NOSAI宮崎は、広報誌ひなたという小冊子を発刊しています。
その最新号である第42号の14ページ中段に、サラッと、書いてありました。
<<引用開始>>
令和9年1月1日から、繁殖障害治療の保険適用期間が変わります。
【変更される保険適用期間】
繁殖障害治療の保険適用期間が、分娩後41日~240日までとなります。
この期間以外は、全額自己負担(事故外診療)となりますので、ご注意ください。
早期発見・早期治療が、治療のコストを抑え、牛の回転をよくすることにつながります。
<<引用終了>>
このことが、何を意味するのかと言えば、恐らく、農水省の会議の中で、
・発情が来ない牛に対して、意識の低い農家が多い
⇒母牛の管理が杜撰で、さぼっている
・早期に治療すれば、その分、早く受胎できるのに
⇒早期発見、早期治療という意識がなさすぎる農家が多い
・分娩間隔を短くすることで、増収に繋げられるのに
⇒収入が増えるのに、分娩間隔を短縮できないことが、フシギで仕方がない
などの意見が出されたんでしょう。
その施策として、全額自己負担診療という、農家にとって嫌な言葉を持ち出したんでしょうね。
当たり前ですが、そんなことは、殆どの農家が理解できてますよ。
では、何故、そう上手くいかないのかと言えば、
・リピートブリーダーの存在
⇒何度も人工授精(AI)する牛は、一定数います。それに、受精卵移植(ET)もありますし、受胎率は、低くなる傾向にあります。
・採卵
⇒採卵する母牛も増えてきています。そうなると、母体に負担をかけることにもなりますから、分娩間隔は長くなる傾向になります。
・早産、流産
⇒受胎しても、早産や流産はあります。その分、分娩間隔は、確実に伸びます。
・妊娠鑑定+のはずが、空胎
⇒早産、流産が、分かれば、まだ良い方で、分からないこともあり、分娩予定日になっても、産まない牛が、カラだったってことも、あります。
・未経産で、リピートブリーダー
⇒出産したことがない牛の場合で、何度もAIすることが、ありますが、どの時点から、起算して240日とするんでしょう?
・高額で導入した母牛を早期に引退させられない事情
⇒高額で、買ってきた牛をそう簡単に諦めるわけにはいきません。少々、時間がかかっても、繁殖障害の治療をしたいものです。
などが、あるわけです。
生き物相手だからと、逃げるわけではありませんが、実際に、顕著な個体差は存在します。
それに、子牛の高値が期待できる系統(血統、掛け合わせ)の母牛は、できるだけ、長く頑張ってほしい気持ちもあります。
ですから、一様に、母牛を扱うことはできません。
この和牛業界における繁殖農家は、浪花節の世界だと、以前、ブログに書きましたが、母牛とは、10年以上も付き合うことが常です。
そりゃぁ、情も移るというものです。
少なくとも、その情というものが、牛飼いのエネルギーとなっていることを、きっぱりと否定できる農家はいないと思います。
夜中の分娩・病気・事故、極寒・酷暑、激安の競値、24時間体制・丸一日休める日は無し、牧草関連の作業、折れそうになることが沢山あります。
それでも、一歩前に、足を進めることができるのは、その情があればこそでしょう。
それでも、進めることができなくなったら、廃業です。


