正常胚で流産をしましたが起こり得ることでしょうか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

今年34歳です。米国で体外受精をしております。2回陰性が続いたので、転院し3回目の体外受精。今回はPGT-Aも行い正常胚を戻しました。
初めて着床し成長も順調だったのですが、8週4日から茶おりが出始めたので病院へ。心拍も大きさも順調だし茶おりくらいは問題ない。と言われてその日は帰宅。
しかし2日後鮮血が出たので病院へ。
その時の診察も心拍も問題無し、成長もしているので大丈夫と言われて安心して帰宅。
次の日大量出血して流産になりました。
PGT-Aの正常胚を戻したのに流産となった場合、次の移植はどの様な対策を取った方がよいのでしょうか。前日に心拍、成長も確認していたのにこのような事は起こり得るんでしょうか。

 

オンライン説明会で出たご質問です。

 

正常胚でも1割は流産します。原因は多数あります。

 

卵子は大きな細胞なので、染色体以外にもミトコンドリアなど様々な器官があります。胚の染色体が正常でも細胞質に問題がある可能性があります。この様な場合には妊娠を継続することは難しくなります。

また、PGTの手技(胚の細胞を吸引することや、繰り返して凍結融解をすること)により胚へダメージが出ているかもしれません。

 

その他としては以下の要因が考えられます。

子宮内膜に炎症がある。

卵管に水腫がある。

子宮内腔に粘膜下の子宮筋腫がある。

子宮内腔に内膜ポリープがある。

移植後のホルモン値が適切でない。

免疫や凝固系の異常(不育症)

子宮の形態異常や内腔の癒着。

 

主にこれらの事が考えられます。

これらを踏まえ、原因を特定し治療して結果を出す事が良いのかと思います。

 

次への対策は腹腔鏡検査が一番お勧めです。

 

 

またPGTが合わないということもあります。以下の記事も参考にしてください。