たまらなく孤独で、熱い街 -330ページ目

『蜂の巣にキス』 ジョナサン・キャロル

蜂の巣にキス 蜂の巣にキス
ジョナサン・キャロル
訳:浅羽 莢子
(創元推理文庫)
初版:2006年4月28日
 
 
 
 
豊崎由美さんの解説を読むと、ジョナサン・キャロルは「驚き」「恐怖」「笑い」のすべてが入っているダーク・ファンタジーを書くらしい。
しかし、「好き中の好き」といいながら、好きな作家ベスト20に入るってどういうことなの?
そんなに好きなら、せめてベスト5くらいに入ると思うのだが。
そんなキャロルだが、今作はかなり今までのとは作風が違うようだ。
 
流行作家のサム・ベイヤーは、スランプに悩みふと15歳まで過ごした生まれ故郷に立ち寄ることにした。
思い出の地。
サムは15歳の初夏、少女の水死体を発見した。
それは奔放な少女、ポーリン・オストローヴァ。
サムは彼女の事件について書こうとする。
悪ガキで、今は警察署長のフラニー・マケイブ。
ポーリン殺害の容疑で逮捕起訴され、獄中で自殺したエドワード・デュラント2世の父、1世。
フラニーが犯人とにらむマフィアのボス、ゴードン・カドモスの息子、ディビッド。
離婚したので滅多に会えないが、目の中に入れても痛くない、娘のキャサリン。
サムの愛読者、ヴェロニカ・レイク。
 
サムが真相を探るに、協力してくれるさまざまな人たち。
サムを見張っているかのような、謎の人物。
ディビッドが殺され、そのビデオがサムの下に届く。
だけど読んでいるうちに、正直どうでもよくなりましたね。
誰がポーリンを殺した真犯人だろうが。
恋人となったヴェロニカが、いかにサムにとって意外な過去を持つ人物だろうが。
 
読み方が悪いのだろうか?
もっと行間を読み取らないと、作者が書こうとした事は読み取れないのか?
ラストも、驚いたのはエドワード・デュラント1世だけですね。
うーむ。
よく惹句で「驚愕の結末!」とか書いてある本格ミステリも多いですが、途中でワクワクドキドキさせてくれないと、ラストがいかにサプライズやアンビリバボーであっても「ふーん」か「それがどうした」で終わってしまいますね。
あ、この小説は違いますよ。
そもそもサプライズがありませんし。

『椿山課長の七日間』 浅田次郎

椿山課長の七日間 浅田 次郎
椿山課長の七日間
(朝日文庫)
初版:2005年9月30日
 
 
 
 
浅田次郎は読んだことがありませんでしたが、さすがプロの職人という感じのうまさですね。
サプライズはありませんが、破綻なく過不足なく書かれています。
 
サラリーマンの椿山課長は接待の席で倒れて死んでしまいます。
行った先が、冥土と呼ばれる中陰の世界。
ここで天国行きか地獄行きか選別されるのですね。
でも最近は、講習を受ければ殺人を犯した者でも天国へ行けるようです。
椿山氏は仕事や家族や家のローンが心配で、成仏できない。
こういう人は7日間だけ全く別の人間となって俗界へ戻ることができます。
ただし「制限時間の厳守」「復讐の禁止」「正体の秘匿」を破ると、地獄へ落とされます。
 
椿山氏は他の2名とともに戻ります。
ここから、笑いあり涙ありで、上手に話しが進んで行きます。
さて、椿山氏と他の2名はどうなるのでしょうか?
家族の絆、生んだ親、育てた親、恋人、舎弟・・・・・・。
人生は有限です。
だからこそ、悔いのない人生を送りたいのは誰しも同じですが、得てしてままならないものですね。

【第64期名人戦・第3局】 谷川九段が1勝

<棋譜再現>

 

森内名人連勝のあとの第3局は相矢倉のガップリから先手の谷川九段が押し切り、1勝2敗としました。

短期決戦とはいえ、星が片寄るのは面白くありませんからね。

名人戦の移管問題で揺れているところですが、両者には「どうだ!これが名人戦の将棋だ!」「これぞ将棋の醍醐味だ!」というのを見せてもらいたいですね。

今オフは黒田争奪戦?

「デイリースポーツ」

 

やれやれ、シーズンも始まったばかりだというのに、憂鬱ですな。

広島は阪神の戦力供給チームじゃないっつーの。

岡田監督が2軍監督時代に育てた、いい選手が大勢いるでしょうに。

若手が腐っちゃいますよ!



『ひかりの空』 将棋漫画を考える(^^

ひかりの空 (9) かざま 鋭二
ひかりの空 (9)
(小学館・ヤングサンデーコミックス)
初版:2003年7月5日
 
 
 
 
妻が連休中にブックオフで叩き売りをしていたと言って買ってきた。
バナナじゃないんだから・・・。
 
アマで全英オープンを制した、天才。
しかし、恋人を交通事故で亡くし、自分も網膜剥離で失明の危機。
ゴルフからはすっかり足を洗ったはずだが、中学生の少女と知り合い、彼女がすごいゴルフの潜在能力があることを見抜き、彼女を通じて果たせなかった夢をもういちど追おうとする。
内容は見事なまでに予想通りの展開が続き、目新しさやサプライズはありませんな。
 
ただ、これを読みながら将棋マンガに置き換えたらどうだろう?と考えてみました。
主人公の女の子はNHKの朝ドラみたいな子。
つまり、一本芯は通っているが、明るくて、おっちょこちょいで、素直で、涙もろくてetc・・・・。
いつも男の子を泣かしてばかりいるので、見るに見かねた祖父が将棋を覚えれば少しは落ち着くだろうと、ルール等を教えるが、全然覚える気はないみたい。
ある日、祖父が将棋道場へ行こうとするが、いつも付き添う祖母や母がいないため、仕方なく女の子が付き添うハメに。
祖父は常連と将棋をはじめるが、女の子は隣で将棋崩しをしたりして遊んでいる。
祖父の将棋はボロボロで、どうみても勝ち目はないようだが、相手が指したのをチラッとみた女の子は「おじいちゃん、勝ちだね」と言う。
祖父も相手も回りで見ていた人も「なにを馬鹿なことを」と言うが、女の子は駒の動きを祖父に確認した後、「銀を打って、こうで、こうで、こう・・・・・」と相手の王を詰ませてしまう。
絶句する祖父たち。
それを離れたところから見ていた男がいた。
彼は10代でプロとなり、各棋戦で活躍していた将来有望な若手だったが、ただ一度止むに止まれず「真剣」を指し、それが大問題となり除名処分となり、今では道場を渡り歩いて「真剣」で食べているのであった。
男は女の子に詰将棋をいくつか並べて解かせてみるが、女の子はいとも容易く解いてしまう。
男は女の子が将棋の計り知れない才能があるのを見抜き、この女の子に自分が果たせなかった夢を託そうとするが・・・・・・。
盛り上がりそうな、盛り下がりそうな(笑)。

【長野県出身の棋士は?】

テツ母さんの「長野県将棋情報サイト」 のおかげで、いままで全然皆無だった長野県のアマ棋界情報が目に入るようになりました。

感謝です。

私はそちらとは交流がないので、必然的にブログにも書き込みはありませんでしたが、今後は何かありましたら書きたいと思います。

で、思いついたのが、長野県出身の棋士は誰かな?と。

「将棋順位戦データベース」 を参考にさせていただきました。

長野県出身じゃなくても、長野県にゆかりがあったり、アマと交流がある棋士はたくさんいらっしゃるでしょうが、あくまでも長野県出身ということで。

 

田丸昇八段、元A級ですが現在はC級1組。

木下浩一六段、C級2組。まだ38歳ですからもっと上を目指して欲しいですね。

 

2名ですか。意外と少ない。

奨励会に目を移すと、

 

田中悠一三段、21歳。前期の三段リーグは12勝6敗の好成績で、期待が持てますね。

 

1名だけですか。

もっと大勢いるかと思ったのですがね。

 

で、近代将棋で研修会の名簿まで見たのですが、意外なことに気がつきました。

 

私と同じ苗字の方がいない!

まあ平凡で100人が100人間違えずに読める苗字なんですがねえ・・・・。

 

以上報告終り(笑)。


『頭蓋骨の中の楽園』 浦賀和宏

頭蓋骨の中の楽園 浦賀 和宏
頭蓋骨の中の楽園
(講談社ノベルス)
初版:1999年4月5日
 
 
 
 
タイムマシンの発明。
地球の歴史そのものを超スーパーコンピュータ上で復元。
あなたは、どちらがあり得ると、あり得そうだと思うだろうか。
または、どちらに拒否反応を示すだろうか。
 
安藤直樹シリーズの3作目。
作者はこのシリーズを通して、希有壮大な物語(サーガ)を築きあげようとしているのか?
 
今回は首なし死体がいくつも登場。
本格ミステリ?
何故安藤直樹は笑わなくなったのか。
この作品を単独で読んでも、首なし死体の謎そのものは解決するでしょうが(しないかな?)、前2作からさらに広がった世界、謎の解明(?)、新たな謎、等々の目くるめく世界観にはたぶんついていけないでしょう。
一体、どこまで大風呂敷を広げてくれるのやら。
ならば、1作目から読むのが正しい読み方ですね(笑)。

【佐藤棋聖へ、鈴木八段が挑戦へ名乗り】

「産経将棋WEB」

 

佐藤棋聖への挑戦者を決める、第77期棋聖戦本戦決勝は、羽生三冠対鈴木八段で行われ、158手の熱戦を制した鈴木八段が挑戦権を獲得しました。

朝日オープンに続いて振り飛車のスペシャリストがタイトル戦に登場です。

鈴木八段は順位戦は残念ながらB級1組に陥落しましたが、竜王戦2組では本戦出場及び1組昇格を決めております。

棋聖戦4連覇で「永世棋聖」まであと1期とした佐藤棋聖とのタイトル戦は6月中旬から行なわれる予定です。

 

もちろん、私は佐藤棋聖を全面的に応援します♪


『脳髄工場』 小林泰三

脳髄工場 小林 泰三
脳髄工場
(角川ホラー文庫)
初版:2006年3月10日
 
 
 
 
「脳髄工場」
「友達」
「停留所まで」
「同窓会」
「影の国」
「声」
「C市」
「アルデバランから来た男」
「綺麗な子」
「写真」
「タルトはいかが?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
あの傑作『海を見る人』を書いた小林泰三のホラー短編集。
ホラーの定義がよくわかりませんが、「少し恐そうな話し」もホラーになるのかな?
小林泰三はそれプラスSFとセンチメンタルさ。
読む人によってはお笑いも。
 
短編集の中では、書き下ろしの表題作がやはり秀逸でしょうか。
最初は犯罪者の脳内矯正のために作られた「人工脳髄」。
それにより、感情や心理をコントロールでき、キレたり暴力をふるったりがなくなり、社会的な信用が高くなった。
それが認められ、犯罪者予備軍やおたくまでも範囲がひろがり、ついには希望した人には全員が「人工脳髄」を装着できるようになった。
なにしろ「人工脳髄」を装着していれば絶対安心な人となるので、いまではほとんどの人が進んで装着している。
 
感情をコントロールされている者に本当の「自由意志」は存在するのか?
という重いテーマものしかかります。
 
しかも、その「人工脳髄」が、「おいおいそんな装着の仕方で大丈夫なん?」というほどのシロモノで絶句しちゃいますね。
当然、未来社会なんだろうけど、全然未来とは思えない世界。
レトロさが感じられる社会だからして、「人口脳髄」もICチップなどといったものではないんですねえ。
手術は床屋へ行き、頭を丸められ、頭皮に直接印を付け、そこめがけて「人工脳髄」の切っ先を麻酔なしで突き刺す!!
で、装着後なにか調整をし「今日は風呂に入らないこと」と言われて帰されます。
いや~、恐ろしいやら、おかしいやら。
この装着シーンは絶品ですね。
 
主人公の少年はずっと装着せずに来たのですが、ある事をきっかけに装着することにしました。
が、頭の形が規格外(!)のため、直接工場に行って装着することに・・・・・・。
そこから、話しは思わぬ方向へ行きます。
ラストは少し物足りないかな。
 
そういえば、以前筒井康隆の『佇む人』をある評論家が「センチメンタリズムに陥っている」(だったかな?)と否定的に評したのを、筒井康隆は「主人公はこの状況を楽しんでいるのだ」と切り捨てましたが、「人工脳髄」の少年もそうなのだろうか(特に工場へ行ったあと)。
そうなると、また印象が変ってきますが。
 
他の作品も、いけてますね。
読んで絶対損はありません。

『ゲッベルスの贈り物』 藤岡真

ゲッベルスの贈り物 藤岡 真
ゲッベルスの贈り物
(創元推理文庫)
初版:2001年8月31日)
 
 
 
 
自殺に見せかけて人気俳優などを殺す「わたし」。
一方、広告代理店のプロデューサーの「おれ」(藤岡真)は、「ドミノ」を探すよう社長に依頼される。
「ドミノ」は、半年前にデビューした謎の少女シンガーだが、TV局に送られてくるビデオテープのみの出演で、素顔や私生活は誰も知らない。
そんな「ドミノ」の謎めいたイメージが受けて人気は急上昇
藤岡が「ドミノ」を探すよう頼まれたのも、ドミノをCMに出演させたいという得意先からの要望から。
藤岡はつてを頼りに探し始めるのですが・・・・・・。
その頃日本全国で自殺者の数が急増。
一体なにが起こっているのか?
藤岡が「ドミノ」の核心にせまるにつれて・・・・・。
 
タイトルが目を惹いて読んでみましたが、いいテンポで読めます。
話しの展開はあれよあれよと進みすぎるほどです。
作者は面白いミステリを読みたいのが高じて、いっそ自分で書いてしまえと書いたそうですが、なるほど色々とてんこ盛りですね。
「意外な結末に総毛立ち」「思わず長い溜め息を漏らす」(作者がいうところの面白いミステリの定義?)ほどではありませんが、長編第一作とは思えない出来でなかのものです。
1993年に書かれた作品ということで、携帯電話やポケベルの扱いなどで鮮度はいささか落ちてますが、今でも十分通用する作品だと思います。
表紙は今の版(私が購入した本)と変っているんですね。