光明池緑地にある森林。
森のなかの池沿いの道をゆくと約100万年前まで
地球上に生息していた「生きた化石」と呼ばれる
メタセコイアや沼でも生息していたヌマスギがある。
光明池緑地の森のメタセコイア
<光明池緑地の森(メタセコイア・ヌマスギ)>
光明池緑地の森には、和泉山脈の裾の丘陵につくられた
ため池(1936年)がある。堺市と和泉市にまたがるこの
大きな池は、取水塔、堤体(高さ30m)が大改修(1985)
されたために遊歩道がある。
並木道にあるヌマスギ(沼杉)の突出した根
(ヌマスギ・メタセコイアと植物)
森の中にはヌマスギ(落羽松)の並木道があり、ここにメタ
セコイアの大樹もある。ヌマスギやメタセコイアは大阪層群
という地層から化石を産出している。地層から約160万年前
から60万年生存し、100万年前にメタセコイアと同じくイチョ
ウなどの様々なこの頃の植物が絶滅していることを知る。
氷河期の頃に誕生した原人
<地球の「新生代の第四紀」(人類誕生)>
地球上の氷河時代に、気候が氷期と間氷期をくりかえし、メ
タセコイアが誕生・生存・絶滅し、人類の祖先が誕生した時
期。これを地質時代区分でいうと、地球は46億年前にでき、
新生代(6600万年前から)の第四紀は200万年前から1万年
前になる。地球の気候は第四紀に入り、徐々に寒冷化が進
み、寒暖の変動をくりかえしてゆき、急激に温暖化し地球上
の生物が絶滅する。メタセコイア絶滅の頃と人類の祖先が
誕生する頃と奇しくも重なっている。
地質時代の区分(赤色の部分が第四紀。大阪市立自然史博物館)
(池の中で生きるヌマスギ)
散策道から山肌に生い茂った木があり、池につかって
いる木もあり、そのひとつにヌマスギもある。
地層が見える池の岸辺で生きる樹々
ヌマスギは和名でラクウショウ(落羽松)といい、別名で漢字で
書くと沼杉になる。メタセコイアと命名した三木茂博士の化石
標本(大阪市自然博物館)によると、メタセコイアと同じように
地球上の大阪層群で生育し、絶滅した植物にブナ、サカキ、
シキシマアカメガシワ、タイワンスギ、フウ、スイショウがある。
池のなかでも生育するヌマスギ(沼杉)
<北極とメタセコイア(「地球の気候変動」)>
北極に4500万年前の化石が発見されている。すでに19世紀
の北海探検時代から、北極圏の島々から植物化石が出
るのは知られており、この頃の北極は、亜熱帯性の森林が
育ち、ワニやサルの化石もみられる。また丘陵には「森林の
化石」がみられる地層をみられ、これは地球が温暖化した
跡の化石になる。
カナダの北極圏で発見された「森林の化石」
<北極調査(「地球温暖化」)>
地球はいまも氷河時代で、生態系が変化している。
北極は、夏季の海氷面積が過去35年で3分の2に減少する
など、温暖化の影響が目立っている。北極圏のグリーンランド
では、氷河が解けた影響で洪水が発生し、先住民が暮らす村
の幹線道路が寸断されなどの被害が起きている。このため
文科省は、北極圏の環境変化の研究を支援をすることになり、
22年度予算の11億円が充てられる。国立極地研所が研究テ
ーマを公募する。支援対象は、先住民のアザラシなどの捕獲
の協力を得て北極の生態系の影響の研究である。
今年5月に日本政府は米国、中国、ロシア、韓国など参加する
「北極科学大臣会合」をアジアで初めて主催する。
<気候変動(メタセコイア)と地球温暖化>
メタセコイアは、恐竜が消えてゆく頃に姿をあらわし、
人類の祖先の原人が出現する頃に絶滅している。
人は自然と共生し、地球の温暖化を防いでいきたい。
<自然と人(暮らし)>
2021.11.8