たまらなく孤独で、熱い街 -58ページ目

『哀しみの街の検事補』 ロブ・ルーランド

哀しみの街の検事補 (扶桑社ミステリー)

哀しみの街の検事補
著者:ロブ・ルーランド

訳者・後書:北澤 和彦

(扶桑社ミステリー)

初版:2004年4月30日

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2001年の作。

たしか古書店でなんとなくタイトルに惹かれて購入したんだった。

ブルックリンの貧しいアパートの一室で14歳の黒人少女が射殺され、その前後に男が立ち去ったらしい。

担当の検事補は自分の不注意で幼い愛娘を死なせてしまい、妻には去られ悔恨と泥酔の日々。

当然ながら明るい話にはなりようもないが、どこか突き抜けている雰囲気もあってなんとか読ませます。

主人公の検事補にはイライラさせられまくりでしたが。

『世界の涯ての夏』 つかい まこと

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

世界の涯ての夏
著者:つかい まこと

インタビュウ:高槻 真樹

(ハヤカワ文庫JA)

初版:2015年11月25日

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これは素晴らしい。

少し『グラン・ヴァカンス』をイメージしてしまったが。

突如現れて膨張し続ける〈涯て〉。

それを抑えるために老人は少年時代の特別な夏の日を回想する。

あの夏に出会った<ミウ>は何者なのか。

なぜミウとの思い出だけが鮮明なのか。

SFは「少年」や「時間」や「夏」と相性がいいですね。


『烏に単は似合わない』 阿部 智里

烏に単は似合わない (文春文庫)

烏に単は似合わない
著者:阿部 智里

解説:東 えりか

(文春文庫)

初版:2014年6月10日

(2012年6月に文藝春秋より刊行)

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一見さんで期待して読んだのは久しぶり。

どんな本でも読んでみたいと思わせる何かがあるから(あったから)購入しているんですが。

ただ、期待が大きいとハードルも高くなってしまう。

世継ぎのお妃選びの場に四家の姫君が集まるが、策謀渦巻く中事件も起きる・・・。

まとめ方によっては面白くなるかもと思ったが、結局は憑き物落としか。

「名探偵」役の若宮の傍若無人ぶりもあり得ないだろ。


『オルタード・カーボン』(上・下) リチャード・モーガン

オルタード・カーボン(上)

オルタード・カーボン(上)
著者:リチャード・モーガン

訳者:田口 俊樹

(アスペクト)

初版:2005年4月5日

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※リンク先は文庫本

オルタード・カーボン(下) オルタード・カーボン(下)
著者:リチャード・モーガン

訳者・後書:田口 俊樹

(アスペクト)

初版:2005年4月5日

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※リンク先は文庫本

2002年の作。

フィリップ・K・ディック賞に惹かれて購入。

ガジェットはSF、中身はハードボイルド。

27世紀、人類は銀河系に散らばり、人の意識はマイクロチップみたいなものに納まり、肉体を替えることもクローンをつくることもできる(お金があれば)。

彼方の星から地球の大富豪に仕事を依頼されてやってきたタケシ・コヴァッチだが・・・・。

ホテルのAIとか女刑事とかのやりとりが面白かった。

面白かったけど長いわなあ。

『ハスラー』 ウォルター・テヴィス

ハスラー (扶桑社ミステリー)

ハスラー
著者:ウォルター・テヴィス

訳者:真崎 義博

解説:関口 苑生

(扶桑社ミステリー)

初版:20072月28日

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1959年の作。

ストーリーは至ってシンプル。

ビリヤードでは誰にも負けないと天狗になっていた若者が初めての挫折と屈辱を味わうが、もっと酷い目に遭いながらも立ち直り敗れた相手に再挑戦する・・・。

メインは単純ながら物語は一種独特な雰囲気があって、読んでてめまいがしそうだった。

やくざな稼業から抜け出すこともできず、女に一時の休息を得ても本物の「愛」は得られないし得ようともしないんだね。

しかし、この頃は作者もアル中だったのかやたらと酒を飲むシーンが多いこと。



『駄作』 ジェシー・ケラーマン

駄作 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

駄作
著者:ジェシー・ケラーマン

訳者・後書:林 香織

(ハヤカワ・ミステリ文庫)

初版:2014年6月15日

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2012年の作。

読み終えると邦題がいかにもピッタリとは言え、訳者があとがきで書いているように『通俗小説』あるいは『通俗小説家』の方が良かったんじゃなかろうか。

日本で「通俗小説」というと少し意味が違ってくるが。

ブンガクの残滓をまとっている主人公は、流行作家となった友人を軽蔑しつつも嫉妬している。

その友人が亡くなったあと、仕事場に残されていた未完の原稿を無断で持ち出し、少し手直しして自分の名義で出版すると大ヒットとなり、一躍富も名声も手に入れる。

だが2作目は当然書けなくて呻吟していると・・・。

ここからガラッと雰囲気が変わるが、まあ作者が楽しめたかどうかは分からないが、読者が楽しめられればいいのかな。




『桜花忍法帖 バジリスク新章』(上・下) 山田 正紀

桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ)

桜花忍法帖 バジリスク新章 (上)
著者:山田 正紀

(講談社タイガ)

初版:2015年11月18日

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桜花忍法帖 バジリスク新章 (下) (講談社タイガ)

桜花忍法帖 バジリスク新章 (下)

著者:山田 正紀

(講談社タイガ)

初版:2015年12月16日

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『甲賀忍法帖』(山田風太郎)も『バジリスク』(せがわまさき)も未読だが、それらの後日譚と推測される。

そう言えば『伊賀の影丸』(横山光輝)でも伊賀忍者と甲賀忍者の団体戦があったな。

説明が多くなるのは致し方ないかと思うが、いつもより山田節が控えめな感じ。

人外の魔術すら駆使し、徳川忠長に謀反を迫る成尋らの真の狙いとはなにか。

甲賀五宝連も伊賀五花撰も赤子の手をひねるように滅ぼした成尋五人衆だが、甲賀八郎と伊賀響を頭とする「2軍」の面々に勝ち目はわずかでもあるのか・・・。

何となく、映像や漫画なら映える場面を文字で説明していて歯がゆい気分だったろうな、と作者に同情したくなった。

作者の脳内ビジュアルがストレートに読者に届けばなあ。


『独創短編シリーズ2 野﨑まど劇場(笑)』 野﨑 まど

独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑) (電撃文庫)

独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑)
著者・後書:野崎 まど

(アスキーメディアワークス・電撃文庫)

初版:2015年2月10日

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正月は気楽なものをと手に取ったが、前巻よりインパクト(馬鹿馬鹿しさ)が弱い。

特に「年下退魔師」は「え?そうやって終わるの?」と逆に驚いた。

そうは言っても作者は真面目な人だと勝手に思っているので、無意味にふざけているわけではなく、計算の上でやっているのかも。

あるいは読者の反応を見ているのか。

いくつかは苦し紛れに書いたという事もあり得そうですが。


【読書メーター】 2015年12月分

あけましておめでとうございます。

傑作でも難作でも珍作でも駄作でもいいのですが、退屈しない本を読んでいたいものです。

 

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5137ページ



ファントム・ケーブル (角川ホラー文庫) ファントム・ケーブル (角川ホラー文庫)感想
2年くらい前にツイッターでどなたかが褒めていたので速攻で入手したが、そのまま寝かせてしまった一冊。 ようやく手に取って何日か前に読み終えたけど、恐ろしいことに全然印象に残っていない。 ホラーだった気はするのだが。 寝かせている間に毒気が抜けてしまったか・・・。 331ページ
読了日:12月2日 著者:牧野修
シスターズ・ブラザーズ シスターズ・ブラザーズ感想
ノワール調のロード・ノベル的なウエスタン? ボスの命令で、ある山師を消すためにゴールドラッシュに沸くサンフランシスコへ向かうシスターズ兄弟。 だが、行く先々でトラブルに巻き込まれ・・・。 終盤の抒情的な雰囲気は嫌いではないが、ラストはいささかあっけない。 これは寓話だったのかもしれない。 356ページ
読了日:12月4日 著者:パトリック・デウィット
刑事マルティン・ベック  笑う警官 (角川文庫) 刑事マルティン・ベック 笑う警官 (角川文庫)感想
未見だけど、たしか『マシンガン・パニック』というタイトルで映画化もされたような。 雨のストックホルムで、やる気のない二人のパトロール警官が止まっているバスの中で大勢の乗客が銃で撃たれて死んでいるのを発見。 その中にはマルティン・ペック刑事の、非番だった部下もいた。 地道な捜査(そんなとこまで調べるのかという驚きも)にも関わらず犯人探しは難航するが・・・。 物語も主人公のマルティン・ペックも地味ですがなかなか読ませます。 さすが警察小説の金字塔と言われるだけのことはありますね。 397ページ
読了日:12月6日 著者:マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー
恋文の技術 (ポプラ文庫) 恋文の技術 (ポプラ文庫)感想
モリミは何冊か読んだけど、熱心な読者というわけでなく。 なにしろ登場人物名はすぐ忘れるので、これも以前読んだ京都を舞台にした小説とリンクしているのかしていないのか全然分からない。 どちらであっても読書には影響しないが。 最初はかったるくて本を置こうと思ったけど、我慢して読んでいると徐々に面白くなってきたようで。 343ページ
読了日:12月8日 著者:森見登美彦
レッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) レッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
たまにはこういう本もいいですねえ。 スタートレックは名前くらいしか知らないが、それでも楽しんで読めました。 特に前半の宇宙のシーンが面白い。 トレッキー(だったか?)なら大笑いか激怒するところでしょう。 なんだか安っぽいTVドラマみたいだなと思ってたら、そう来ましたか。 ただ、後半は前半ほどのカタルシスはなかったけど。 342ページ
読了日:12月10日 著者:ジョン・スコルジー
非情の裁き (扶桑社ミステリー) 非情の裁き (扶桑社ミステリー)感想
リイ・ブラケットはエドモンド・ハミルトンの妻だそうな。 1冊だけ『地球生まれの銀河人』というのを何故か所持しているが未読。 この本は古書店でたまたま見つけたが、著者というよりは訳者が浅倉久志ということで購入。 守るはずの女を守りきれなかった私立探偵。 彼は愛したかもしれない女のために、友人のために闇に赴く。 序盤は話が見えなかったが、中盤からの怒涛の展開には息を飲みます。 ラストは抒情もあり、なかなかの出来栄え。 しかし、この時代の私立探偵は心身ともにタフでないとやってられませんな。 399ページ
読了日:12月12日 著者:リイ・ブラケット
第三の警官 (白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚) 第三の警官 (白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚)感想
ごく単純な話かと思っていたらとんでもなかった。 本文だけでも十分に面白いし、少ない登場人物が皆一過言持ってて薀蓄を披露するようなホラを垂れ流すような気分で読み進めました。 さらに輪をかけて楽しいのは脚注のド・セルビィのこと。 しかしながら進むにつれて物語は不気味さも醸し出してラストへなだれ込み、一応腑に落ちます。 後ろの「出版社の覚え書」や「訳者あとがき」は先に読まない方がよろしいでしょう。 348ページ
読了日:12月14日 著者:フラン・オブライエン
悪党どもの荒野 (扶桑社ミステリー) 悪党どもの荒野 (扶桑社ミステリー)感想
三すくみではないが、3組の男女の追っかけ。 何かを目指しているかのようで、かつ大金の鍵を握ると思われているアリスン。 ベガスで仲間から金を奪ったが、それを使えるための鍵を握るアリスンを追いつつ、裏切った仲間から追われるボイド。 そして、彼らを追う暴虐なマデラインたち。 3組3様の性格付けで楽しませてくれるが、ちょっと長いなあ。 まあ、面白かったけど。 579ページ
読了日:12月17日 著者:ブライアン・ホッジ
キルリアン・ブルー (TO文庫) キルリアン・ブルー (TO文庫)感想
この方のお名前は「ありみ」さんですが、いつもパッと見て「ゾンビ」と読んでしまって申し訳ないです。 『18秒の遺言』という本でも似たような能力が書かれていたので、特にそれについては違和感はなかったが・・・。 「ぶたぶた」シリーズは知らないが、こちらは最初から最後までグダグダのままだった印象。 主人公も18歳という設定ながら中学生くらいにしか思えなかったし、なによりも犯人の「能力」や思考がイヤハヤ。 352ページ
読了日:12月19日 著者:矢崎存美
メタルギア ソリッド スネークイーター (角川文庫) メタルギア ソリッド スネークイーター (角川文庫)感想
以前読んだ伊藤計劃版の『ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』が面白かったような記憶があったし、著者が長谷敏司だからと購入した覚えが。 西側への亡命を望む科学者を奪還するためにガンシップから舞い降りた男。 だが、そこには想像だにしなかった人物が・・・。 ゲームのノベライズらしいが、息もつかせぬスピーディーな展開で、元を知らなくても充分に面白いと思う。 バイクの女が都合よく現れすぎのような気もしたが。 538ページ
読了日:12月22日 著者:長谷敏司
弟切草 (角川ホラー文庫) 弟切草 (角川ホラー文庫)感想
タイトルだけ見て購入した覚えがある。 1999年当時の人気ゲームを乱歩賞作家がオリジナル小説化らしいが、乱歩賞作家にしては文章が稚拙だな(失礼)。 申し訳ないが内容も期待外れで、途中でギブアップするところだった。 もっと上手に惨劇の幕開けとなる洋館に誘ってほしいね。 視覚に訴える場面が多いので、ゲームなら楽しめるだろうか。 340ページ
読了日:12月24日 著者:長坂秀佳
殺人ツアーにご招待 (扶桑社ミステリー) 殺人ツアーにご招待 (扶桑社ミステリー)感想
アメリカのミステリー専門書店が、イギリスの片田舎にある寂れたホテルと組んで始めたミステリーツアー。 ホテルの中すべてが舞台となる推理劇が始まるのだが、今回はホテルが雪の山荘と化し、実際に殺人も起きてしまう・・・。 少し前にミス・マープルもののTVドラマをBSで観たので、読んでいてイギリスの片田舎や寂れたホテルの雰囲気が浮かんできました。 登場人物が多すぎて整理しきれてない気もしましたが。 300ページ
読了日:12月26日 著者:マリアン・バブソン
SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
本当は円城塔の創作じゃないのかという疑いを拭いきれずに読み進めた。 タイムマシンのメンテナンスをしている主人公はかつて何かがあって引きこもり同然で仕事をしているが、父を探して外部に目をむけようかという、言うなれば家族小説で成長物語か。 円城塔の翻訳は雰囲気がぴったりな感じだが、創作として読むと「らしさ」が少々物足りない。 これからもユウの翻訳は円城塔が一手に引き受けるのだろうか。 やたらと円城塔を連呼してしまった。 320ページ
読了日:12月28日 著者:チャールズ・ユウ
道化師の蝶 (講談社文庫) 道化師の蝶 (講談社文庫)感想
円城塔が訳した『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(チャールズ・ユウ)の繋がりで読む。 第146回芥川賞受賞作。 円城塔の小説は「捕まえられたかな(分かった気がするな)」と思うと、スルスルと逃げてしまうのが快感になると病みつきになりますね。 慣れて来たのか今作は書き方を手加減(?)したのか、割と分かりやすい雰囲気はあったが相変わらずカオスでたまりません。 192ページ
読了日:12月30日 著者:円城塔

読書メーター

『道化師の蝶』 円城 塔

道化師の蝶 (講談社文庫)

道化師の蝶
著者:円城 塔

解説:鴻巣 友季子

(講談社文庫)

初版:2015年1月15日

(2012年1月に講談社より刊行)

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『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(チャールズ・ユウ)の繋がりで読む。

第146回芥川賞受賞作。

円城塔の小説は「捕まえられたかな(分かった気がするな)」と思うと、スルスルと逃げてしまうのが快感になると病みつきになりますね。

慣れて来たのか書き方を手加減したのか、割と分かりやすい雰囲気はあったがカオスです。