たまらなく孤独で、熱い街 -78ページ目

『その女アレックス』 ピエール・ルメートル

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス
著者:ピエール・ルメートル

訳者・後書:橘 明美

(文春文庫)

初版:2014年9月10日

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2011年の作。

最初は監禁ものかと思ったら、意外な展開。

ラストは何を今さらと思ったら・・・。

ツイッターなどで絶賛らしいので、タイトルを見るたびに目を逸らしていたのだが、これからは大丈夫。

ただ根がひねくれ者だけに、一人勝ち状態だとアラも散見されるし手放しでは喜べない。

たとえば『葉桜の季節に君を想うということ』も面白く騙されたが、あまりに評価が高いと「?」と思ってしまう。

もっと面白い本がきっとあるはずと願うのは、ないものねだりなんだろうけど。



『全滅領域〈サザーン・リーチ〉1』 ジェフ・ヴァンダミア

全滅領域 (サザーン・リーチ1)

全滅領域 (サザーン・リーチ1)
著者:ジェフ・ヴァンダミア

訳者:酒井 昭伸

解説:柳下 毅一郎

(ハヤカワ文庫NV)

初版:2014年10月25日

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2014年の作。

三部作とはいえ興味津々だったし、この薄さなら読めるかなと(少し前に買った第二部は厚さが七割増しになってたが)。

「ゾーン」の雰囲気漂う謎の領域「エリアX」。

調査隊に参加した生物学者の手記らしいが、前置きなしでいきなり「そこにあるはずのない〈塔〉は、地中深くに埋めこまれていた」という出だしでさらに興味が増す。

そしてもう一つの残された建造物の〈灯台〉では何が起こったのか。

読むほどに内省的な雰囲気になっていくが、これは最後までつき合わないと全貌はわかりませんね。

ところで作者はミエヴィルらとともに「ニュー・ウィアード」とかいうのを提唱しているらしいが、『アンランダン』でミエヴィルがファンタジーのお約束を外した(コケにした)のはそれでだったのか。


『アンランダン』(上・下) チャイナ・ミエヴィル

アンランダン 上 ザナと傘飛び男の大冒険

アンランダン 上 ザナと傘飛び男の大冒険
著者:チャイナ・ミエヴィル

訳者・後書:内田 昌之

(河出書房新社)

初版:2010年8月30日

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アンランダン 下 ディーバとさかさま銃の大逆襲 アンランダン 下 ディーバとさかさま銃の大逆襲
著者:チャイナ・ミエヴィル

訳者・後書:内田 昌之

(河出書房新社)

初版:2010年8月30日

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2007年の作。

ヤングアダルト向けということで、ミエヴィルも少しは肩の力を抜いて書けたかも。

タイトルの『アンランダン』は「裏ロンドン」というような意味で、文字通り「もう一つのロンドン」が舞台。

二人の仲の良い少女のザナとディーバがひょんなことから裏ロンドンに迷い込み、ファンタジーの定番通りにゴタゴタに巻き込まれて冒険をするのだが、ミエヴィルはわざと「お約束」をいくつか外してくれてほほえましい。

ミエヴィルの特に長編は資本主義社会のいきつく先を皮肉っているような(あるいは危惧している)気がするのだが、このYAでもその傾向が。

それでもきっちりと楽しいファンタジーに仕上げてくれるので文句は言いません。

ところどころに描かれたイラストもミエヴィルが自ら描いたようで、作者のイメージが浮かんでさらに楽しい読書となりました。





『躯体上の翼』 結城 充考

躯体上の翼

躯体上の翼
著者:結城 充考

(東京創元社)

2013年11月29日

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滅びに向かっているかのような世界の大部分を覆う炭素繊維躯体。

遺伝子操作の暴走から生まれたらしい凶暴で脅威的な能力を有する「人狗」。

それと闘うために造られた「対狗衛仕」の少女・員(エン)。

員がネットを介して初めて交流できた人物・cy。

員はcyを守るために共和国や人狗を敵に回して(つまり世界を敵に回して)自らの意志により戦う。

最初は読みにくかったが、様子が分かってきてからは面白く読めました。


『冥闇(めいあん)』 ギリアン・フリン

冥闇 (小学館文庫)

冥闇
著者:ギリアン・フリン

訳者・後書:中村 友紀子

(小学館文庫)

初版:2012年10月10日

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2009年の作。

『KIZU-傷-』があまりにも読みにくかった印象が残っているので読むのをためらったが、『ゴーン・ガール』の評判がいいようなのでお試しのつもりで。

31歳のリビーは24年前に母と二人の姉を殺される。

捕まって服役しているのは兄。

善意の寄付金で無気力な生活を続けていたリビーは、それも底を尽きかけているのを知り、事件について話せば謝礼を払うという集まりに行くが。

現在と過去を交互に語るストーリーには嫌な予感しかないのだが案の定だった。

なによりも腹がたつのは500ページ強を読んだ末にたどりついた「真相」。

もう『ゴーン・ガール』もフリンも読まねーよ。



『聞いてないとは言わせない』 ジェイムズ・リーズナー

聞いてないとは言わせない (ハヤカワ・ミステリ文庫)

聞いてないとは言わせない
著者:ジェイムズ・リーズナー

訳者・後書:田村義進

(ハヤカワ・ミステリ文庫)

初版:2008年6月15日

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2007年の作。

タイトル買いした本。

昔、年下にこのセリフを言われたことがあったな。

でも聞いてなかったんだが。

あれよあれよと、面白いくらい早いテンポで進む。

分厚くてテンポが遅い本にもうんざりだが、逆に早すぎるともっと書き込んでよと思ってしまうので、読者というのはワガママなものだ。


『夢幻諸島から』 クリストファー・プリースト

夢幻諸島から (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

夢幻諸島から
著者:クリストファー・プリースト

訳者・後書:古沢 嘉通

(新・ハヤカワSFシリーズ)

初版:2013年8月15日

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2011年の作。

無数の島々からなる夢幻諸島。

体裁はガイドブックだが、ドラマ仕立てもあったり、数人の登場人物は繋がりがあったりで油断ができない。

作者の頭の中では夢幻諸島全体を俯瞰する視点があるのだろうけど。

面白い試みではあるが、隔靴掻痒なところも。

それに、主要登場人物はたしかに存在感があるが、その他大勢の名もなき島民たちの姿がどうしても見えない。


『たんぽぽ娘』 ロバート・F・ヤング

たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

たんぽぽ娘
著者:ロバート・F・ヤング

編者・後書:伊藤 典夫

(河出書房新社・奇想コレクション)

初版:2013年5月30日

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「特別急行がおくれた日」(訳:伊藤典夫)

「河を下る旅」(訳:伊藤典夫)

「エミリーと不滅の詩人たち」(訳:山田順子)

「神風」(訳:伊藤典夫)

「たんぽぽ娘」(訳:伊藤典夫)

「荒寥の地より」(訳:伊藤典夫)

「主従問題」(訳:伊藤典夫)

「第一次火星ミッション」(訳:伊藤典夫)

「失われし時のかたみ」(訳:深町眞理子)

「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」(訳:伊藤典夫)

「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」(訳:伊藤典夫)

「スターファインダー」(訳:伊藤典夫)

「ジャンヌの弓」(訳:山田順子)

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今さら「たんぽぽ娘」を再読してもな、と思いつつ読む。

全体に良いセレクトじゃないかな。

大ネタはないが一つ一つが胸に落ちる。

失礼ながら、古き良きSFという雰囲気ではあるが。



『ムーンズエンド荘の殺人』 エリック・キース

ムーンズエンド荘の殺人 (創元推理文庫)

ムーンズエンド荘の殺人
著者:エリック・キース

訳者:森沢 くみ子

解説:福井 健太

(草原推理文庫)

初版:2013年6月21日

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2011年の作。

雪の山荘版『そして誰もいなくなった』、ということで期待度は高かったのですが。

登場人物が多いと誰が誰やらですし、次々と死んでいくと何が何やら。

15年前の探偵学校云々と言われても、全然ピンとこないし。

本格ものは最近でこそご無沙汰してても嫌いではないが、私にとっては最後まで他人事みたいな雰囲気だった。

薄いのだけは良かったが。


『TAP』 グレッグ・イーガン

TAP (奇想コレクション)

TAP
著者:グレッグ・イーガン

編者・訳者・後書:山岸 真

(河出書房新社・奇想コレクション)

初版:2008年12月30日

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「新・口笛テスト」

「視覚」

「ユージーン」

「悪魔の移住」

「散骨」

「銀炎」

「自警団」

「要塞」

「森の奥」

「TAP」

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1990年前後の短編を揃えた、日本オリジナル短編集。

イーガンを読むときはいつも身構えてしまうので、脳内に届くころには本来の面白さが損なわれていたかも知れない。

例えは悪いが、昔、映画での秋吉久美子は「セリフをとちるのではないだろうか」と気になってしまい映画にのめりこめなかったものだ。

当然ながらとちれば撮りなおすので、NGは表に出ないのは頭では分かっていたが。

ここに集められた短編はホラーテイストも多く、イーガンにしては分かりやすいかな。

その分インパクトにやや欠けるのは致し方ないか。