私はドラゴンボールを見て育った世代であり、定期的にドラゴンボールの熱が高まることがあります。最近はドラゴンボールについての様々な考察を見ることが趣味となっています。
ドラゴンボールについての私の考察を書きたいと思います。
今回は、映画でレッドリボン軍の話をやるということで、人造人間編の過去改変によって発生したパラレルワールドについて考えていきます。
ドラゴンボールの作中に登場した世界は、トランクスとセルによって過去改変が行われた世界であり、正史ではありません。
0.共通世界
エイジ762年12月 ナメック星消滅
エイジ763年5月 クリリン、ヤムチャ復活
エイジ763年9月 餃子、天津飯復活
エイジ763年某月某日 孫悟空ヤードラット星に到着
タイムマシンによってこれ以上過去に遡った人がいないため、ここまでは共通ルートです。
この後、作中に登場した世界ではタイムマシンでセルが到着し、卵のまま成長を待ちます。その後、トランクスがメカフリーザとコルド大王を倒して悟空に心臓病の薬を渡して人造人間の登場を予告、3年後に人造人間19号、20号が破壊され、成長したセルが現れて17号、18号を吸収し、セルゲームが開催。悟飯がセルを倒して地球が平和になります。
では、作中で明かされなかった世界についてどうであるか考えていきます。
1.第一世界 ‐過去改変がない世界‐
まず最初に、過去改変がなかった世界について考えていきます。
過去改変による影響が全くなく、この世界が正史であるため、第一世界と名称します。
エイジ764年 悟空がメカフリーザとコルド大王を倒す。直後に心臓病で死亡。
エイジ767年 人造人間17号と18号が出現し、Z戦士はほぼ全滅する。(19号、20号が現れたかどうかは不明)
エイジ784年 トランクスがタイムマシンでエイジ764年に行き、人造人間の情報伝達と心臓病の薬を伝える。
エイジ785年 トランクスがタイムマシンでエイジ767年に行き、人造人間戦に加勢する。
エイジ785年 過去で緊急停止コントローラーを入手したトランクスが17号、18号を破壊。地球が平和になる。
エイジ788年 トランクスがセルに殺され、セルがタイムマシンでエイジ763年に行く。
トランクスとセルの力関係を考えると、
完全体セル>>>精神と時の部屋で修業したトランクス>>>第一形態セル>>>初期トランクス
となります。トランクスが過去で精神と時の部屋で修業していれば第一形態セルに殺されるわけがないので、この世界のトランクスは過去には行ったものの、精神と時の部屋で修業していないということになります。では、精神と時の部屋で修業していないトランクスがどうやって17号と18号を倒すのか。その答えは、作中にも登場し、クリリンが破壊してしまった緊急停止コントローラーです。コントローラーで人造人間の動きを止めて破壊したと考えられます。
次は、正史トランクスが行ったこの世界について考えていきます。
2.第二世界 ‐トランクスはいるがセルはいない世界‐
エイジ764年 未来(第一世界)から来たトランクスがメカフリーザとコルド大王を倒し、人造人間の出現と心臓病の薬を伝える。
エイジ767年 人造人間17号と18号が出現する。(19号、20号が現れたかどうかは不明)
エイジ767年 何らかの方法で人造人間を破壊、もしくは和解し、平和になったことでトランクスが未来に帰る。
作中で全く明かされなかったものの、存在していることが想定できる世界となります。
この世界ですが、767年に人造人間が出現するところまでは作中の世界と同じです。しかし、その後、トランクスが精神と時の部屋で修業することなく未来に帰る世界となります。確定しているのはそれだけですので、他の状況はどうであっても問題ありません。
作中の世界と同様の流れを汲むのであれば、19号と戦闘中に悟空が心臓病を発症し、療養。ベジータが19号を倒し、追い込まれた20号(ゲロ)が研究所に戻って17号と18号を起動するも、17号に殺されます。ベジータが18号に敗れ、Z戦士と人造人間は休戦状態となります。
作中の世界ではその後セルが出現しますが、この世界での敵は人造人間だけです。ベジータやピッコロは実力で人造人間の破壊を目指そうとするでしょうが、トランクスやクリリンは違います。
特にクリリンはナメック星での判断能力から明らかなように、力では勝てないことを自覚しており、自分にできる別の道を模索しそうです。その結果、ゲロの研究所を再度訪れて、地下室を発見し、人造人間の設計図を入手。設計図をブルマに渡して緊急停止コントローラーを作成。こうして入手した緊急停止コントローラーを手にトランクスが未来(第一世界)に帰るわけです。おそらく、こういった流れになるのではないでしょうか。
と言っても、トランクスの性格上、この世界における人造人間問題を最後まで見届けてからの帰還になりそうです。
この時代における人造人間については ①回復した悟空らが倒す、②緊急停止コントローラーを使って倒す、③和解する のいずれかで対応できます。トランクスが来た未来のように弱くて残虐な人造人間であれば悟空が復活すれば倒せない相手ではありません。悟空1人で17号と18号を同時に相手にすると負けてしまうでしょうが、ベジータやピッコロなどと協力すれば勝てる相手です。
また、作中の世界のような強くて穏やかな人造人間であれば、和解する可能性もあります。強くて狂暴という可能性については、作中にそのような人造人間が出ていないので、存在しないものと考えます。おそらく、ゲロが17号と18号を設計する際に、弱くて残虐か、強くて穏やかか、どちらかにしか設計できないものと考えられます。
3.第三世界 ‐トランクスもセルもいる世界‐
これは作中に登場した世界です。詳しくは原作を読んでください。
第二世界との違いは、セルがいることです。セルが出現したことにより精神と時の部屋でトランクスがパワーアップし、17号や18号、第一形態のセルよりも強くなりました。こうなったことで未来に帰ったトランクスは正史である第一世界ではなく、新たな第四世界へと戻ることになります。この世界にいるトランクスは、セルがタイムスリップしたことで新たに生まれた第四世界から来たトランクスで、セルは第一世界から来ています。
4.第四世界 -精神と時の部屋で修業したトランクスが戻った世界-
未来に帰ったトランクスが人造人間とセルを破壊する世界です。原作に登場する未来トランクスの世界です。精神と時の部屋で修業したので、難なくセルを撃破できます。セルを破壊したことでこの世界におけるセルのタイムスリップを阻止することになります。
5.各世界のつながり
さて、第一世界というのは第三世界、つまり本編に登場したセルが元々いた世界です。セルの発言にトランクスの細胞採取の話があることから、セルのいた世界のメカフリーザとコルド大王もトランクスが倒したと読み取れる箇所がありますが、そう考えてしまうと辻褄が合わなくなってしまうため、この発言はメカフリーザやコルド大王をトランクスが倒したという解釈ではなく、メカフリーザやコルド大王は悟空が倒し、人造人間を倒すために成長したトランクスの細胞を採取しなかったという強引な解釈をしたいと思います。
まず、第一世界のトランクスがタイムマシンで第二世界に行き、緊急停止コントローラーを手にして第一世界に戻ります。この時点ではタイムマシンを使っているのはトランクスだけですので、世界は2つしかありません。しかし、セルがトランクスを殺し、タイムマシンを奪ったことで話がややこしくなります。セルは、トランクスが過去改変を行う前の時代に行ってしまったからです。トランクスが飛んだ過去はエイジ764年とエイジ767年ですが、セルが飛んだのはエイジ763年です。こうなることでエイジ763年の時点でセルがいる第三世界(作中の世界)というものが生まれてしまいます。
トランクスが過去に飛ぶ際、第二世界か第三世界の2つのパラレルワールドが存在するわけですから、本人の意思とは関係なく、ランダムにどちらかに飛ばされます。第二世界に飛ばされた場合はその後第一世界に戻ってセルに殺されますが、第三世界に行った場合は第四世界に行ってセルを返り討ちにできます。
6.何故セルはエイジ763年に行ったのか。
セルの疑問点としてこれはよく議題に上がります。
セルは「トランクスのタイムマシンがこの時代にセットされていた」と言っていますが、本当にそうでしょうか。
トランクスにはエイジ763年に行く理由は何もないのです。エイジ763年はナメック星消滅直後で、ポルンガでクリリン、ヤムチャ、次いで餃子、天津飯を生き返らせているときです。トランクスのことを誰も知らないこの時代で報告をすることは無意味でしょうし、誰かに緊急停止コントローラーを渡したところで、人造人間が稼働していない状況で渡す意味がありません。コントローラーを渡すなら人造人間が動く直前にでも渡せばよいのです。
よって、トランクスがエイジ763年に行こうとしていたとは考えられないのです。
では、セルがこの時代を選んだのでしょうか。
それも難しそうです。セルはタイムマシンの詳しい設定方法を知らないからです。トランクスやブルマは何があってもタイムマシンの動かし方をセルに教えようとはしないでしょう。セルに教えるくらいなら死を選ぶでしょう。色々な細胞から作られたセルですが、さすがに、初めて見たタイムマシンの詳細設定を変更できるだけの頭脳を持ち合わせているとは思えません。
そもそもトランクスはどこに行こうとしていたのか。おそらく17年前です。17年というのは、第一世界と第二世界の時間差、つまり、第一世界のトランクスが第二世界の人造人間戦に加勢に行った時間差です。ドラゴンボール超で明かされますが、時間差をいじってしまうと同じパラレルワールドに行くことができず、別のパラレルワールドに飛ぶ可能性があるとされています。以前行ったパラレルワールドに確実に行くためには、時間差をいじってはいけないのです。おそらく、同じパラレルワールドに行くために、17年という時間差はいじっていないと考えます。
では、なぜエイジ763年だったのか。
それを考えるには、タイムマシンのエネルギーがカギを握っていそうです。
トランクスの場合は過去に行って未来に戻ってくる必要があるので、往復分のエネルギーを必要とします。過去に行くときは未来に戻るためのエネルギーを計算し、残しておかなければなりません。しかし、セルの場合は未来に戻る気がないため、全てのエネルギーを使って過去に行くことができます。セルとしては、できるだけ過去に行きたいはずです。なぜなら、その方が17号と18号が生存している可能性が高いからです。つまり、セルは、タイムマシンに搭載されている全てのエネルギーを使って過去に飛んだのではないでしょうか。詳細設定は難しくても、全エネルギーを使う設定をすることはそれほど難しくないと考えられます。セルが乗ってきた後のタイムマシンをトランクスが調べたところ、エネルギー残量がほぼゼロだったことが確認されています。
「往復分のエネルギーを片道に使うなら、24年前のエイジ763年ではなく、34年前のエイジ753年に行くのではないか」こう考える人がいると思いますが、しっかり反論ができます。例えば、飛行機に乗って同じ距離を進むとき、風向きに乗って進むのと、風向きに逆らって進むのとでは、どちらの方がより多くエネルギーを使うでしょうか。また、自転車をこいで同じ距離を進むとき、重力に反して坂道を登るのと、重力に従って坂道を下るのでは、どちらの方が疲れるでしょうか。
つまり、そういうことです。時間の流れに反して過去に行くときにより多くのエネルギーを使い、時間の流れに乗って未来に行くときはそれほどエネルギーを使わない。こう考えられるのです。ですから、17年前に行って帰る消費エネルギーと、24年前に行ったきり帰らない消費エネルギーは同じになるのです。
結論付けると、セルはできるだけ過去に行こうとエネルギーをMAX消費の設定に変えてスイッチを押します。そうした結果24年前のエイジ763年に着きます。セルはエネルギー量を調整して24年前を選んで飛んだわけのではないので、「トランクスのタイムマシンがこの時代にセットされていた」と矛盾しないのです。エネルギー量を調整したのはトランクスかブルマですから。セルとしては、自身でこの時代を選んだわけではなく、可能な限り過去に飛ぼうとした結果が24年前なのです。
7.その他の世界
パラレルワールドというのはいくつあっても矛盾はしないので、無限に考えることができますが、作中の世界と関係があるのは上記の4つの世界だけでしょう。ドラゴンボール大全に「トランクス不在のセルゲーム」を示唆した文言がありますが、これは作中の世界とは無関係な世界と考えられそうです。仮に作中で明かされなかった第二世界が「トランクス不在のセルゲーム」であるとするなら、辻褄が合わないからです。
トランクス不在ということは、緊急停止コントローラーを手にすぐに未来(第一世界)に帰ったということでしょう。セルゲームが開催されるということは、セルが完全体になっているということです。セルが完全体になるためには、17号と18号が必要です。つまり、17号と18号が健在でなければセルゲームは開催されないのです。仮に、実は第二世界にもセルがいたと考えた場合、17号と18号が健在の中、なぜトランクスは未来に帰ったのでしょうか。トランクスの性格上それはあり得ません。終戦を見届けてから帰るはずです。以上のことから、「トランクス不在のセルゲーム」は作中の世界にはなんら関係のない世界であると断言します。
8.4つの世界のその後
第三世界のその後は、作中にある通りです。7年後魔人ブウが現れ、ドラゴンボール超やGTに繋がっていきます。
第四世界のその後は、ドラゴンボール超の未来トランクス編をご覧ください。
ここでは、第一世界と第二世界について考えていきます。
①第一世界
Z戦士たちが全滅した世界ですが、人造人間やセルもいないため、平和な世界になります。時間をかけて復興し、やがてかつての賑わいを取り戻すと思います。宇宙ではバビディとダーブラが天下を取っていますが、地球にはろくな戦士が残っていないので、魔人ブウ復活のためのエネルギーを集めに来ることもないでしょう。いずれも生死不明となりますが、亀仙人、ヤジロベー、チチなどが最強クラスとなります。しかも、かなり高齢化しています。こんな世界ですから、わざわざダーブラが行くまでもないでしょう。そのうちバビディ軍の下っ端か、フリーザ軍の残党に滅ぼされるかもしれませんが、それまでは平和が続きそうです。
②第二世界
人造人間問題が解決して暫くは平和な世界になります。悟空の生死は不明ですが、作中と同様に7年後にバビディとダーブラが現れそうです。悟空やベジータは時間をかけて強くなり、スーパーサイヤ人2にはなれるようになっているかもしれませんが、そうだとしてもセル編での急激なパワーアップがない状況ですので、第三世界よりも弱い状態です。第三世界との違いが顕著なのが悟飯で、スーパーサイヤ人にすらなれない可能性が高いです。悟空やベジータとは違って、明確な敵がいなければ悟飯は修行しないからです。また、ピッコロが神様と同化していない可能性もあります。こういった、第三世界よりも弱い状況でバビディ襲来を迎えなければなりません。ダーブラなら倒せるかもしれませんが、負ける可能性もあります。人造人間戦で悟空が死んでいなければ、作中であったようにベジータがバビディに洗脳される理由もないため、魔人ブウの復活は阻止できるかもしれません。魔人ブウが復活したら勝ち目はないでしょう。魔人ブウの復活を阻止してバビディ、ダーブラを倒すという未来になれば一応平和にはなります。その後は悟飯が極端に弱いということ以外大きな違いはなく、第三世界と似たような流れになるでしょう。それ以降は悟空とベジータが中心となって戦い、悟飯はあまり戦いませんからね。人造人間編でセルを発見できず、エイジ788年にセルが現れたとしても、もはや悟空とベジータの敵ではありません。
こうして考えてみると、第一世界はその後侵略者が来ない限りは平和、第二、第三世界は悟空とベジータによって地球を守られるので平和となり、最悪な未来を歩むことになるのは第四世界ということになりそうです。第二世界はダーブラやブウに負ける可能性もありますけどね。
色々考察してみましたが、ドラゴンボールって後付け設定のはずなのにうまくできていることが結構あるんですよね。