久しぶりの青空です。気持ちも晴れてきますが、やや風邪気味で朝の稽古はやめておきました。
さて、そこで、
先日、種の役目は子孫を残すこと、いえそれと同じくらいの使命が他の生物に食べられること、
ではないかと思った次第ですが、その考えに味方してくれる本に出会いました。
その本とは、『生物に学ぶイノベーション』サブタイトルは「進化38億年の超技術」の中で。
現在地球は昆虫の惑星と呼ばれているほど、昆虫がその種類といい数といい他を圧倒しているのですが、その能力を人間世界に取り入れることで、例えば
⚪️昆虫の鳴き声によるトラウマの治療
⚪️粘菌の動きをまねた自律型ロボットの開発
⚪️ハエを用いた画期的なリサイクルシステムetc.
など新技術の研究や開発が急速に進展しているという、とても興味深い内容でした。
その中で、クマと鮭の話が出てきます。
以下要約です。
場所はカナダのバンクーバーの森。
森を流れる川には毎年鮭が遡上してきて、森に住むクマたちは、その鮭をエサとして捕獲し、冬眠のための栄養のほとんどをそれに頼っている。こうしたクマのあとを追って森の中に入っていくと、たくさんの食べかけの鮭の死骸が、大きな木の下などに捨て置かれていることに気づく。
このことについて、「クマたちはある意図を持って鮭を森に運んでいるのではないか」という仮説を立て、鮭とクマ、森との関係を調べた研究者がいた。
すると、クマは捕獲した鮭のほとんどを食べず、森に残していた。その残った鮭を誰が食べているかというと、森に住む鳥や昆虫などだということがわかった。
「もしかすると草や木といった植物も、こうした死骸から栄養を得ているのではないか」
この仮説を裏付けるため、木の幹の成分分析に着手した。
分析の結果、なんと鮭の栄養によって木の成長が二倍以上早まっていたことがわかった。
クマは紛れもなく、海の栄養を山に運んでいたのである。
クマが鮭を通じて森の栄養を育めば、樹木は順調に成長し、根をしっかりはることで土壌を豊かに育み、その土壌を通過する雨水は豊かな水となり、それが川へと流れ込み鮭の幼魚にもたらされる。鮭が無事に増えると、それを糧とするクマもまた子孫を増やすことができる。
その循環のメカニズムをクマは知っている。だからクマは鮭を森に放つ、としか思えません。
コナラが大量のドングリを落とし、微生物や虫や数多の動物の命の糧となり、それが生物の多様性に繋がって豊かな森になっていく、という循環と似たものを感じてしまいました。
(写真はイメージとして使用してあり、文章とは直接関係はありません)