たまらなく孤独で、熱い街 -66ページ目

『人形の目』 バリ・ウッド

人形の目 (ハヤカワ文庫NV)

人形の目
著者:バリ・ウッド

訳者・後書:伏見 威蕃

(ハヤカワ文庫NV)

初版:1996年8月31日

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1993年の作。

古書店で見つけ、『殺したくないのに』の作者ということで懐かしさでなんとなく購入。

この人はミステリに超能力者を放り込むのが得意技なのか?

苦手なサイコキラーものだしと期待しないで読んだのだが、これは傑作でした。

何かに触れただけで、本人の意思と関わりなく誰かの過去や未来を透視できてしまう能力を持つ主人公が、近くで起きた惨殺現場を透視してしまいサイコキラーにつけ狙われる・・・。

虚ろな人形の目をしたサイコキラー。

彼は人間らしい感情を取り戻そうともがき苦しむ。

勝手な奴だと思いつつも読んでいくのですが、書き方のせいかなかなか読ませます。

ラストは不覚にも泣けてしまった。

『ショートショート・マルシェ』 田丸 雅智

ショートショート・マルシェ (光文社文庫)

ショートショート・マルシェ
著者:田丸 雅智

解説:大森 望

(光文社文庫)

初版:2015年7月20日

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「ネコの芽」「キープ「カフェの素」「踊茸」「羊涎琥」「差し歯」「捜索料理」「男をつかむ」「キャベツ」「鯛の鯛」「皮使い」「MEN」「お腹のビール」「ケイ紀」「二枚目の」「チョコレート・レイディ」「信号木」「日の出」

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作者が星新一の孫弟子というのは措いとくとしても、『あやしい遊園地』が大外れだった江坂遊の弟子というのが気になったが、これも外れかなあ。

もしかして、書く上での制約や縛りがあったのかもしれないが、それにしても脱力感が半端ない。

日常に異物を投入してシェイクしたようなのばかり。

それが意外な効果を生み出せていればいいのだが・・・。

例えば「ケイ紀」や「信号木」はそれが当たり前の世界なのだから、無知な登場人物が知らなかったと驚かれてもアホかとしか言いようがない。

そこからどう話を広げて行くかが腕の見せどころじゃないのかな。


『氷』 アンナ・カヴァン

氷 (ちくま文庫)


著者:アンナ・カヴァン

訳者・後書:山田 和子

序文:クリストファー・プリースト

解説:川上 弘美

(ちくま文庫)

初版:2015年3月10日

(1985年2月にサンリオSF文庫より刊行)

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1967年の作。

作者の心象風景のような、氷が浸食する世界。

作者の身代わりのような「少女」。

そして、少女を追い求める「私」と、同じく少女に魅せられたような「長官」。

ストーリーらしきストーリーもないのだが、たまらなくイメージを喚起させてくれました。


『百舌鳥魔先生のアトリエ』 小林 泰三

百舌鳥魔先生のアトリエ (角川ホラー文庫)

百舌鳥魔先生のアトリエ
著者:小林 泰三

(角川ホラー文庫)

初版:2014年1月25日

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「ショグゴス」

「首なし」

「兆」

「朱雀の池」

「密やかな趣味」

「試作品三号」

「百舌鳥魔先生のアトリエ」

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作者には失礼ながら、久しぶりの当り短篇集。

グロさもほどよくブレンドされているし、狂ったような論理の行く末がたまりません。

いくつかクトゥルフへのオマージュもあったと思うけど、よく分からず。

スプラッタが苦手な方は読まない方がいいかも。

特に「密やかな趣味」はえげつない。

【読書メーター】 2015年7月分

不快指数がうなぎ上りですな。

 

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4722ページ


二塁手革命 (光文社新書) 二塁手革命 (光文社新書)感想
今やカープのみならず、日本野球界を代表する二塁手にまで成長した菊池。 黒田も書いていたが、二人とも選んだ高校の練習が厳しかったようだが、それが良かったのかな。 武蔵工大二高(現東京都市大学塩尻高校)は、その前は信州工業高校という名称で甲子園に行けそうで行けないレベルだった。 自宅から1時間少々の所にあり、たまに学校の前の道も通っていたので、もしかして高校生の頃の菊池とすれ違っていたりして。 今後も益々の活躍を期待したいが、お願いだから故障だけはしないでおくれ。 198ページ
読了日:7月2日 著者:菊池涼介
消しゴム (光文社古典新訳文庫) 消しゴム (光文社古典新訳文庫)感想
とある町で「事件」が起き、ヴァラス特別捜査官が派遣される。 迷路ではないのだが、どこか輪郭がはっきりしない町をさまようヴァラス。 ストーリーに関係あるのかないのか分からない記述も多く、読者もまた本の中をさまよっているかのよう。 訳文は読みやすいが、内容はおぼろげでつかみどころがない。 ヴァラス(と読者)はこの町を抜けることができただろうか。 読後感は悪くない。 456ページ
読了日:7月5日 著者:アラン・ロブ=グリエ
赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫) 赦す人: 団鬼六伝 (新潮文庫)感想
団鬼六というとSM作家というイメージだろうが、私にとっては将棋を通じて知った人なので、将棋や棋界の好きな作家という程度の認識。 ところがこれを読むとそんなもんじゃない。 波瀾万丈としか言いようがない振幅の大きな人生。 けれど団鬼六さんの器の大きさが人を惹きつけたのでしょうね。 570ページ
読了日:7月8日 著者:大崎善生
彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス) 彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)感想
なんのこっちゃと思わせるタイトルに、まず惹かれます。 大恐慌後のアメリカで流行ったマラソンダンス。 たまたま出会ったがために、それに参加するはめになった、ある男と女の顛末。 映画化された『ひとりぼっちの青春』は以前にTV放送されたものを観ているし、冒頭の1ページで何が起こるかは予想がついてしまうのだが。 なので興味は「何がどうしてこうなった」ですが、淡々としたような筆致に少々いらつくことも。 しかしながら、そのためにか読後は意外と全体が印象に残る。 映画ももう一度観たいものだ。 190ページ
読了日:7月10日 著者:ホレス・マッコイ
禍家 (角川ホラー文庫) 禍家 (角川ホラー文庫)感想
子供が大人顔負けの活躍をする話は(内容によりますが)好きですけど、逆に子供がひどい目にあったり被害者になるのは読むのがツライ。 さらに言えば、真犯人の登場でシラけたり、あの解決の仕方はあり得ないだろうと思ったり、ラストは余韻を残したつもりか、と文句タラタラですが。 子供云々よりも、ホラーとの相性が悪いのかもしれない。 302ページ
読了日:7月12日 著者:三津田信三
虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス) 虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)感想
どうでもいいようなのが2編続いた後、3編目で「まさかアレじゃないよな」と危惧したのが「まさかのアレ」でガッカリ。 期待は外れることが多いが、危惧は当たることが多い(当社比)。 こういうネタは面白くもなんともないんだよな。 誰だかの「どんどん橋、落ちた」以来の落胆。 それに、らいちの正体なんかどーでもいいんだよ。 誰も気にしてないんだよ。 前作で多少は期待したが、これにて打ち止め(もう読めない)。 224ページ
読了日:7月14日 著者:早坂吝
レフトハンド (角川ホラー文庫) レフトハンド (角川ホラー文庫)感想
ある製薬会社の研究所で致死率100%のウィルスが漏洩。 汚染された研究棟から絶対にウィルスを流出させてはいけない。 しっかり書き込まれているし関係者のてんやわんやぶりが面白かったが、ラストはちょっと感傷的すぎるような。 それと、ウィルスに罹患すると左腕が心臓を引き連れて「独立」して歩き回るというのがなんとも。 ミニゾンビみたいなものだが。 486ページ
読了日:7月17日 著者:中井拓志
スノーマン 上 (集英社文庫) スノーマン 上 (集英社文庫)感想
オスロ警察のハリー・ホーレ警部ものの7作目だが、シリーズではこれが初の翻訳らしい。 ノルウェーの人物名の覚えにくさよ。 地名などもなじみがないし。 さらに、たくさんの家族が出てくるが、誰が誰やら。 それはさておき、雪だるまが残された事件はシリアルキラーものの様相を帯びつつ下巻へ。 360ページ
読了日:7月19日 著者:ジョー・ネスボ
スノーマン 下 (集英社文庫) スノーマン 下 (集英社文庫)感想
すでに10作も続いているということは、本国ではかなりの人気シリーズと思うが、アルコール依存症でがけっぷちのハリー・ホーレ警部の魅力がもうひとつ。 後半はそれなりの見せ場を用意してくれたが、インパクトにやや欠けた印象。 大作だけに登場人物が多く、私の脳内では誰が誰やら状態だったのも要因か。 366ページ
読了日:7月21日 著者:ジョー・ネスボ
心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 (創元推理文庫) 心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 (創元推理文庫)感想
古いとは思ったが、まさか100年以上前の作品とは驚き。 怪奇(怪異)現象に、心霊博士ジョン・サイレンスが科学的なオチをつけるのかと思ったが外れた。 当時の大衆小説だろうか、怪異現象に苦しむ人たちを心霊博士が救う。 ジョン・サイレンスがプロフェッショナルすぎるのと、前置きが長いので、彼が脇役の「古えの妖術」「秘密の崇拝」が面白かった。 最後のはSFっぽくて期待したが、あっさり終わってしまって残念。 474ページ
読了日:7月24日 著者:アルジャナン・ブラックウッド
チョコレート・ウォー (扶桑社ミステリー) チョコレート・ウォー (扶桑社ミステリー)感想
学校を牛耳る一部の教師と一部の学生。 伝統行事である学生全員によるチョコレート販売の時期がきたが、なぜか一人の学生だけは拒絶し続ける。 何故彼は反抗するのか。 牛耳る側はどうするのか。 キャラクターや心理描写などが、くどいくらいに良いのでグイグイ読ませます。 309ページ
読了日:7月26日 著者:ロバート・コーミア
ルシアナ・Bの緩慢なる死 (扶桑社ミステリー) ルシアナ・Bの緩慢なる死 (扶桑社ミステリー)感想
もっと古い作品かと思って読んでいたが、意外と新しい。 『オックスフォード連続殺人』といい、一筋縄ではいかない作家ですね。 リドルストーリーの趣もあります。 ルシアナ・Bは10年前に、今は国民的作家となった男性の元でタイピストをしていた。 その時に彼女がそれとなく誘いをかけたのか、単に作家が勘違いをしていたのか。 彼女は作家の愛娘の死に責任があるが故に復讐されているのか。 彼女の言い分を聞いてなるほどと思っても、作家の言い分を聞くとあり得ないよなと思ったり・・・。 292ページ
読了日:7月28日 著者:ギジェルモ・マルティネス
ルーティーン: 篠田節子SF短篇ベスト (ハヤカワ文庫JA) ルーティーン: 篠田節子SF短篇ベスト (ハヤカワ文庫JA)感想
ひとつひとつは悪くないのだが、全体としてはインパクトが弱い印象。 飛びぬけたのはないが、ひどいのもないということで。 なんとなく土着のSFというイメージが浮かんだりして楽しく読めました。 一番面白かったのは巻末のインタビュウだけどね。 495ページ
読了日:7月31日 著者:篠田節子

読書メーター

『ルーティーン~篠田節子SF短篇ベスト~』 篠田 節子

ルーティーン: 篠田節子SF短篇ベスト (ハヤカワ文庫JA)

ルーティーン: 篠田節子SF短篇ベスト
著者・後書:篠田 節子

編者・解説:牧 眞司

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2013年12月25日

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「子羊

「世紀頭の病」

「コヨーテは月に落ちる」

「緋の襦袢」

「恨み祓い師」

「ソリスト」

「沼うつぼ」

「まれびとの季節」

「人格再編」

「ルーティーン」

「短編小説倒錯愛」(エッセイ)

※篠田節子インタビュウ「SFは、拡大して、加速がついて、止まらない」

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ひとつひとつは悪くないのだが、読み終えると全体としてはインパクトが弱い印象。

飛びぬけたのはないが、ひどいのもないということで。

なんとなく土着のSFというイメージが浮かんだりして楽しく読めました。

一番面白かったのはインタビュウだけどね。

『ルシアナ・Bの緩慢なる死』 ギジェルモ・マルティネス

ルシアナ・Bの緩慢なる死 (扶桑社ミステリー)

ルシアナ・Bの緩慢なる死
著者:ギジェルモ・マルティネス

訳者:和泉 圭亮

解説:巽 昌章

(扶桑社ミステリー)

初版:2009年6月30日

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2007年の作。

もっと古い作品かと思って読んでいたが、意外と新しい。

『オックスフォード連続殺人』といい、一筋縄ではいかない作家ですね。

リドルストーリーの趣もあります。

ルシアナ・Bは10年前に、今は国民的作家となった男性の元で口述筆記をしていた。

その時に女がそれとなく誘いをかけたのか、単に男が勘違いをしていたのか。

その後に起きたことは、どちらの言い分が正しいのか。

ラストが少し弱いかな。

『チョコレート・ウォー』 ロバート・コーミア

チョコレート・ウォー (扶桑社ミステリー)

チョコレート・ウォー
著者:ロバート・コーミア

訳者・後書:北沢 和彦

(扶桑社ミステリー)

初版:1994年4月30日

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1974年の作。

学校を牛耳る一部の教師と一部の学生。

伝統行事である学生全員によるチョコレート販売の時期がきたが、なぜか一人の学生だけは拒絶し続ける。

何故彼は反抗するのか。

牛耳る側はどうするのか。

キャラクターや心理描写などがくどいくらいに良いのでグイグイ読ませます。


『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』 アルジャナン・ブラックウッド

心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿 (創元推理文庫)

心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿
著者:アルジャナン・ブラックウッド

訳者:植松 靖夫

解説:朝松 健

(創元推理文庫)

初版:2009年1月30日

(1994年4月に『妖怪博士ジョン・サイレンス』のタイトルにて角川ホラー文庫より刊行)

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「霊魂の侵略者」

「古(いにし)えの妖術」

「炎魔」

「秘密の崇拝」

「犬のキャンプ」

「四次元空間の虜(とりこ)」

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1908年の作。

古いとは思ったが、まさか100年以上前の作品とは。

怪奇(怪異)現象に、心霊博士ジョン・サイレンスが科学的なオチをつけるのかと思ったが。

当時の大衆小説だろうか、怪異現象に苦しむ人たちを心霊博士が救う。

ジョン・サイレンスがプロフェッショナルすぎるのと、前置きが長いので、彼が脇役の「古えの妖術」「秘密の崇拝」が面白かった。

最後のはSFっぽくて期待したが、あっさり終わってしまった。

『スノーマン』(上・下) ジョー・ネスボ

スノーマン 上 (集英社文庫)

スノーマン 上
著者:ジョー・ネスボ

訳者:戸田 裕之

(集英社文庫)

初版:2013年10月25日

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スノーマン 下 (集英社文庫) スノーマン 下
著者:ジョー・ネスボ

訳者・後書:戸田 裕之

(集英社文庫)

初版:2013年10月25日

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2007年の作。

オスロ警察のハリー・ホーレ警部ものの7作目だが、シリーズではこれが初の翻訳らしい。

ノルウェーの人物名の覚えにくさよ。

地名もなじみがないし。

さらにたくさんの家族が出てくるが、誰が誰やら。

それはさておき、雪だるまが残された事件はシリアルキラーものの様相を・・・。

7作も続くということは、本国ではかなりの人気シリーズと思うが、アルコール依存症でがけっぷちのハリー・ホーレ警部の魅力がもうひとつ。

後半はそれなりの見せ場を用意してくれたが、インパクトにやや欠けた印象。

大作だけに登場人物が多く、誰が誰やら状態だったのも原因か。