遊郭で知られた江戸吉原。

京の島原、大阪の新町とならび

三都の幕府お膝元の廓である。

 

ー江戸吉原ー

江戸吉原の遊郭。

吉原遊郭は浅草寺の北1㎞の地(現在

東京都台東区千束3-4丁目)にあり。

東に隅田川があり、舟で浅草の吾妻橋

を渡り山谷掘を西にゆくと着く。

遊郭の南は田んぼが広がり、浅草寺か

らゆくとき、遊郭を北西に見て、山野

掘の堤に出、この道は遊郭大門の入口

に通じる。

 

 

05【衣紋坂】4729-4731二代歌川広重06拡大 

 

江戸吉原の遊郭(大門入口側)

 

<吉原遊郭(吉原遊興図屏風)>

一般町人にも開放された吉原。

 

 

吉原遊興図屏風

 

 

享保年間(1716-1736)初年には遊女

3000人を数え、高尾太夫や三浦屋の薄

雲など盛名を馳せた名妓も生まれた。

 

 

<遊女と客「吉原風俗図屏風」>

屏風で仕切られた遊女と客は床に入り

馴染みを重ねていく。

 

 

「吉原風俗図屏風」

 

ー「好色一代男」の江戸吉原(遊女・よし田)ー

井原西鶴は「好色一代男」で、主人公・世

之介を「源氏物語」の光源氏になぞり、諸

国の遊郭を舞台に描く。

世之介41歳のときに江戸吉原の太夫・よし

田を描く「匂ひはかづけ物」(巻六)。

 

(吉原遊女・よし田)

京の女郎に江戸の張をもたせ、大坂の揚屋

で会はば、この上何かあるべし。

ここに吉原の名物、よし田といへる口舌の

上手あり。

風采は島原一文字や抱えの金太夫より優れ、

手跡は島原の野風に劣らず、しかも歌道の

たしなみ深く、あるとき座敷で飛入(ひに

ゅう)という俳諧師が詠む。

涼しさや夕べよしだが座敷つき

 

遊女・よし田これに応えて詠む。

蛍飛び入る我が床のうち

 

と、即座に脇をつけた。

これにかぎらず毎度聞きふれし事ぞかし。

一ふしうた(唄)うて(三味線)引いて

自然とこの勤めにそなはりし女なり。

よろづかしこき事おもひの外なり。

 

(遊女よし田「匂ひはかづけ物」)

揚屋の縁側で、大尽小兵衛は世之介に、

よし田と手をきるための相談する。

そこへ廊下で太夫・よし田がおならを

するのをふたりが聞き、衣装を着替え

て来た太夫は「いかにもこき手はこの

私です」と申されける。

 

 

いづれも悪しく申さず、この利発を感

じあき日をあらそひ、この人しのぶ事

、八わうじ(八王子)の芝売、神田橋

にたてる願人坊主、金杉(現港区芝4

丁目)の馬宿までも「君を思へばかち

はだし」にて、御町(官許の遊郭の略)

の辻に立ちながら「雲(雲助)め、風

(風来坊)め」といはれし身までも、

御道中を見て、半分死んだようになっ

て帰りける。

 

西鶴が物語るは、吉原のよし田は、意気

地があり、京、大坂の太夫と一味ちがっ

て張りがあり、「匂ひは、かぶるものだ」

と江戸の吉原遊郭のよし田を讃えている。

 

 

 

 

浅草寺の北の吉原遊郭の跡地(東京都台東区千束3-4丁目)

 

 

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