ロウバイ 実生をみっけ! 種の役目はなんでしょう? | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

今朝の気温は5.1℃。曇天なので寒く感じられます。このところ太極拳への参加者も少なくなりつつり、冬眠派もいらっしゃるようです。

またまたロウバイに関してです。
一昨日は種について知りたくなって実を割ってみたわけですが、ふと、もしかしたら実が落ちて・・・というケースもあるのではないかと思い立ち、再度ロウバイのもとへ駆けつけてみました。

5本ほどある木のうち、なぜか1本の木にだけたくさんの実がなっています。


その下を見ると、南京豆の殻のような、繊維が残った実がいくつも落ちています。やっぱり!
軽いのに雨にも流されずに、とどまっていました。
たぶん今年の実でしょう。昨年だとしたら繊維も朽ちていることでしょう。


中に種は入っているのでしょうか。繊維状の殻を破ってみると、中には種がちゃんと入っています。
ということは、どこかに実生(種から出た苗)があるのでは?


あたりを見回すと、葉の形は成木とはまったく違うのですが、これがなんとなく怪しい。


ここにもあります。葉が肉厚で、周りの草とは明らかに違う雰囲気です。


ほらっ、またありました。


たぶん今年の実の種から育った双葉でしょう。でもこれ以上大きく育った昨年のとか一昨年の苗は見当たりません。

他の木でもよくあることですが、親の木の影になって日照不足で育たないのかもしれません。あるいは日照は確保できたとしても、親の木の下では親が排除してしまうのかもしれません。
よくいわれている「親個体傘下排除説」。つまり親の下では大きくなるスペースが確保できないので、親が子を排除するホルモンのような物質を出していると考えられています。

では、なぜロウバイは実を下に落とすのでしょう。

無駄なことをしているのでしょうか。

いえいえ、ほらっ、この穴。虫が食べたんです。ちゃんとだれかさんの役に立っているんですよ。


ドングリがそうでしょう。こんなに山ほどの種を落としても、芽が出るのはほんの数本。その数本も一年以内には枯れてしまいますが、だからってドングリは無駄になったわけではない。虫たちや菌類の食料になっているんです。その虫は小鳥が食べ、小鳥を猛禽類が食べ、菌類は実を分解して無機質の状態にまでし、やがてそれらは根から吸収されて木の栄養となる。


で、種の役目ですが、子孫を増やす為? それだけではない気がこの頃しきりとします。子孫を増やす、それと同じくらい大きな役割が、他の生き物に食べられること。仕方なく食べられているというより、むしろ積極的に食べられている。我が身を提供している。そんな気がしてなりません。