先日の樹木診断で樹木医さんたちと
園内を廻ったときに
3本並んで植栽されている
ヒメリンゴの1本が
葉もまばらで
倒れそうに弱っていたのですが、
残り2本のヒメリンゴも含めて
葉には赤茶の斑点がたくさんついていて、
赤星病とのこと。
この赤星病の原因が
なんとも興味深いんです。
ヒメリンゴの両端に
カイヅカイブキが植えられていますが
このカイヅカイブキが
赤星病の原因なのだそうです。
どういうことかというと、
赤星病の病原菌(ビャクシンさび病菌)が、
リンゴ、ナシなどのバラ科の果樹と
カイヅカイブキなどビャクシン類の間を
往復寄生するためだというのです。
検索してその生態が詳しく書かれていたのがこちらでした。
○発生生態
本病菌はビャクシン類、ネズ類の葉上に現れた赤褐色の舌状のもの(冬胞子層)が4月上中旬に成熟し、雨にあえばいつでも胞子を形成できる状態になる。冬胞子層に十分な雨がかかると膨らんで寒天状となり6、7時間後に胞子ができはじめ、雨中に風にのって飛散し、ナシに到達する。胞子は5時間以内に侵入し、10日後に病斑が現れる。降雨量が少ないと胞子はできず、次の降雨まで静止している。
ナシへ伝染する範囲はふつう2kmくらいである。また、葉は若い葉ほどよく感染し、展開後2〜3週間たった葉は感染しなくなる。6〜7月にナシの病斑上に胞子をつくりビャクシンにうつって越冬し、翌春冬胞子層をつくる。
簡単にいうと
赤星病の病原菌(ビャクシンさび病菌)は
カイヅカイブキの葉上で4月に胞子を飛ばし
その胞子がリンゴの葉に感染し
こんどは
6〜7月にリンゴの葉上で胞子を作り
その胞子がカイヅカイブキに移って冬を越し
再び4月に胞子を飛ばし・・・
いま流行りの2拠点生活ですか!
菌の立場になってみると
初夏から冬の間はじっとカイヅカイブキで暮らし
春のヒメリンゴの芽吹きをひたすら待つ。
開葉してやわらかな葉は
格別のごちそう。
葉が大きく育ってからでは
もう美味しくない。
ひたすら春を待つ、
ほかの生き物同様に。
ちなみにカイヅカイブキ自体にとっては
特に害はないといいます。
そして
雨の力を借りて胞子を作り
雨中に風にのって飛散する!
しかも伝染する範囲は2km!
自然界には
不思議だらけの
目に見えない別の世界が
どこまでも広がっているんですね!