日本の大地震を受けてリスク回避
リパトリによる円買いが活発化
3月12日(土)15時47分配信 フィスコ
■日本の大地震発生・株安でリスク回避の円買いに81円台で引け
ドル・円は、3月期末決算に向けたリパトリ(本国への資金還流)に絡む円
買い圧力、
中国人民元の強含み推移などを受けたドル売りで81円95銭へ下落後、
メドレーレポートで米FOMC声明の「超低金利政策を長期間維持する」
との文言削除の可能性が指摘されたこと、原油価格の反落を受けたドル買いに83円17銭へ上昇。
米1月貿易赤字の予想以上の拡大、
「サウジ警察がデモ隊に発
砲」との報道を受けて中東情勢の混乱拡大への警戒感が強まり
82円78銭に反落後、日本の大地震の発生で円売りが先行し83円30銭まで上昇。
だが、日本
のほか欧州の株安を受けてリスク回避の円買いに転換、
リパトリの動きが強まるとの観測も浮上し81円65銭まで下落。
■リスク回避・リパトリの円買い先行、米FOMCで転換も
今後のドル・円は、日本の大地震を受けた株安・リスク回避の円買い、
リパトリ(本国への資金還流)の動きが強まるとの思惑による円買いが続くのかどうかが焦点になる
(実際に3月決算に向けたリパトリの円買い需要はあるが)。
ただ、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で出口戦略への動きがみられれば、
ド
ル買いの強まりによりドル・円が押し返される可能性がある。
日銀金融政策決定会合は14日のみの開催となったが、
大地震による景気の腰折れ回避の姿勢をみせる可能性があるかもしれない。
米経済指標では、3月NY連銀製造業景気指数(15日)、
2月生産者物価指数、2月住宅着工件数・住宅着工許可件数(以上16日)、
(米)2月消費者物価指数、3月フィラデルフィア連銀業況指数(以上17日)
など重要指標の発表が集中しており、結果が注目される。
ドル・円の基本的な国内需給では、
3月決算に向けたリパトリ(本国への資金還流)に絡む円買いの動きが最も活発化しそうだ。
輸出企業のドル売りオーダーも引
き続き83円台から84円台にかけて控えている。また
80-85円レンジのオプションもあり、85円手前ではオプション防戦のドル売りが強まる。
一方、81円台では海外短期筋の利食いのドル買いが強まり、
81円50銭以下には本邦機関投資家や輸入企業のドル買いオーダーが残る。
80円00銭にはオプションが集中しているとみられ、
80円手前でのそれらの防戦のドル買いが相当強まる可能性が高い。
日銀金融政策決定会合が14日に開催される。
当初14-15日の予定が14日のみに短縮された。日本は依然としてデフレ脱却が大命題であり、
今のところ円高
進行が一服している状況では、基本的には金融政策(包括的緩和)の現状維持、
政策金利の据え置きが継続されるとみられる。
ただ、大地震の発生を受けて、景
気への影響を考慮する姿勢をみせる可能性も考えられる。
15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
焦点は、今年の投票権保
有者にタカ派が多いといわれるなか、
現行の緩和政策に対する反対票が復活するのかどうか。
また、量的緩和第2弾の期間短縮や規模縮小の示唆はあるのか。
FOMC声明の「超低金利政策を長期間維持する」との文言の削除はあるのか、など。景気認識も注目される。
参考材料としては、1-2日のバーナンキ米FRB議長の議会証言では、
米経済の回復を認めつつも、雇用の回復ペースには満足できないとする従来の見解が繰り返され、
量的緩和第2弾の今後についての示唆はなし。
7
日の時点におけるFOMC投票権保有者の発言は、
フィッシャー米ダラス連銀総裁が「第2弾量的緩和の早期終了に投票する可能性も」、
一方、エバンズ米シカ
ゴ連銀総裁は「量的緩和策を縮小する必要性は見られず」。
投票権はないが、ロックハート米アトランタ連銀総裁は
「経済がまた悪化すれば、第3弾量的緩和策
導入の可能性も」と述べている。
2日発表の米地区連銀経済報告では、「経済活動は緩やかに拡大継続」との見解が示され、
「雇用市場は緩やかに改善」として雇用にやや上向きの見方。
そして、4日発表の米2月雇用統計は改善(失業率が予想外の低下で9%割れ、
非農業部門雇用者数は19万人台の増加)。
今後の主な予定は、米国が13日から夏時間入り。
14日(月):(日)日銀金融政策決定会合(15日まで)、
15日(火):(日)日銀政策金利発表、白川日
銀総裁会見、(米)2月輸出入物価指数、
3月NY連銀製造業景気指数、1月対米証券投資、3月NAHB住宅建設業者指数、
連邦公開市場委員会
(FOMC)、
16日(水):(日)1-3月法人企業景気予測調査、3月日銀金融経済月報、
(米)10-12月期経常収支、2月生産者物価指数、2月住宅
着工件数・住宅着工許可件数、
17日(木):(日)1月第3次産業活動指数、(米)2月消費者物価指数、
2月鉱工業生産・設備稼働率、2月景気先行指数、
3月フィラデルフィア連銀業況指数、
18日(金):(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(2/14-15)。
[予想レンジ]
ドル・円81円00銭-83円50銭