」とあるが、そうだったっけ? とどめの一撃は背筋が凍りつくところでしょうが、余分としか思えなかったのが残念。 426ページ
読了日:6月30日 著者:ルース・バーミングハム

読書メーター

『ピーチツリー探偵社』 ルース・バーミングハム

ピーチツリー探偵社 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ピーチツリー探偵社
著者:ルース・バーミングハム

訳者・後書:宇佐川 晶子

(ハヤカワ・ミステリ文庫)

初版:2002年11月15日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

1998年の作。

意外と拾い物。

探偵社の社長代理・サニーは、盗まれた絵を取り戻そうと取引場所へ行くとそこには他殺体が。

さらに銀行へ10万ドルを早急に入金しないと倒産してしまう。

四面楚歌の中、がんばるサニー。

ところがさらに・・・。

裏表紙に「どんでん返しの連続回転記録に挑むジェットコースター・ハードボイルド」とあるが、そうだったっけ?

とどめの一撃は背筋が凍りつくところでしょうが、余分としか思えなかったのが残念。



『SF JACK』 日本SF作家クラブ・編

SF JACK

SF JACK
編者:日本SF作家クラブ

(角川書店)

初版:2013年2月28日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「神星伝」 冲方丁

「黒猫ラ・モールの歴史観と意見」 吉川良太郎

「楽園(パラディスス)」 上田早夕里

「チャンナン」 今野敏

「別の世界は可能かもしれない」 山田正紀

「草食の楽園」 小林泰三

「不死の市」 瀬名秀明

「リアリストたち」 山本弘

「あの懐かしい蝉の声は」 新井素子

「宇宙縫合」 堀晃

「さよならの儀式」 宮部みゆき

「陰態の家」 夢枕獏

--------------------------------

最近はSFのアンソロジーに食傷気味だが、これも期待の山田正紀と小林泰三が不発だったのが痛い。

あとは、うーん。

結局、宮部みゆきの「さよならの儀式」が一番出来がいいというのが情けない。

SFプロパーは何をやっとんじゃ。



『言語都市』 チャイナ・ミエヴィル

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)

言語都市
著者:チャイナ・ミエヴィル

訳者:内田 昌之

解説:A・T

(新ハヤカワSFシリーズ)

初版:2013年2月25日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

実に歯ごたえがあって、とてもじゃないが咀嚼できない。

語り手の女性が観察者かオブザーバー風で一歩引いて語っているか、あるいはモニター越しに語っているかのようで臨場感が伝わらなくて、読み難さやもどかしさに拍車をかけている。

作者は懇切丁寧に話を進めているようだが、かえって間延びしている印象。

ラストはこれしかないのかもしれないが、一つの種族の文化文明を根こそぎにするかのようで後味は良くない。

アリエカ人は魅力的ではあったが。



『世界堂書店』 米澤 穂信・編

世界堂書店 (文春文庫)

世界堂書店
編者・解説:米澤 穂信

(文春文庫)

初版:2014年5月10日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

「源氏の君の最後の恋」 マルグリット・ユルスナール (訳:多田智満子)

「破滅の種子」 ジェラルド・カーシュ(訳:西崎憲

「ロンジュモーの囚人たち」 レオン・ブロワ(訳:田辺保)

「シャングリラ」 張系国(訳:三木直大)

「東洋趣味(シノワズリ)」 ヘレン・マクロイ(訳:今本渉)

「昔の借りを返す話」 シュテファン・ツヴァイク (訳:長坂聰)

「バイオリンの声の少女」 ジュール・シュペルヴィエル(訳:永田千奈)

「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」 キャロル・エムシュウィラー (訳:畔柳和代)

「いっぷう変わった人々」 レーナ・クルーン (訳:末延弘子)

「連鎖」 蒲松齢(訳:柴田天馬)

「トーランド家の長老」 ヒュー・ウォルポール(訳:倉阪鬼一郎)

「十五人の殺人者たち」 ベン・ヘクト(訳;橋本福夫)

「石の葬式」 パノス・カルネジス (訳:岩本正恵)

「墓を愛した少年」 フィッツ=ジェイムズ・オブライエン(訳:西崎憲)

「黄泉から」 九生十蘭

--------------------------------

他の本を読む合間に少しずつ読んで、一応全部読み終えて一晩経ったら恐ろしいことに各編のタイトルも内容も思い出せない。

パラパラとめくれば「そーだった」と思い出せるのですが。

ひとつひとつは読み応えやインパクトはあるのだが、なぜ?

並行して読んでいる(読んでいた)長編のイメージが大きいから、どうしても分かり易い「驚愕のオチ」の話でないと記憶に残らないか。

全然この短編集をほめてないような気がしてきましたが、いい短編が揃った本ですよ(説得力ゼロ)。


『一九三四年冬-乱歩』 久世 光彦

一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)

一九三四年冬―乱歩
著者:久世 光彦

解説:戸川 安宣、翁 華栄

(創元推理文庫)

初版:2013年1月25日

(1993年12月に集英社より刊行)

Amazonで詳しく見る by G-Tools

執筆に行き詰った江戸川乱歩は、とあるホテルに身を隠す。

ところが根が小心者のせいかあれこれと悩む。

無人のはずが誰かいるような隣の部屋も気になるし、イケメンの中国人のボーイも、探偵小説好きなアメリカの人妻も気になる。

ホテルで書き始めた「梔子姫」はすこぶる快調に筆が進むが、乱歩の周りではおかしなことが・・・。

まともに読んだことはないが、ミステリ界の大御所・江戸川乱歩のイメージが覆されました。

作家の「書けない恐怖」というものは昔も今も変わらないのでしょうね。

久世さんが見事に乱歩を描いていると思うし、いかにも乱歩が書いたかのような「梔子姫」も面白かった。



『黄昏に眠る秋』 ヨハン・テリオン

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

黄昏に眠る秋
著者:ヨハン・テオリン

訳者・後書:三角 和代

(ハヤカワ・ポケットミステリ)

初版:2011年4月15日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

2007年の作。

今年、海外の現代ミステリは何を読んだかと記憶を探ろうとしたが、おそろしいことにほとんど忘れている。

読書中や読了直後はそれなりのインパクトであっても、長期記憶には残らないのか。

「名探偵皆を集めて、さてと言い」の頃とは違っているからなあ。

 

舞台はスウェーデンのエーランド島。

20数年前に幼い子供が忽然と消えてしまったが手がかりは皆無。

母親は自分を責めながらもいまだに諦めきれない。

過去の事件だと回想や悔悟でさぞかし陰々滅滅かと思いきや、割とすんなり読めた。

そうは言ってもジワジワと真相へ近づく書き方は一気読みという訳にはいかない。

どちらかというと静かに余韻を残して終わると思ってたが、ラストはゴチャゴチャしすぎだしあっさりと白状しすぎじゃないのか。


『火星夜想曲』 イアン・マクドナルド

火星夜想曲 (ハヤカワ文庫SF)

火星夜想曲
著者・後書:イアン・マクドナルド

訳者:古沢 嘉通

解説:山岸 真

(ハヤカワ文庫SF)

初版:1997年8月31日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

1988年の作。

テラフォーミングされた火星のとある砂漠に一つの町(デソレイション・ロード)が生まれ発展したが半世紀後には消えてしまう。

この町に流れ着いた者、家族、その子供らの数奇な運命を、時にはSF寄りに時にはファンタジー寄りに描いてます。

章ごとに登場人物が代わり、面白いエピソードやら面白くないエピソードやらさまざまでしたが、まさに大河ドラマのような趣。

いささか疲れましたが、読みごたえは十二分。