原作『首』(北野武)

原作『首』をもとに北野武が脚本を

書き、現在映画化されて上映中。

原作と映画は違い、映画は生々しく

て、戦乱の中での首級や武将同士の

セックスの場面が描かれ、より現実

味があり、これがことの真実をつい

ている。と思える作品であるといの

が不思議である。

 

 

 

 

プロローグ

ところは聚楽第で始まる秀吉にまつ

わる噺。

関白秀吉は、宮廷の主導権争いで近

衛前久の娘を天皇嫁がせた結果、後

陽成天皇の伯父となる。

天正16(1558)年4月。

後陽成天皇は完成した聚楽第(関白

の館)に行幸する。(4月14日)

豪華華麗な聚楽第で、天皇は5日間滞

在し、この間に武家公卿の拝謁があ

り、全国各地から朝廷から官位を受

けた大名らが参集する。

秀吉は天皇を立会人とし、家康以下

6名の上級公家、長宗我部元親23

名の武家殿上人が起請文を提出し、

関白に違背しないことを誓わせる。

 

 

 

関白秀吉の館・聚楽第(聚楽第行幸図)

 

秀吉(聚楽第)と曽呂利新左衛門

ときは文禄4(1595)年8月、

ところは京の聚楽第。聚楽第の邸宅

を取り壊す日。

すっかり老いた秀吉の前に小姓が「

前へ!」と叫び、面をあげないこの

男、名を曽呂利新左衛門、上方落語

の祖と呼ばれる茶人である。

 

曽呂利新左衛門と秀吉

秀吉は曽呂利の気配を察し、小姓へ

目配せし。広間を出ていく小姓ら。

秀吉は上座から下座におり、曽呂利

は入れ違いに座る。

秀吉「で、どんな噺だ?」

曽呂利いう。

秀吉様が死んでも忘れられん、あの

頃の…『首』ィという噺でございま

す。

 

首実験・作法

伊勢貞丈の『軍礼杪』による首実

験・作法は以下の通り。

首を水によく洗ひ、血または土な

どを洗ひ落し、髪を引き裂きもと

ゆひにたぶさを高く上ぐべし。

もし、かねつけおしろいべになど

つけたる首ならば、其の如くにこ

しらへべし、顔にきず付きたらば

米の粉をふりかけて。きずをまぎ

らかす也、紙札に首の姓名を書い

て付くる也。

 

 

武田の家老の首級を甲州へ持ち帰る家臣(長篠合戦図屏風)

 

秀吉と秀次(聚楽第)

文禄4(1595年)8月

秀吉が関白秀次に処刑を命じる。

関白秀次は秀吉の姉の子。

 

秀吉の弟・秀長が天正19年正月死去、

ついで秀吉と茶々の子の鶴松(3歳)

が亡くなり、秀吉は同年12月に甥の

秀次に関白職を譲り、秀吉が太閤(

関白後の位)となる。

 

秀吉と淀殿・捨丸(伏見城)

文禄2(1593)年8月名護屋城(肥

前・佐賀県)で、淀殿が子どもを出

産との報せを聞き、大坂城に駆けつ

ける。

果報を拾うたものと拾丸(のちの秀

頼)と名づける。このとき秀吉57歳

で、淀殿が20歳。

文禄3(1594)年伏見城が竣工し、

秀吉・淀殿・捨丸が伏見城に居を移す。

 

三条河原(首)

文禄4年8月。

秀次の正妻以下、妻子30余人を聚楽

第から三条河原に引き出し、刑場の

塚の上に秀次の生首を置き、子ども

から、母親、女たちと順次、首を斬

り処刑する。

 

 

三条河原の処刑場面「秀次公縁起絵巻」(瑞泉寺蔵)

 

秀吉は秀次一族処刑のときに関白邸宅

の聚楽第をすべて破壊し更地にする。

秀次にまつわるものはことごことく抹

消。

こうして、武家関白制は消滅する。

 

高瀬川開削(遺体)瑞泉寺

この頃の三条河原は現在の河原町まで

広がり、角倉了以が高瀬川を開削した

とき、16年後に処せられた秀次一族の

遺体が出てき、中州の塚の地に遺体を

祀るために、建てられたのが瑞泉寺で

ある。

 

 

三条大橋西詰にある瑞泉寺(京都市河原町)

 

小説「首」(構成)

プロローグ

1.ある謀反

(荒木村重のこと)

2.茂助、秀吉軍へはいる。

3.因幡の秀吉、相撲を取る

4.甲賀の里で快文書

5.秀吉の蜜謀

6.秀吉上洛

7.家康暗殺計画

8.高松城水攻め

9.本能寺

10.速度の勝負

エピローグ

 

小説『首』と映画

原作:北野武(KADOKAWA)刊)

脚本・編集・監督:北野武

 

主要登場人物     (俳優)

羽柴秀吉(豊臣秀吉) ビートたけし

明智光秀       西島英俊

織田信長       加東亮

徳川家康       小林薫

 

曽呂利新左衛門    木村祐一

難波茂助       中村獅童

偽造(茂助の幼馴染)    

 

荒木村重        遠藤憲一

服部半蔵(伊賀者)   桐谷健太

多羅尾四郎兵衛(甲賀者)

多羅尾光源坊(甲賀者頭)

本多忠勝(家康家臣)  矢島健一

本多正信        

穴山梅雪(元武田家臣)

安国寺恵瓊(毛利方の外交担当)

 

 

 

聚楽第跡推定地

 

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