自虐ネタだぞ(^o^)丿
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笑顔

 「どうせ、離婚なんてしないでしょう?」









 何度めかのデートの時、わたしの心を見透かした光さんが、苛立ちをわたしにぶつけてきた。



 「オレは本気で悠美のことを愛してるのに、なんで悠美はそんなに物分かりがいい女なんだよ?」



 妻子持ちからそんなこと言われるとは・・・



 光さんに対して、初めて本気でイラっとした。




 「だって、光さんには奥さんもお子さ・・・」


 「ほら、また物分かりいい女発言!!」



 言葉を遮って、光さんが怒鳴る。



 「・・・」


 「・・・分かってる、分かってるよ。確かにオレは妻子持ちだよ」


 「・・・」


 「でもさ、そうじゃないだろ?愛し合ってるんだろ、オレたちは!!」


 「・・・」


 「オレ、本気で悠美のこと愛していて、悠美を大切にしてるのに、そういう冷めたこと言われるとすげー哀しくなるんだよ」


 「・・・」


 「理不尽か?理不尽だよな??でもさ、愛してるっていう気持ちはさ、もっと素直な感情だろ??」


 「・・・」




 本気で困った。


 光さんがわたしのことを想う気持ちの大きさはなんとなく理解出来るけど、それにどう答えていいのか全く分からない・・・


 わたしは光さんを失えない。


 でも、それは恋愛とは違った感情のような気がする。


 失えない怖さから、光さんを受け入れた。


 奥さんがいる光さんと既に何度も肌を重ねた。


 一般的にいけないことだと分かっているのに、光さんを失う怖さは絶大すぎた。



 失えない怖さは愛とは違う。


 光さんを失う怖さからわたしは奥さんの気持ちをないがしろにしている。


 せめて、ほんの少しでも奥さんが哀しまないよう、電話がかかってきた時には出てもらい、なるべく早い時間に帰らせようとした。


 それが気に入らないと言われてしまうと、わたしはどうしたらいいのか分からなくなる。



 「オレだけなのか?オレだけが悠美を愛しているのか??」



 友達の感情が少しでも残っていると思っていたけど、もうそうではないのかな・・・って少し残念な気持ちもあった。




 「・・・」




 「悠美はオレを愛してくれてないのか?オレは悠美を愛してる。悠美がいない生活なんてもう考えられない」














 「どうせ、離婚なんてしないでしょ?」



 この言葉に、光さんの言葉が一瞬止まった。



 やっぱりな・・・と、わたしは思った。



 大切に・・・でも、片手間な愛情なのだと。



 「今すぐは無理だけど、離婚のことはもう考えていた」




 「???」




 わたしがまた言葉を失う。


 離婚のことなど全く考えていないと思っていたから。




 「今すぐ出て行けとはあいつ(奥さん)には言えないから、すぐに離婚は出来ない。でも、おれは悠美と一生一緒にいたいから、離婚する。悠美と結婚する。そのくらい悠美を愛してる。悠美なら一生愛して行けるって思ってる」




 女ってのは、どうしてこういう情熱的な言葉に弱いのだろう・・・




 どうして



 どうして、こんなわたしのことをそこまで・・・・・




 って、キュンキュンしてしまう。







 いつもより熱い時間を過ごす。



 長い長い・・・でも、短く感じる時間の流れ。






 「ずっと、お互い友達だったのに、どうして?いつから?」






 光さんの腕に抱かれ、問いかける。






 「・・・・・・・・・・・ん~・・・・・・・・・・・・・」




 恥ずかしそうに、口ごもる。




 「聞きたいなぁ」




 上半身を起こし、光さんの顔を覗き込む。




 「・・・・・・・・その笑顔だよ・・・・・・・・・」


 「え?」


 「お前、ずっと泣いていたのに、オレの言葉に笑っただろ?・・・・・・・・それでだよ」



 光さんは照れ隠しに顔をそむけた。



 わたしを笑顔にしてくれた言葉。



 わたしは一生忘れないと思った。




 「楽しい時間は確実にあった」




 覚えてる。



 立ち込めていた暗雲を、止むことのないと思っていた雨を、一瞬にして吹き飛ばしてくれたあの言葉。


 あの光さんの優しい笑顔。


 肩越しに見えた綺麗な青空。




 全て覚えている。



 

 どんなに時が過ぎても、忘れない。




 あなたが、わたしを助けてくれた。



 また、笑えるようになったのはあなたのおかげ。







 ありがとう。



 ありがとう。




 あなたに会えて本当に良かった。









 Will~地図にない場所~ (作詞:yasu 作曲:yasu)


 君の心の傷は今もまだ癒えないまま?

 「まさか・・・」の別れからどこか君は臆病になったね

 孤独な夜から逃げて都会に紛れてみても

 「一人が淋しいわけじゃなくて・・・一人と思うことが淋しい・・・」


 でも君が描いてる日々は世界に一つの物語


 枯れない悲しみはいつか

 逃げない強さに変わるよ

 君だけの物語(みらい)を探して

 旅立とう地図にない場所へ・・・


 余計な物があるなら 全て今日に置いていこう

 なにげない今日が物語の想い出のページになる



 (中略)



 果てない旅路のどこかで

 時には雨に打たれても

 次に訪れる景色は

 今日と違う未来だから・・・

 枯れない悲しみはいつか

 逃げない強さに変わるよ

 君だけの物語(みらい)を探して

 旅立とう地図にない場所へ


 余計な物があるのなら 全て今日に置いていこう

 嫌いな雨さえあがれば すぐに歩き出せるから



 http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=12483

 ↑歌ねっとで全歌詞が見れます

迷う日々

 光さんは変わらずに優しかった。


 日々のメールの文字数は少なくなったけど、回数は格段に多くなった。


 光さんは楽しそうだった。



 わたしも楽しかったけど、どこか楽しめきれない気持ちもあった。




 光さんには妻子がいる。




 わたしは、酷いことをしている。




 遊びでもない。


 でも、本気でもない。




 ただ、失うのが怖かった。





 その後、光さんと初めてキスをした海岸が待ち合わせ場所になった。



 そこで待ち合わせて、コンビニかファミレスに行って食事を買うか食べてからホテルに行く。



 それがお決まりのデートコース。




 わたしはいつも、心から楽しいフリをしていた。


 わたしを求めてくれる光さんを悲しませないよう。

 光さんという存在を失わないよう。



 他愛のない話をしている時は真剣に楽しいけど、光さんに抱かれている時は切なかった。




 3回目のデートの時、光さんの電話がよく震えていた。


 過去に浮気がバレた光さん。

 奥さんに早速怪しまれているようだった。


 「今日はもう帰ろうか?」


 わたしは本気で奥さんとの仲が悪くなることを心配した。


 不倫女がそんなことを言ったところで、信憑性はないが・・・



 「いや、いいよ。意味不明なんだよ、メールの内容が」



 光さんはメールを見せてくれた。



 確かに、メールの内容はおかしかった。



 でも、わたしには奥さんからのSOSに感じた。



 前にも浮気していた旦那がまた浮気しているのかと考えたら心穏やかではいられないだろうし・・・




 「・・・帰ってきて欲しいんだと思うよ。帰ってあげたら?」



 「・・・ずいぶん物分かりがいいんだな、悠美は」



 「寂しい思いしてるような気がするから・・・」



 「悠美は?悠美は寂しくないのかよ?」



 ここは寂しいって言わないといけないだろうな・・・そんなことを心の中で分析し、声を出す



 「寂しいよ。寂しいけど、光さんの帰る場所は奥さんのところだし」



 「おれは悠美と一緒にいたい。あまり会えないのに、会ってからまだそんなに時間経ってないのにもうバイバイなんて嫌だ」



 光さんはわたしの上に覆いかぶさってきた。




 わたしは、光さんの首から肩甲骨あたりの肌を触るのが好きだった。


 年齢を感じさせないなめらかな温かい肌。


 光さんに抱かれて、手で触れ、首のあたりを唇で触れ・・・



 光さんが独身だったら、とっくに心から愛していたかもしれない・・・・・・・



 肩越しに、無駄に豪華なシャンデリアを見上げる。



 キラキラと偽クリスタルが光っている。



 無機質な冷たい輝き。




 熱い吐息・・・









 わたしはいつまでこんなことを続けるのだろう・・・・・・・・・・・・・







 結局、光さんはいつもの時間まで帰らなかった。



 「気を遣わせて悪かったな」


 「いいんだよ。気にしないで」


 わたしが微笑みながらそう言うと、光さんは申し訳なさそうな笑顔を見せて、帰るべき場所へ帰っていった。



 その背中を見送ると、わたしはいつも安堵する。



 光さんのことは好きだけど、どこか重荷だった。


 でも、別れを切り出すことは出来ない。


 やはり、わたしは光さんを失うことは出来なかった。




 奥さんがいるから、身体の一線は越えても、心の一線は越えていない。


 それは光さんも同じだったのではないかと思う。


 うまくは説明出来ないけれど、友達以上だけど、友達のような感覚がまだ残っていた。




 光さんが帰った後、わたしは一人で海辺まで歩き、空を見上げた。



 星がとても綺麗だった。



 水平線ギリギリのところの星までハッキリ見えて、星明かりが海面に映っていた。



 こんなに綺麗に星が見えることはなかなかない。



 わたしはしばらく星空を眺めた。




 冷たい海風に、髪が揺れる。




 光さんと同じ髪の匂い。




 ホテルの安っぽいシャンプーを一緒に使った。





 ホテルのシャンプーというのは独特の香りがある。



 だから、奥さんを不安にするんじゃないかと思った。



 もう少し気遣ってあげてもいいのではないかと思う。



 光さんと奥さんがどのような生活をしているのかは分からないけど・・・



 あんな意味不明なメールを、何度も送ってこさせないように気遣ってあげればいいのに・・・






 結婚って何なんだろう?




 男の人は浮気をしやすいイキモノだとよく言われている。




 もし、お兄ちゃんと結婚していて、いつか、浮気をされたのだろうか?





 光さんは、どういう思いで奥さんと付き合い、結婚をし、子供を授かったのだろう。




 なぜ、以前浮気をしてバレて、離婚話もしたというのに、また同じことをするのだろう。





 結婚って?



 男って?



 女って??




 セックスって何???







 綺麗な星空の下、いろんなことを考える。





 答えの出ない疑問ばかり。













 本当、わたしは何をしているんだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あなたを失えなかった

 実家での生活が始まった。


 高校卒業まで暮らしていた家なので、新生活と言えるほどの新鮮さは全くない。


 ただ、わたしの姉が結婚して、実家に義兄と子供が二人増えたという違いがあるだけで・・・




 実家でネットの環境を整え、光さんにメールをした。


 光さんはその日のうちに返事をくれた。


 「一人ではない環境だと、気持ちも安定するんじゃないですか?ゆっくり、心を癒して下さい」


 メールの最後にそう綴ってあった。


 光さんはいつも優しい。




 「ただいま」と言える環境。


 「おかえり」と言える環境。



 確かに、必要なものだった。



 そして、光さんという人。


 ネットという匿名性の高い世界で出会った人だからこそ、友達には話せない悩みを話せた。


 実際に会ったことがない人を友達と言っていいのか分からないけど、匿名性の高い世界で見つけた友達。


 ありがたい大切な存在。




 教習所に通い始めてからは、教習所のことをまるで日記のように事細かく書いて、送信していた。



 光さんはいつもたくさんの文字を送ってくれた。



 本当に楽しかった。




 やがて、教習所通いも終わり、いい歳ながら初心者マークを付けて運転するようになったわたしは、光さんに「会う予定決めませんか?」と提案した。




 とんとん拍子に話は進み、会う日や待ち合わせ場所が決定した。



 当日は朝からワクワクして、予定より早い時間に家を出発した。



 既に携帯のメールアドレスを交換していたので、途中、何度か光さんにメールを送り、光さんからもメールが来た。


 予定より1時間も早く着いたわたしは、ワクワクしながら光さんの到着を待っていた。



 やがてその時間が来て、光さんとの対面を果たす。



 何度か写真をもらっていて、写真と全く同じ顔がそこにあり、安堵した。


 久しぶりに友達に会ったような、懐かしい感覚があった。



 ファミレスに入り、あれだけメールのやりとりをしていたのにもかかわらず、話は尽きなかった。


 わたしの使っている化粧品の話しや、お互いが付けてる香水の話から、何度も何度も繰り返して話してきたお兄ちゃんの話しまで。


 わたしは、お兄ちゃんと別れた日に泣いて以来、お兄ちゃんのことで初めて涙を流した。


 今までさんざん、光さんにメールしたし、コーヒーショップの先輩にも話してきても不思議と涙は流れなかったのに・・・


 しかも、いくら角の席とはいえ、人のたくさんいるファミレスで。



 「悠美さん、大丈夫?」


 オロオロする光さん。



 わたしは、ハンカチで目元を抑え、頷くしか出来なかった。


 泣くのを無理に我慢してきたつもりはなかったのだけれど、わたしはずっと涙を我慢していたのだろうか。


 涙はなかなか止まらず、光さんは何も言わず、そこにいてくれた。






 「ねぇ、悠美さん」



 しばらくして、光さんが口を開いた。














 「今、こんなことになったけど、楽しい時間は確実に悠美さんの中にあったんだよ。よかったね。素敵な恋をしたね」



















 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










 冷たく、硬く凍っていた心の氷が、スっと溶けたような気がした。






 重かった石のような心が軽くなった。













 伏せた目線を上げると、優しくこちらを見る光さんの後ろに、綺麗な青空が見えた。











 なんて綺麗な青空・・・


















 大勢人がいるファミレスにいることを考えて必死に止めようと努めた涙が、一気に溢れた。
















 光さんは、何も言わず、わたしの涙が止まるのを待っていてくれた。




 次に目線を上げた時も、光さんは優しい表情だった。




 辛いことの後には幸せがあるって言うけど本当だと思った。



 光さんという友達に出会えた。



 お兄ちゃんに会わなかったら、光さんとここまで仲良くなれることもなかったかもしれない。







 お兄ちゃんに会えて、たくさんの幸せをもらった。


 綺麗な夜景の見えるマンションで、好きな人を出迎えるという夢も見せてもらった。




 それでいいんじゃないか・・・



 そう思えた。





 今が苦しくても、哀しくても、わたしがお兄ちゃんと幸せな時間を過ごした過去は変わらない。









 わたしは、お兄ちゃんを責めたかったんじゃない。












 お兄ちゃんが悪いと思いたかったんじゃない。













 わたしは幸せだったと、認めてもらいたかったのだと、気付いた。














 「もう、大丈夫?笑える?」



 光さんが微笑む。







 ありがとう。



 本当にありがとう、光さん。




 あなたという人に出会えて、わたしは本当に幸せです。






 ありがとう、光さん。












 「・・・はい、大丈夫です」





 わたしは、光さんの優しさに満面の笑みで答えた。





 ここから歯車が狂い始めたと気付かず。


 ただ、光さんの優しさに、素直に答えた。











 ファミレスを後にし、お互いの車で海へ向かった。




 海水浴場の近くの駐車場に車を停め、二人で海岸を歩いた。




 星が綺麗で、星の話しをした。



 やがて、気温が下がり、車の中に退避した。



 光さんの車の中でも話は続いた。



 本当に話題が尽きないのが不思議なくらい。



 光さんに会ってから既に12時間以上過ぎていた。



 身振り手振りを交えて、話しに夢中になっていたわたしは、光さんの車の中にあった小物に手が当たり、倒してしまった。


 「すいません、わたしったら」


 咄嗟に、お互いが落ちた小物を拾おうとした。


 その時に、手が軽く触れ合い、顔が近付いた。



 わたしは特に気にしなかった。


 手が軽く触れ合ったり、顔が近付いたりすることはこういう状況なら友達同士でもよくあることだから。



 「悠美さんの手は温かいね」


 「そうですか?心が温かいから手も温かいんですよ(笑)」


 「うん。そう思うよ」


 「光さんはどこまで優しいんですか~。そこは心が冷たいからだろ!とかってツッコミいれるとこじゃないですか~(笑)」


 「オレ、手冷たくて。悠美さんの手、握らせて」


 わたしの言葉を待たず、光さんはわたしの手を握った。


 確かに、光さんの手は冷たく、微かに震えていた・・・


 「・・・もしかして、寒いんですか?」


 少しだけ、嫌な予感がした。


 光さんが、まさか??



 嫌な予感はだいたい的中するもので、友達関係の終わりが近づいていた。




 「おかしいよね。オレ、さっきから震えが止まらないんだよ・・・」


 「・・・大丈夫ですか?・・・」





 ほんの少しの沈黙のあと、光さんはわたしの名前を”さん”なしで呼んだ。




 「・・・オレ、お前のこと・・・」















 ・・・パチン・・・





 シャボン玉が割れるような、小さな、小さな音が心の中で聞こえた。












 光さんにとってわたしは、そういう存在ではないと信じていた。






 でも、それはわたしの勝手な要望。






 光さんの気持ちの在り方は光さんの自由であり、わたしがどうこう言っていいことではない。








 同じように、あと3秒後にキスされるこの状況を拒否するのもわたしの自由。









 わたしの自由だけど・・・




 拒否すれば、わたしはきっと光さんを失う。




 気まずい雰囲気になって、いつしか今まで通りに連絡を取り合えなくなる。



 光さんは優しい人だから、わたしがメールをすれば、返事をくれると思う。



 でも、キスを拒否した女に対して、どれだけの期間連絡をくれるだろうか。



 連絡はくれるけど、今まで通りにはきっといかない。



 今日、別れた後から連絡が取れなくなる可能性も充分ある。



 男と女の関係は、両想いなら強くもるけど、拒否された想いがどちらかにある場合、絆は脆くなるもの・・・






 光さんからの連絡がない生活・・・



 わたしの凍った心を、石のように重い心を一瞬にして軽くする魔法をかけられる人が光さん以外にいるだろうか・・・



 光さんを失ったら、軽くなったこの心の魔法が解けてしまうことはないのだろうか・・・



 分からない・・・



 もし、魔法が解けてしまったら・・・わたしはどうなってしまうのだろう・・・



 魔法が解けてしまったら、また同じ魔法が使える人と出会うことはあるのか・・・














 いや、光さんを失ったら、二度とこの魔法は誰にもかけられない、きっと・・・






















 わたしは、今、光さんを失うわけにはいかない!!!!!!









 怖い!!!!!!!








 また、あんな思いを繰り返す生活が怖い!!!!!!!!!







 実家に帰って、一人じゃない生活をしていても、光さんほどわたしを癒してはくれない!!!!!!!
















 怖い



 怖い



 怖い






 なんで?


 どうして??



 答えを見いだせない苦しみ。



 哀しみ。






 毎日、自問自答を繰り返してきた毎日。






 友達にも話せない、家族にも話せない悩み。






 光さんだけが、わたしの心をここまで救ってくれた。





 その光さんを失う???







 嫌




 嫌




 嫌




 嫌










 絶対に嫌!!!!!!!






 怖い



 怖い







 あんな毎日をまた過ごすのは嫌!!!!!!!!!!







 やっと、楽になれたのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


























 わたしは、目を閉じた。




 手と同様、微かに震える、冷たい光さんの唇。






 チュっと、小さく音を立てて、すぐに唇はわたしの唇から離れた。






 目を開けると、ちょっと困った顔でわたしを見る光さんの顔が近くにあった。






 光さんの目をじっと見つめ返す。






 泣きそうな目だった。





 優しい光さんにこんな辛そうな目をさせてしまったのはわたし。










 悪いのはわたし・・・









 悪いのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





























 誰?
























 「光さん・・・・・・・」




 「ゴメン、悠美・・・・・・・」




 「手、震えてますね」





 わたしの左手を掴む光さんの右手を、両手でそっと包んだ。






 「少し、温かくなってきました・・・大丈夫、大丈夫ですよ、光さん。震えることなんて何もないですよ」



 光さんから目線をそらし、わたしの手の中にある右手に視線を落とす。



 光さんの目を直視出来なかった。












 「・・・大丈夫、怖くないですよ・・・」


 「悠美」




 名前を呼ばれ、抱き寄せられ、今度は長い長いキスをした。














 優しい光さんを失うことは出来ない。













 光さんに辛そうな目をさせたのは、わたし。





















 悪いのはわたし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
























 あなたを失う怖さに耐えられない、弱い心のわたしが、悪い。

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