先日は、
にて構図とパースについて書きました。
写真や動画を撮影する際には構図を決めますが、絵を描く場合にも用紙内のレイアウトや構図を決める必要があります。今回は、その構図について書こうかなと思います。
目で見えるものには状態が存在しますが、現実世界の出来事は時間単位で変化しますから、同じ状態は維持されません。そのため、ソレを残そうと思うと、記録することになりますが、その際に 【 見た状態 】 を残すことになるので、 【 どのように見たものなのか 】 を決める必要があります。この際に、視点の先の状態を矩形に切り取って残すことになりますが、
■ 写真
■ 動画
の場合は、レンズを使いますから、焦点距離によってパースが変化するので目で見た状態と同じものになるというわけではありません。この辺りは、更に違う側面があるので、これについては別の機会に書こうかなと思いますが、 【 カメラだけだと再現できないものもある 】 わけです。
写真や動画についての誤認として 【 フィルムは取ったものが出てきている 】 というものがありますが、現像工程でコントラストなどの調整をしますから、RAWの状態だと現在では一部のスマートフォンのアプリでもLOGのような状態になっています。流石に、これをそのまま渡されたら撮った本人も驚くはずですから、そうならないように現像で調整をして仕上げてあります。つまり、 【 RAW現像のような処理は現像を行っている店舗が作業をしてくれている 】 ので 【 LOGのようなのしか撮っていないのにきれいに仕上がっている 】 わけです。
フィルムでカラーがそのまま仕上がると言う間違いは、ポラロイドカメラとフィルムの区別がついていないレベルで虚偽が流布されて盲信されている状態だと思いますが、フィルムとポラロイドカメラでは全く異なるので、同じ結果になりません。
例えば、高感度フィルムで撮影した写真は通常の低感度で適正露出を行った際のものとは異なり、ノイズが無い代わりにドットがあって凹凸のある写真としてプリントされます。これがフィルムしかない時代の高感度フィルムで撮影した写真のプリント結果になりますが、これは、手作業で色が破綻しないように高感度ノイズを消したものなので、ネガをスキャンしてトーンカーブを反転させて等倍で見てみると全く異なる状態に鳴っています。
そのため、 【 現像とプリントを刷る人に依存した処理方法 】 なので、現像とプリントを自分で行う場合、 【 同じ工程で行うことになる 】 ので、微細な座標制御を面相筆で行って色彩を合わせる必要があるので、カメラだけ触っている状態だと同じ結果に仕上げることは出来ません。そのため、フィルムは 【 技術を持った現像屋さんの作業によって成り立っている 】 のでカメラとフィルムと撮影者だけで完成するようなものではありません。
時々、カメラは撮影したものだけで完結するもののような間違いを目にしますが、これができるのは
■ ポラロイドカメラ
■ デジタルカメラ
だけですから、フィルムでは必ず 【 現像の工程 】 が生じるので、ポラロイドカメラのようには行きません。
そのため、ネガがあれば綺麗な状態になっているというのは間違いで、その状態で撮影できるのは 【 現像と撮るのがが難しい ”リバーサルフィルム” の話 】 になります。
リバーサルフィルムは、動画のフィルムを写真に持っtきたような仕様のものですから、仕上げるとカラーのフィルムが出来上がるのですが、 【 ランニングコストが高い 】 のと、昔だと現在のようなデジタルで見るということは不可能なので、 【 プロジェクターで投影する 】 と言う方法しか存在しないので初期投資が高額になるので、通常のカメラ以上に一般的ではなかったわけですが、基本的に 【 レンズ付きフィルムもネガフィルム 】 なので、 【 現像しないと仕上がらない 】 ので、撮ったままで綺麗に仕上がるようなものではありません。
■ 視点の選択
■ 状態の指定
の2つで成り立っていますが、撮る前提として 【 状態が完成していること 】 が必要になりますから、カメラ以前に、セットの状態を作る必要があります。ソレを決めたあとでどの視点でどのように撮るのかという 【 フレーム内の状態 】 を決めることになります。
この場合、建物のように光の状態以外は定数化したものを前提に考えると解りやすいのですが、この場合、対象物は確定しているので、証明の状態がどのようになるのかで表情が変わります。
これを静物デッサンに置き換えると
■ モデル : 定数
ですから、 【 そのモデルがどのように見えるのか 】 を指定する必要があります。
カメラで撮る場に光の状態を決めることになりますから、 【 ライティング 】 を行うことになるので、 【 光の方向と状態 】 を作ることになります。風景を撮る場合だと、自然光の作った条件のみなので
■ 環境光
■ 反射光
で状態を作ることになります。とは言っても風景だと人がこれを変更する事は出来ませんから、 【 光の状態を探す 】 事になります。
光については、
の中で触れていますが、これが環境の状態のになります。
そして、その状態をどこから見るのかを決めることになりますが、これが視点になります。
視点については、
の中で触れていますが、
これを決めたあとにカメラを使う場合には、環境によって明るさが変わってしまうので、
の中で触れていますが、ブラーなどは形状の変化などは、シャッタースピードの変化で生じたものになりますが、絵の場合だと形状でしか再現できないので、色彩の変化と形状の描写でその状態を作ることになります。
絵の場合、
■ レンズ
■ カメラのボディー
で行う
■ 焦点距離
■ 露出
のコントロールを
■ パース
■ 色彩の変化
■ エフェクトの描写
で再現することになりますが、基本的な 【 構造の考え方 】 は撮影と同じになります。
描くときにはデスケルのように枠の中で切り取って必要な部分を描くことになりますが、このフレームの中の状態が
■ レンズ越しに見た世界
■ 肉眼で見た世界
のどちらを使用した物なのかで見え方が違ってきます。肉眼の場合単焦点レンズなので、奥行き感が変わってきます。写真の場合、 【 広さ 】 というワーキングディスタンスでコントロールできるものが焦点距離の変化のような間違いが吹聴されていることがありますが、レンズの焦点距離の変化は 【 物理現象によって生じる ”奥行きの変化” 】 になります。
これが、 【 焦点距離による距離の圧縮・伸長効果 】 になりますが、ズームレンズを用意するだけでこの状態変化は確認できるのでレンズが異なれば世界の見え方も違ってきます。
絵でこれを再現する際には、中学校の美術で学習する透視図法を用いることになります。
絵を描く場合、
■ 見た物を再現する
■ 脚色を入れて良くする
■ モチーフから考えて描く
と言う方法がありますが、肉眼でみたものをデッサンのように仕上げるだけだと対応できないものもあります。例えば、
のように湾曲させたものは見えませんし、魚眼のように距離の伸長効果が生じるものも人の目で得ることが出来る情報だけだと描くことが出来ません。
また、
のような構図も描けないので、見たままの再現だと描けないものもあります。
レンズの場合、
のように
■ 糸巻き型歪み
■ 樽型歪み
のような変化が所持ることがありますが、絵の場合はレンズの制約を受けないので
のように歪めたり
のようなグリッドを用意して
のような感じで描く事も出来ます。絵の場合、自由度が高いので
のように垂直と水平が影響の受けている描き方もありますが、これをパースが狂わないように描く技法も存在しています。
中学校では透視図法っを学習しますが、基本となるのは消失点と距離の関係性の理解と奥行きによって物が小さく見える状態をコントロールする方法になりますが、消失点をコントロールすることで自由度の高い使い方が出来るようになります。
透視図法を使う場合、 【 見ている人の視点の高さ 】 である 【 アイレベル 】 を決めることになりますが、これが、見ている人の視点から水平に伸びるラインになります。
基本的に、 【 消失点は常にアイレベルの上に来る 】 ので、ソレを使うと水平方向の変化を扱うことが出来るようになります。
例えば、
のような感じの使い方になりますが、この事例では、
のように3つの消失点があり、
のようにオブジェクトが変化しています。これが消失点の位置を変えたときの状態の変化になりますが、パースの線の流れを見ると、 【 道が曲がっている 】 ように見えると思います。これが、 【 曲がった道を描くときのパースのとり方 】 になります。
のような状態だと
のように 【 曲がった場所から角度を付ける線を引きパースを取る 】 と曲がった道を描くことが出来ます。
透視図法を使うと
のような表現が出来ますが、構造物によって透視図法が変わってきます。例えば、角が正面を向いている場合には二点透視図法になり、面が正面にある場合には、一点透視図法を用います。この透視図法も 【 複数の消失点を持つ透視図法の中で必要な状態を指定しただけ 】 なので、基本となるのは 【 三点透視図法 】 になります。
流石に、いきなり三点透視図法と複数の消失点を使った画法を学んでも理解しにくいので、中学校の美術では、 【 消失点が複数発生しない画法 】 を学習します。そのため、奥に抜けていくような空間を描く時に使用する 【 一点透視図法 】 から学習することになります。
一点透視図法ですが、
のように横方向の変化で曲がりを表現するだけでなく、高さ方向に消失点を移動させると高低差の表現が出来ます。
そのため、坂道の表現をする場合には、アイレベルをx軸と考えた場合、y軸方向の座標の変化を追加することになります。
このように透視図法を用いる場合には、
のように水平方向と垂直方向に消失点を設けることで
■ 曲がり
■ 高低差
を再現することが出来ます。このように基準となる消失点とは別の向きに消失点を用意してパースの制御が出来るので、一点透視図法の場合には、 【 相似の三角形を作れば同じ高さを取得できる 】 ので、
のように位置の異なる場所に同じ高さの物を描く場合、参照元と描く場所のグリッドのセンターから垂線を伸ばして、高さを出して、その場所からセンターと高さの頂点でできた底辺を持つ相似の三角形が出来るようにラインを結べば、消失点を頂点とした三角形が出来ます。
一点透視図法は、 【 相似の三角形の底辺の長さで距離の異なる同じ高さを再現できる 】 ので、
■ 位置
■ 高さの情報
を用意しておけば、絵の中のパースの消失点を参照するだけだと、並行に移動する(マンハッタン距離的な制御)ことで再現することになりますが、この方法を用いると、消失点の異なるパースを取る(この状態だと、ユークリッド距離的な処理)ことで再現することが出来ます。
絵を描く場合、写真を複製して、直線部分にラインを入れていくと視点と写真の構造がわかるのですが、ラインを引いてみると
のような感じで、任意の消失点に向かって線が伸びていると思います。肉眼で見て描くスケッチの場合、このラインの流れなどを確認しながら描くと形の整合性が取れるのですが、デジタルのようにレイヤーを重ねてラインを引いても大丈夫なものの場合、こうした構造解析をしてみると消失点と絵の構造の状態乗り会を深めることが出来ます。
絵については、色々な技法がありますが、
鉛筆と表現
画材をいきなり集めるとなると初期投資が必要になりますが、筆記用具だけでも絵を描くことは出来ます。そこで、今回は、使用頻度が高く馴染みのある黒鉛(グラファイト)について書こうかなと思います。
黒鉛(グラファイト)で描く
黒鉛は筆記用具で使用しますが、黒鉛を使った筆記用具だと
■ 鉛筆
■ シャープペンシル
があります。前者が側面を使えるものになっており、後者が太さを維持して使用できる画材になっています。そのため、
■ 面と線を描く
■ 安定した太さで線を引く
別途用意するもの
階調のコントロール
鉛筆の硬度
筆記用具で絵を描く場合
筆記用具で絵を描く場合、手持ちの芯の硬度がどの程度のものなのかで出来ることが変わってきますが、鉛筆に白はないので、 【 白色は空白で使用する 】 ことになります。この辺りはアクリルガッシュや水彩の上に乗る絵の具の白を使ったレタッチを行わない透明水彩と同じですが、鉛筆で描く場合、 【 グレースケール 】 で考えることになるので、中間色の変化で状態を再現する事になります。
コピー紙の注意点
今回もコピー紙に描いており、Panasonic Lumuix DMC-TZ85で撮影しています。