今年はたくさんの想いがこの作品に残ったので いつもに増して長い!(笑)

つらつらとその想いを綴る

~まず SKFサイトウ・キネン・フェスティバルにおける【音楽】と【演劇】の一体というこの企画への想い~

SKFサイトウ・キネン・フェスティバル

この名称は今年最後になると情報が開示されていた





そして そのSKFにおけるストラヴィンスキー『兵士の物語』
この作品も今年が最後になるとの情報が上演初日から解禁された





2011年から今年2014年の4年間
この作品は上演された事になる

音楽と演劇など舞台芸術によるフェスティバルを目指す小澤征爾総監督と
串田和美まつもと市民芸術館・芸術監督が組んだ企画

クラシック音楽とオペラの上演実績はあれど いわゆる芝居という演劇がそこに入り込んだ企画
その企画上の初めての作品

そう 「初めての」と強調したい

クラシック音楽とオペラが中心のイメージを持つこのフェスティバルにおいて
演劇(芝居)に興味があった者が足を運ぶようになる
【音楽と演劇】もさることながらダンスの要素も初演からあり 
今年においては 王女のそのダンスは実に美しい本物のバレエで魅せてくださった
本当に素晴らしい取り組みで

かくいう私もこの企画でもって初めてSKFサイトウ・キネン・フェスティバルに足を運ぶに至った
そういう者が多く居るだろう
ストラヴィンスキー『兵士の物語』はSKFを楽しむ観客の裾野を広げるに大きく寄与した企画だったといえる

こんなに優れた企画
今後とも作品は変えても同様の企画が続いていきますようにと強く願う


その度に訪れる 松本の街も楽しみたいし~
そういう機会が与えられますように!



~SKFサイトウ・キネン・フェスティバルにおける石丸幹二さんという存在
まつもと市民芸術館のある松本という街について
そしてストラヴィンスキー【兵士の物語】への想い~


昨年 小澤氏が石丸さんに「これは続けていくんだよ」というような事をお話しになったと記憶している

そう まつもと市民芸術館・芸術監督の串田和美という存在があって
その串田さんと結果 幾度もお仕事をされるようになる石丸さん

『十二夜』『SKF兵士の物語』『空中キャバレー』『もっと泣いてよフラッパー』

そのどれをとっても串田ワールド
浮かぶキーワードは 演劇 潤色 音楽 自由空間 ファンタジー 笑い 笑いの中に潜む哀しみ 

どれも本物なのに 堅苦しくなくて ちょっとくだけたように感じる
あくまでも どれも本物なのにというところがポイントで
そこに石丸さんが存在している事は必然なのだと思う

本気で楽器と声楽を学び ミュージカル界の本気の世界へ飛び込み
芝居というものも着実に身につけていかれた舞台人としての石丸さんという存在
串田作品においてもSKFにおいても欠かせない存在なのだと強く思う

だからこそ思う&願う
これからも この企画に石丸さんが関わって続いていきますようにと

今迄に大満足し&これからに大きく期待して 今この想い
松本という街とともに大いに楽しんだこの4年間に感謝!!


そう この作品に石丸幹二さんがご出演になった事で 
石丸幹二さんも石丸幹二さんを応援する者も 

~夏はしばし松本の人となる~

がキャッチフレーズのようになっていた
そう 楽しかった~!

石丸さんを応援していて いつも思うの
石丸さんを応援する=石丸さんがご出演になる舞台作品を観る
→石丸さんにいざなっていただく作品との出会い

それを続けているだけで 初めての劇場に足を踏み入れたり
初めての土地に足を踏み入れたり
初めてのその土地の旨いもんをいただけたりと(笑)
たくさんの「機会」をいただいている

そして そのどの作品も
石丸さんが関わった(選ばれ&選んだ)ものにはハズレが無い
上質の作品ばかり
いつも観劇後 石丸さん!この作品に出会えて良かったね!と喜びと感謝の想いにあふれる

特にこの サイトウ・キネン・フェスティバルにおける『兵士の物語』は大好きな作品だった
大好きなまつもとという土地を訪れての観劇という大好きな空間でもあった

訪れる松本
流れる美しい水(湧水巡り)
大好きなホテル(そこでいただく最高の地産地消の朝食)
美味しいお蕎麦(幾つもね 笑)
時を忘れる温泉
整備されたサイクリングロード(そこを駆け抜ける爽やかさ) 
素敵なレストラン
松本城
歴史を感じながらも活気のある通り
美術館


そして
まつもと市民芸術館(その屋上にあるガーデンも大好き!) 

そこで繰り広げられる(クラシック)音楽と芝居(演劇)の融合

兵士と悪魔のやりとりから始まる この数奇な運命の物語
込められた寓意は深く怖く普遍的だ

作品そのもののイメージも普遍
ストラヴィンスキーの独特の変拍子
11人のカンパニー
指揮者の居ない空間での楽士達の息の合った演奏
楽士達も出演者のひとりとなる演出



その年々の感想は【My過去blog】にある

2103 サイトウ・キネン・フェスティバル2013 『兵士の物語』203/8/24マチネ&ソワレ

2012 サイトウ・キネン・フェスティバル松本2012 『兵士の物語』2012.8.5マチネ&ソワレ

2011 ストラヴィンスキー『兵士の物語』 20110824 ~マチネ&ソワレ 本編~


2011年&2012
2013年&2014年と途中で演出は変わったけれど

2011&2102は実験劇場という空間を利用した背筋も凍る息をのむラスト

昨年からは演出を串田和美版として 今年もその大筋は変わらず再演
ストラヴィンスキー「兵士の物語」という同作品を上演し続けた

石丸幹二さんが201年には[兵士]役で 2012年[語り手]役でご出演になった時
これは 石丸さんが[悪魔]役をやった時 この作品に一区切りつくのかなと半ば笑い話で語っていたのだけれど…

今後いくばくか時が流れて この作品の[悪魔]役を石丸さんが担いされるような事があったら…
そういう事も本当にあるやもしれない
それぞ 役者をやっている面白さ 石丸さんを応援している面白さというものを観るに至るのだろう
そんな想いも馳せながら




~【兵士の物語】2014の感想~

作品そのものへの想いや感想は私も普遍なので上記のとおり
あくまでも 今年の在り方と雰囲気について記録

出迎えてくれるお馴染の看板




まつもと市民芸術館




上演スケジュール




毎回同じ感覚になる ここは夢と現の境界線!
異空間へといざなわれる道




エントランスには今迄の上演作品リスト(パネル)




小澤さんも!




そして あった!
昨年の『兵士の物語』2013パネル!!




カードゲーム~「兵士」の持つお金を全て「悪魔」に渡してしまおう作戦~のシーン




「勝負をする」→「悪魔が勝つ!」

「勝負をする」→「悪魔が勝~っつ!」


今年のこのシーンの「間」
石丸さん! 絶妙でしたね~
緩急というか 緊迫と弛緩(安堵)のあの瞬間がたまりませぬ
カンパニーのまとまりを強く感じた今年のこのシーン


首藤さま
貴方の存在は この『兵士の物語』になくてはならないものでした
朴訥とお喋りになる首藤さん
身体表現のみで情感を伝える首藤さん
その差が大きければ大きいほどファンタジー感が増すのですよね
素敵でした~









サイトウ・キネン・フェスティバル松本+まつもと市民芸術館 共同制作
ストラヴィンスキー:「兵士の物語」 


<上演スケジュール>
8月21日(木) 19:00開演
  23日(土) 13:00開演/18:00開演
  25日(月) 19:00開演
27日(水) 14:00開演

<会場>まつもと市民芸術館・実験劇場(長野県松本市)

<芸術監督・演出>串田和美
<音楽監督>松原千代繁

<出演者>
語り手:石丸幹二
兵士:首藤康之
プリンセス:渡辺理恵(東京バレエ団)
悪魔:串田和美

ヴァイオリン:郷古廉
コントラバス:谷口拓史
クラリネット:吉田誠
ファゴット:小山莉絵
トランペット:只友佑季
トロンボーン:今村岳志
パーカッション:安江佐和子



今年のカンパニーは演じ手を2人 楽士を2人 替えて

前述どおり昨年と大筋は同じなのだが
何せ 串田版
昨年はご出演ではなかった串田さんが「悪魔」役としてこの舞台に帰ってきた

そうすると どうなるか
完全なる串田作品・串田ワールドになる

変拍子のストラヴィンスキーにあれほど強烈な和製ラップをかませて平気で存在する(むしろ笑いを得る)のは串田和美だけだろう(笑)

この方 舞台人として天才なのだろうな

ある意味唯一無二で ある意味卑怯だ
どんな作品でも串田和美の可笑しさに包まれてしまう(終始するとも言う)

吉本新喜劇のような安定の面白さともいうし やりすぎるとお腹いっぱい感あり
これ以上はもういいかもしれない
最高の状態での引き際かもしれない

総じて 今年の『兵士の物語』をどう感じたかというと

まつもとでのSKF
現実に戻り 仕事とコーラスという日々を幾日か過ごしても
やはり あの日 観劇後に台風8号の被害から復旧した「特急しなの」に乗車し帰路につきながら
友にメールにて送った感想 そのまま
ゆえに そのままをここに置く

今年の『兵士の物語』
寓意感の薄れた何でもありの
串田作品独特の祝祭感迄ありーのの昨年の演出から

余分を削ぎ落とした
串田作品らしいのに寓意もしっかり感じられる
良い作品になっていた

串田さんが関わるものとしては落ち着くところに落ち着いた感じ
いや~ 観て良かった



串田演出版再演の今年
変化は 劇場内の客席

左右にロイヤルバルコニー席なるものが追加席として設けられていた

チケットは好評完売の様子だったので 追加席が設けられたよう
 ちなみに大仰な席名ではあるけれどお座席料金は同じ(笑)
何がロイヤルって 着席されるお客様がロイヤルになるのね~
ええ 「王冠を被ったにわかロイヤル化したお客様」がお座りでございました(笑)


開場時刻と共にいわゆるホワイエは(といってもチケットもぎりを終えて客席に入る迄の空間は非常にせまくロビーからは丸見え 笑)何やら始まるらしい音楽に加え串田和美さんの録音?アナウンスが流れる(姿は無い)
わやわやと集まる観客を前に呼び込みが始まる

(今年は近藤さんや内藤さんはおられなかった)
今年の呼び込みのメイン進行は小西さん!

どうやら兵士のようだ
4名の兵士が頭に戦闘ヘルよろしくお鍋を被り寸劇は始まる

そしていよいよ楽士達の登場

ええ~!!

思わず声を上げてしまった!

今年4回目を迎えるSKFにおける『兵士の物語』

石丸さんは役替えはあったものの4回共に参加されている
楽士の中にもそういう方がある中にあって 昨年のみご出演ではなかったところの
その成長ぶりが楽しみだったヴァイオリニスト郷古簾さん

と~っても大人になってる!

当たり前か~
そういえば我が家にも同じ年頃の息子が居た(笑)
学年は郷古さんが一つ下になるけれど 同じ1993年生まれ
その息子に向かい 姉(である私の娘)が先日こう言った
「なんや えらいおっちゃんみたいになってきたなぁ~(笑)」

この会話を傍で聴いていて爆笑した(笑)

いえ
郷古さんがおっちゃん化したと言うのではない
郷古さんはちゃんと大人の男性への階段を登っている(笑)

郷古さん 相変わらず雰囲気があるなあ
その世界観 持ち続けてくださいね~
演奏は変わらず 静かな雰囲気なのに心根の深いところで息づいている何か熱いものを感じる
とても繊細で丁寧
好きだな こういう雰囲気をまとっているアーティスト

ただ 2011&2012年に感じたような 痛いような鋭利な繊細さは薄れていて
より丁寧(真摯)になったというのか
さあ この方 どんなヴァイオリニストになっていかれるのか
うん
目が離せないな!



石丸さん演じる「語り手」は事前に告知されてしまった通り「胡散臭さ倍増の語り手」としておられた
~少々いにしえの異国の物語~と ねっとりと物語を始められた

マチネは語り手の石丸さんが良く拝見出来るお席
あのお紅茶は本当に飲んでおられるのね(水分補給にもなるものね)と分かったり

ソワレは 銀橋の中央にて「鼻がひしゃげた男」の語りの際
そのお顔が良く拝見出来るお席だった

アスカム先生効果の低音は胡散臭さを倍増させていたし
この声色も含めて 今年は今年しかないこの作品の世界観でもあった

兵士役首藤さんは 前述のパネルの際に置いた感想と共に
ソファーに身体全体を預けるシーンが2度あるのだけれど
そのお姿が まぁ ため息ものの美しさで
その所作と言うのか 弛緩の様はバレエダンサーならではの美しさかと!
プリンセス役の渡辺さんと共に(この方 現役のバレリーナなのね)バレエの本物の優美さを魅せていただいた
石丸さんを応援するお仲間さんで大変なバレエ好きの友が居るのだけど
彼女がバレエを好きな理由というのが分かったような…

作品全体としては昨年感じられたバタバタ感が薄れ 前半は何とも言えない心地よい「間」があった
極上の芝居を観る時に感じられる あの「間」だ
カンパニーとそこに居るひとりひとりの役者等が充実している時に その作品に流れる 
あの「間」

串田ラップが登場すると なんだかそれも崩れる いや もとい 変拍子になるのだけれど(笑)

悪魔扮する老人が言う
「オレもひとつ お前もひとつ 平等だ」

そう あれもこれをも持とうとする時 悪魔の魔法がかけられる

これに対して 自分に問う
あなたはどうですか?

極論で言うと ~明日死ぬような事があっても構わない~

決して世捨て人の考えではなく
現状(今の幸せ)以上に何を望むのか
私の人生 おまけのおまけにもひとつおまけの付いたもの
毎日が感謝

そう思う事は それ以上の進歩が無いのかな?
そんなふうに戒めるような気持ちも持っていたのだけれど
いやいや それでいいのだよって言っていただいたような気持ち

これからも(まだまだ観劇においては欲張りではあるけれど 笑)シンプルに生きていきたいな
そう 想い これでいいのねと感じた

多分 観る年代 置かれた立場等で それぞれに感じる事のあるこの作品
この4年間 その時々に色々感ずる事があり 時々の気持ちをここに置いてきた
その事そのものが私の宝物
出会う事が出来て本当に良かった!

ありがとう!!

そうそう
今回の松本にて すれ違ってもフォトに収める事のなかった こちらの水玉バス
草間弥生バス







今年はすれ違う時に 慌てて乗っていた自転車を降りて撮影!(笑)

まつもとを訪れる事は 
今後とも串田さんと石丸さんという存在とご縁がある限り まだまだあると期待するけれど

昨年 訪れたこちら
~信濃路つれづれ・松本市美術館『草間彌生 永遠の永遠の永遠』~ 20130720  

草間彌生さんへの印象が随分変化した機会だった

するとどうだろう
このバスもとても愛しく思えて!

これも今年の松本の想い出!