EDENSZERO第273話『自浄』感想 | ルーメン・イストワール

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EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

マザーの正体は"地球"という星。そして四煌星はそこに住む人間だった──。


前号までのあらすじ…マザーを救うため再び始まった"ユニバース0"での冒険。シキはついに冒険の終着点・マザーの元へ辿り着く。彼女は、シキを待っていたと語り、"二万年前の契約"という二択の選択を提示。困惑するシキに対し、宇宙の女神マザーは自身の正体が「地球」と呼ばれる星であったことを明かす。シキとマザーの間に何があったのか、その真相は二万年前の地球に……!?


扉絵

扉絵は、本編がシリアスな真相解明パートに入ってるからそのバランスを取る為か、ビキニを着たお色気レベッカ

何の脈絡もないサービスカットに真島作品の"味"を感じます

本編でよくある現象だけど、扉絵で見ても似た気分に陥る。笑

全く時期じゃないのも面白いですね。レベッカ、綺麗で可愛い


地球のエーテル

「竜脈」という言葉は聞き馴染みがありませんでした。

調べてみると「風水で起伏しながら連なる山並みをいう。その中を地気が流れるという。」

掻い摘んで言うと、地中や川の中を走る「気」の流れ、大地のエネルギーの事を指すようです。

あまり聞いた事がなかったのだけど、ちゃんとこの地球に存在する概念らしい。

クーパー(クラウンの元々の人物)は「エーテル」の事を「竜脈のようなもの」と表現して説明していました。

自分はその「竜脈のようなもの」がイメージつきにくいですが、逆に言えば「エーテルのようなもの」がこの地球にも存在しているという事でしょうか。

風水における話のようなので実際に意味があるのかどうか実証はできなさそうですけど、元々「エーテル」とはそういうものかもしれません。

目に見えないけど、そこにある。

それをコントロールして使えるのがエーテルギア使いですけど、地球にはそんな使い手いない。

その為、地球ではエーテルは「竜脈のようなもの」という存在感なのでしょう。

一応「エーテル」は、アリストテレスが四大元素を拡張して提唱した天体を構成する第五元素であったり、19世紀以前の物理学で光を伝える媒質を表す術語、R-O-R'で表される有機化合物等の意味で実際に存在する言葉で、それがこの地球ではユナ博士の論文によって存在が立証されたようです。

エーテルには上記を含めたいくつかの意味があるけど、どれを指しているのだろう。

難しい事はよく分からない。

ちょっと調べた感じ、天体を構成する第五元素としての「エーテル」がその他のエーテルの語源になってるようで、全部一括りだったりするのかな。

どれもあり得そうだから難しい。

この「ユナ博士の論文」というのが、262話の回想でミオと先輩がユナの元にやってきた理由なんだろうね。


ミオは星のオーバードライブを考えていたから、少しずつ話が繋がってきている。


エーテル治療に成功

イヴリィ、クーパー、リグレット、ユナ、ミオが病室で一堂に会し、それから「三ヶ月後」

手術は上手くいかずあれだけ治療が困難とされていたイヴリィの病気が完治。

イヴリィは病人だったと思えないくらい元気な姿で外を歩いていました。

季節は冬の入り始めの秋ぐらいかな?

枯れた木の葉が散っていて、がらんとしているけど、少し幻想的。

寂しげな情景に何とも言えない良い雰囲気があります。

何かと何かの幕間として特別感がある。

二万年前のイヴリィ、今のシスターとは思えないくらい幸が薄くて弱々しく見えていたので、地球が滅ぶまでの一時的かもしれませんが、明るい姿を見れて嬉しいです。

どういった経緯で入院し、病と向き合ってきたのかは知らないけど、断片的に見てた姿は少し切なく悲しかったから、笑顔に心が救われる。

イヴリィを見守るリグレットと同じ気持ちを共有できた気分です。

もう一度元気な姿が見れて良かった。

さて。前回終わりゆく地球を救おうとする者達として説明されてかつての四煌星の中でも、協力の仕方が不明だったリグレットイヴリィ

今回晴れてこの2人も計画に協力した経緯が描かれました。

リグレットの方は既に協力していて詳細は分からなかったけど、元気になったイヴリィは自分から「ユナとミオがやってる実験リグレットも手伝ってんだろ?オレにも手伝わせてくれねーか?何の実験か知らねーけど」と申し出ます。

約束されし未来に繋がっていき、面白い

ミオとユナは科学者繋がり、リグレットは3人と大学の同級生で、イヴリィも救われた恩義から協力を申し出ました。

何か特別な経緯があったわけではありませんが、一つの未来に収束していってる実感があります。

今回の話は物語としてというよりは、歴史を辿ってるような面白さがありますね。

何か劇的な事はないけど、そういう事だったのかと腑に落ちる感じ


自浄

イヴリィの診察結果を聞いて、仮説が確信に変わるユナ。

「原因不明の腫瘍はキレイに無くなったそうだ 転移も見られない」と状態を報告して「つまり…エーテルには自浄作用のような力があると立証された」と言いました。

元々ユナが存在を立証した「エーテル」

それをクーパーが「エーテル治療」として試した事で新たな可能性に到達しました。

エーテルにある「自浄作用のような力」

「自浄」とは「それ自体の働きだけできれいになること」

つまり「自ら自分の悪い部分を取り除く」という事。

エーテルにはそういう力がある。

クーパーの施したエーテル治療とは、イヴリィのエーテルを使う事でイヴリィの中にある原因不明の腫瘍を自らの力で無くす治療方法だったんでしょうか。

ちょっとファンタジー的だけど、この世界では「エーテル」の存在が立証できたからこそ実現できた方法ですかね。

地球にもある「エーテル」

この星のエーテルが枯渇する前にこの星全体のエーテルを臨界点にまで到達できれば星をオーバードライブできると2人は考えます。

エーテルを臨界点に到達できればオーバードライブできるなんてEZにおいて今更常識的過ぎますが、この世界ではそもそもオーバードライブ自体未知の領域だし、そこからの発想になっているのかな。

「オーバードライブ」というものに前例がないので、まずはその方法・理論。

もしそれが実現できたなら、エーテルの自浄作用で星は救われる。

オーバードライブという現象自体が「自浄作用のような力」によるものなんですかね

悪い部分を取り除く力が、姿の変化に影響を及ぼしていたりするのかな。


シキの母親

おそらくここからが本題であろう二万年前の秘話。

これまでの話をシキ達なりに咀嚼して解釈していたところ、マザーが「少し時を進めましょう これから半年後です」と語ります。

三ヶ月後+半年後で、今回だけで「九ヶ月」経ってる。

イヴリィの病気が治った時点で「2025年秋」だったなら、シキが誕生するのは「2026年(春頃?)」になるのかな。

めちゃくちゃ時間が進む

「2025年」という年代自体に特別な意味はないのか…?あくまで今よりかは未来というだけで。

半年後、レナードを隣にリグレットが抱えていた赤子は「シキ」

光景に古い記憶でも呼び覚まされたのか、シキは「まさか…」と感じ「そうです あれこそがシキです」とマザーが説明しました。

シキ=ウィッチの子確定

結構重要な事実ですが、サラッと明かされました。

予想はしてましたが、やはりシキはウィッチの子。

想像できてただけに驚きも感動も特になかったのですが、これで晴れて葵大戦の最後ウィッチの"子"を想う愛情の文脈が変わりましたね。

それだけ大切な存在だった以上に、血の繋がった実子だった。

シキはその事を知らなかったし、ウィッチも人間時代の記憶はありません。

彼女が如何にして魔王四煌星になったかは分かっていません。

しかし「二万年」もの時を越えて、種族も変わったし、名前も立場も変わったのに、それでも「子」を持つ「母」として生涯を終えた事実に感動しますね。

あの時はおそらく読者の誰1人として本当にシキの母親だとは思わなかったでしょう。

だからこそ悠久の時を超えて誰に忘れたって自分が忘れたって心に残っていた繋がりにグッとくる。

「大丈夫ですよ どんな事があっても私が守ってあげますからね…」という想いにはそんな背景が隠されていたんです。


今にして思うと「たとえ盾が砕けても愛する心は砕けません」という言葉は何よりウィッチの本質を指し示していたように思います。

うーん、泣ける


地球滅亡へのカウントダウン

我が子が生まれて幸せに包まれるリグレットレナード

レベッカやハッピー、ピーノも赤子のシキを見て優しい幸福感に包まれますが、それをマザーは「しかしその幸せは長くは続きませんでした」と不穏な事を言い残しました。

星を襲う火花。

「地球滅亡へのカウントダウンはもう始まっていたのです」と状況を説明します。

星を救おうとした人間時代の魔王四煌星ですが、それでも間に合わなかった終焉。

ついにこの星は終わりを告げようとしています。

その言葉と共に映し出された光景が「火山の噴火」なのちょっと面白いですね。

二万年前の過去編、地球が舞台だから凄く現代的な景色が広がっていたのに、いきなり非現実的な絵面が飛び込んできた。

真島先生の中で「地球滅亡のカウントダウン」が「火山の噴火」というのが面白いです。

確かにそうかもしれないけど、いきなりファンタジーが過ぎる…!

こんなの地球で見れる景色じゃないよ!真島ワールドだよ!と思っちゃいました。

「幸せな長くは続かなかった」以上に「真島作品において現実的な光景は長くは続かなかった」と思わされました。

何の音沙汰もなくいきなり星が滅ぶ危機訪れるのいくらなんでも治安が悪過ぎる。

ラストページだけそれまでの話との不一致感を感じて面白かったです。


 "シキ"という新たな生命の誕生。しかし、その幸せは突如として……。

第274話『地球崩壊』へつづく

サブタイトルがそのまんま過ぎる。

でもってなかなか見れない言葉の表現だな!

マザーの真相ももちろん楽しみですが、一つの世界が滅ぶ瞬間をお目にかかれるというのもなかなかない機会で楽しみですね