たまらなく孤独で、熱い街 -40ページ目

『忘却のレーテ』 法条 遥

忘却のレーテ (新潮文庫nex)

忘却のレーテ
著者:法条 遙

(新潮文庫NEX)

初版:2015年5月1日

(2014年7月に新潮社より刊行)

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法条遥の9冊目。

今のところは刊行されている本は全部読んでいるが、どこが気にいったんだろうね。

完全に閉鎖された施設で記憶を消去する「レーテ」という薬の臨床実験が行われる。

最初はかなり混乱したが、仕掛けに気付けば「なるほど」。

面白くなくはなかったが、底意地悪く博士も絶望の底へ叩き込んでくれないと、この作者らしくないなあ。


『消えない夏に僕らはいる』 水生 大海

消えない夏に僕らはいる (新潮文庫nex)

消えない夏に僕らはいる
著者・後書:水生 大海

(新潮文庫NEX)

初版:2014年10月1日

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この作者は初読みでタイトル買いした1冊。

小学5年の時の「事件」で心や体に傷を負った4人組プラス1人が、同じ高校に入ってしまう。

それぞれの思いを抱いて高校生活が始まるが・・・。

これはイヤでも過去の傷と向き合わざるを得ないからこその再生の物語だろうか。

ミステリ要素もあって、まあまあ読ませます(上から目線)。


『ダスト』(上・下) ヒュー・ハウイー

ダスト (上) (角川文庫)

ダスト (上)
著者:ヒュー・ハウイー

訳者:雨海 弘美

(角川文庫)

初版:2015年8月25日

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ダスト  (下) (角川文庫) ダスト (下)
著者・後書:ヒュー・ハウイー

訳者:雨海 弘美

解説:池澤 春菜

(角川文庫)

初版:2015年8月25日

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2013年の作。

『シフト』を読んでから半年経ってしまった。

毒薬を撒いたかと思ってたら、「悪い」ナノマシンだったんだね。

世界はどうなっているのだろう。

ナノマシンによって滅んでいるのか、何事もなく続いているのか。

今回はサイロ18のジュリエットとサイロ1のドナルドが主人公格。

ラストは一条の光が差したような光景でこの先に希望が持てます。

しかし、世界は本当にナノマシンによって滅び、200年経過して浄化されたのだろうか。

『ヴァルカンの鉄槌』 フィリップ・K・ディック

ヴァルカンの鉄鎚 (創元SF文庫)

ヴァルカンの鉄鎚
著者:フィリップ・K・ディック

訳者:佐藤 龍雄

解説:牧 眞司

(創元SF文庫)

初版:2015年5月29日

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1960年の作。

とうとうディックの長編SFもこれで全てが翻訳されました。

最近では創元のディックSFをほぼ一手に訳されていた佐藤龍雄さん、ありがとうございました。

50年近く前の作品の初訳ということで、出来栄えはほとんど期待しなかったが結構面白い。

コンピュータやその取り巻きの官僚が支配するデストピアなんだが、それに反旗を翻すのが意外なメンバー。

やっつけ仕事だったかもしれないが、ひねりもあるし致命的な破たんもなく、コクはないけど最後まで書ききった印象。


『屍人の時代』 山田 正紀

屍人の時代 (ハルキ文庫 や 2-29)

屍人の時代
著者:山田 正紀

(ハルキ文庫)

初版:2016年9月18日

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「神獣の時代」

「零戦の時代」

「啄木の時代」

「少年の時代」

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2編目からは書下ろしとあるが、もしかして発表する当てもないまま書き溜めていたとか?

呪師霊太郎には思い入れはないが(それを言えば、誰のどんな探偵にも思い入れはないが)、それぞれの作品の時代にタイムスリップしたみたいな妖しげで幻想的な雰囲気。

きっと〆切という「くびき」から解き放たれた作者が思う存分想像の限りを尽くしたのだろう。

久しぶりに読み終えるのが惜しい作品だった。

少々の疑問には目をつぶってマサキ節に酔いしれようじゃないか。

続けて『カムパネルラ』を読むつもりだったが、惜しいのでもう少し先に。

ちなみに「このミス」では唯一日下三蔵さんが6位に挙げたのみ(『カムパネルラ』はゼロ)。


『銀河鉄道の夜』 宮沢 賢治

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

新編 銀河鉄道の夜
著者:宮沢 賢治

編者・注解・後書:天沢 退二郎

解説:斎藤 文一

(新潮文庫)

初版:1989年6月15日

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「双子の星」

「よだかの星」

「カイロ団長」

「黄いろのトマト」

「ひのきとひなげし」

「シグナルとシグナレス」

「マリヴロンと少女」

「オツベルと象」

「猫の事務所」

「北守将軍と三人兄弟の医者」

「銀河鉄道の夜」

「セロ弾きのゴーシュ」

「饑餓陣営」

「ビジテリアン大祭」

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宮沢賢治で有名な作品というと「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」「注文の多い料理店」の辺りだろうか。

宮沢賢治を読むには彼の人となりを知るべきとか、その時代や環境を知るべきとかいう雰囲気があってなかなか読むことができない。

今回は山田正紀の『屍人の時代』『カムパネルラ』を読むために、上のことを一切無視してチャレンジ。

だから「読み」が浅いし薄いのだけど、なんて言うかかなり苦心して読んだ。

表題作は久しぶりに読んだけど、素敵な作品ですね。



【読書メーター】 2016年12月分

2016年は個人的には平穏な一年でしたが、なんと言ってもカープの優勝に尽きますね。

今年も良い本がたくさん読めますように。

皆さまも良い一年を。

 

2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5,296ページ



聖なる侵入〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) 聖なる侵入〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)感想
『ヴァリス』を読んだのは1年前なのですっかり内容を忘れてしまったが、こちらの方が読みやすかった気がする。神と悪魔の代理戦争でも起きるのかと思ったら、案外あっさり終わってしまった印象。結局、世界は救われないがハーブ・アッシャーは救われたのか?訳者あとがきが面白かったと日記には書いておこう。428ページ
読了日:12月2日 著者:フィリップ・K・ディック
SFのSは、ステキのS SFのSは、ステキのS感想
SFマガジンに掲載されただけあって、SF(やSF以外)がてんこ盛り。読んでて誰かを思い出すなと思ったら、新井素子さんと少々被りますね。しかしSFにドップリだけでなく、その興味や行動はSFにとどまらず驚いた。私ももっとSFを読まなくちゃね。143ページ
読了日:12月3日 著者:池澤春菜
クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫) クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫)感想
10年くらいまえに4編所収のソノラマ文庫版で「吹原和彦の軌跡」を読んだときはブッ飛びましたね。 なんという無償の愛。 人は愛する人を助けるためにここまで自分を犠牲にできるのかと泣けたものです。 おかげで他の3編が霞んでしまいましたが。 ところが今回再読すると、悪くはないのだけど何だか魔法が解けてしまったみたいな・・・。 それでも他の6編よりは断然いいんだけどね。 653ページ
読了日:12月5日 著者:梶尾真治
殺意の構図 探偵の依頼人 殺意の構図 探偵の依頼人感想
どうみても犯人と思われた容疑者の冤罪が晴れた時はこれからどうなるのかと思ったが、作者は第二第三の矢を用意していて、後半の展開もやや「くどさ」を感じるがなかなか。 この文体に慣れれば他の作品にも期待がもてそう。 301ページ
読了日:12月7日 著者:深木章子
チャーリー・モルデカイ (4) 髭殺人事件 (角川文庫) チャーリー・モルデカイ (4) 髭殺人事件 (角川文庫)感想
ようやく最終巻にこぎつけました。 カレッジの女性研究員の不審死事件はちゃんとミステリになってますね。 しかし、シリーズを通して面白いのか面白くないのか分からずじまい。 英国ミステリやモンティ・パイソンが好きな人にはたまらないだろうな。 じっくりと読み返せば色々な発見もありそうだが・・・。 290ページ
読了日:12月9日 著者:キリル・ボンフィリオリ
青の数学 (新潮文庫nex) 青の数学 (新潮文庫nex)感想
知らない作家の本をタイトル買いすることもあるが、これもそんな一冊だが意外に当たりだった(外れを期待している訳ではないが)。 ただしイメージしにくい部分は将棋に置き換えて読んでました。 数学とは何かを自問しつつも目の前の問題を解き続ける主人公の栢山。 そんな彼の前に現れるライバルたちもまた同じような疑問を抱えているのだろうし、階段を上がるたびに見える景色も違ってくるのだろう。 果たしてゴールがあるのかすら分からない数学の世界だが、挫けずに進んで欲しいと思う。 319ページ
読了日:12月11日 著者:王城夕紀
安楽探偵 (光文社文庫) 安楽探偵 (光文社文庫)感想
いわゆる安楽椅子探偵ものなんだろうけど、探偵と言うよりもアドバイザーのような雰囲気であった。 小ネタを独特の論理でまぶして読者を混乱させるいつもの小林節は健在なり。 どの作品とは言わないが安楽椅子探偵ものには納得できない部分が付きまとっていたものだが、もしかして作者もそうだったのかな。 これは作者の安楽椅子探偵ものに対するアンチテーゼか、あるいは単にアイデアのひとつか。 298ページ
読了日:12月13日 著者:小林泰三
粘膜戦士 (角川ホラー文庫) 粘膜戦士 (角川ホラー文庫)感想
どうしても読みたい訳じゃないけど、つい手が出てしまう粘膜シリーズ第4弾は短編集。 されど侮ってはいけませんね、短編ならではの濃さで読者の心胆を寒からしめること必至です。 長編からスピンオフしたような物語や登場人物もでてくるし懐かしさもあります。 たしかに帯で森見登美彦も書いているように「推薦したい。でも推薦したくない」ですな。 五つの短編を堪能したあとは村上貴史の解説も必見。 298ページ
読了日:12月15日 著者:飴村行
トリックスターズD (メディアワークス文庫) トリックスターズD (メディアワークス文庫)感想
シリーズ第三弾。 益々パワーアップというか、作者が慣れてきたというか。 学園祭のさなか、ある棟が暗闇に閉ざされ脱出もかなわない。 そんな中で次々と消えていく仲間たち。 1・2作目が伏線となっているクライマックスがいいですねえ、すっかり面食らいましたわい。 ところで「未了」とあるが、まだ学園祭は続くのか? 337ページ
読了日:12月17日 著者:久住四季
バーニーよ銃をとれ (角川文庫) バーニーよ銃をとれ (角川文庫)感想
良き家庭人であるバーニーだが、家計が徐々に苦しくなり、隣人ら3人で自由に使える金を工面するためにスイスの銀行にちょっかいをだし、まんまと大金をせしめる。 だが、もう少しだけというスケベ心を起こしたばかりに藪蛇どころか大虎がでてきてしまった。 報復されたら生き残る可能性はない。 バーニーたちは退役した鬼軍曹を雇い、殺し屋どもを迎え撃つ準備を始めるが・・・。 弱者が強者とどう戦うかという部分は非常に面白いのだが、そもそもバーニーたちは金を盗んだ加害者なのでカタルシスは今一つだったな。 314ページ
読了日:12月19日 著者:トニー・ケンリック
将棋ボーイズ (幻冬舎文庫) 将棋ボーイズ (幻冬舎文庫)感想
発売直後に目に留まったまま、なんとなく一度は購入をパスしたが、いざ読んでみると意外と(失礼)面白かった。 高校将棋部の3年は長いようで短いんだろうな。 それでも初心者から3年で三段になった歩はすごい。 大会も個人戦なら自己責任で済むけれど(負ければ悔しいが)、団体戦は過酷だよね。 その辺りの各人の思いというか向き合い方がなかなか。 さて、大学へ進んだ倉持君はどうしてるかな。 アマ名人を目指しているのか(すでになってたりして)、もしかして将棋をやめているとか。 348ページ
読了日:12月21日 著者:小山田桐子
美森まんじゃしろのサオリさん 美森まんじゃしろのサオリさん感想
『天冥の標』の9巻目に行く前にこちらを読む。 田舎は田舎でも近未来の田舎での話。 なんでも屋の岩室猛志と女子大生の貫行詐織が竿竹室士というユニットを組んで事件の解決に当たる。 サオリのサは詐欺の詐、とくれば何かが隠されているだろうことは想像がつくが、理想的すぎる田舎にやや面食らう。 全体にかなり緩いお話でしたが、「ほっ」とする部分も多くて楽しめました。 まあ、この程度の嘘つき女性に目くじらをたてることもありますまい。 237ページ
読了日:12月23日 著者:小川一水
特別料理 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 特別料理 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
異色作家短篇集として刊行されてたものの文庫化。 ミステリというよりは、いわゆる「奇妙な味」。 予想の範囲内のものもあったが、どれも甲乙つけがたい。 しいて挙げれば「特別料理」「クリスマス・イヴの凶事」「決断の時」がいいし、決断を迫られる「アブルビー氏の乱れなき世界」や「君にそっくり」もいいし、とんでもないことをやっちまった感の「壁をへだてた目撃者」や「専用列車」もいい。 「お先棒かつぎ」「好敵手」「パーティーの夜」も独特の味わいがある。 これじゃ全部か。 391ページ
読了日:12月25日 著者:スタンリイ・エリン
テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫) テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)感想
被害者の足跡と発見者が往復した足跡しかない、雨上りのテニスコート。 カーはこういう開かれた密室が得意というか好みだったのかな。 フェル博士の眼には常人には見えない何が見えているのだろう。 怪奇趣味は今回はないし、トリックは今ひとつだし、第2の殺人は余計だが、それでも面白く読めました。 343ページ
読了日:12月27日 著者:ジョン・ディクスン・カー
記憶屋 (角川ホラー文庫) 記憶屋 (角川ホラー文庫)感想
最初に出てきた病的なまでに夜道恐怖症の女性ならばその根源となった記憶を消してもいいのではないかと思わないでもない。 都市伝説だったはずの、記憶を消すことができる記憶屋は実在するのか。 記憶屋を探そうとする遼一だったが・・・。 ラストはなるほどと思いましたが、あと2作はどう続くのだろう。 302ページ
読了日:12月29日 著者:織守きょうや
世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
北米は小惑星衝突の反対側だからすぐに終わりとはならないと思うが、「ゼロ日」から先はさらに厳しいものになるだろうな。 終わりを待つには住みやすそうな所も離れてひたすら妹のニコを探すパレス。 相変わらず捜査には妥協がない。 ニコは見つかるだろうか、二人は和解できるだろうかと思いつつ・・・。 ラストは実に静謐で諦念的だが、かすかにでも希望が残されていて欲しい。 それにしてもパレスは不死身だな。 294ページ
読了日:12月31日 著者:ベン・H・ウィンタース

読書メーター

『世界の終わりの七日間』 ベン・H・ウィンタース

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

世界の終わりの七日間
著者:ベン・H・ウィンタース

訳者:上野 元美

解説:霜月 蒼

(ハヤカワ・ポケットミステリ)

初版:2015年12月15日

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2014年の作。

北米は小惑星衝突の反対側だからすぐに終わりとはならないと思うが、「ゼロ日」から先はさらに厳しいものになるだろうな。

終わりを待つには住みやすそうな所も離れてひたすら妹のニコを探すパレス。

相変わらず捜査には妥協がない。

ニコは見つかるだろうか、二人は和解できるのかと思いつつ・・・。

ラストは実に静謐で諦念的だが、かすかにでも希望が残されていて欲しい。

『記憶屋』 織守 きょうや

記憶屋 (角川ホラー文庫)

記憶屋
著者:織守 きょうや

(角川ホラー文庫)

初版:2015年10月25日

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最初に出てきた病的なまでの夜道恐怖症の女性ならばその根源となった記憶を消してもいいのではないかと思わないでもない。

都市伝説だったはずの、記憶を消すことができる記憶屋は実在するのか。

記憶屋を探そうとする遼一だったが・・・。

ラストはなるほどと思いましたが、あと2作はどう続くのだろう。


『テニスコートの殺人』 ジョン・ディクスン・カー

テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)

テニスコートの殺人【新訳版】
著者:ジョン・ディクスン・カー

訳者:三角 和代

解説:大矢 博子

(創元推理文庫)

初版:2014年7月25日

(1982年4月に『テニスコートの謎』にて創元推理文庫より刊行)

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1939年の作。

被害者の足跡と発見者が往復した足跡しかない、雨上りのテニスコート。

カーはこういう開かれた密室が得意というか好みだったのかな。

フェル博士の眼には常人には見えない何が見えているのだろう。

怪奇趣味は今回はないし、トリックは今ひとつだし、第2の殺人は余計だが、それでも面白く読めました。