2/9NHK短歌。テーマ「春」、選者は俵万智さん、ゲストは安田登さん(能楽師)、司会はヒコロヒーさん。
1956年(昭和31年)千葉県生まれ。大学で中国文学を専攻し千葉県の高校教員になる。27歳の時に、ワキ方の重鎮・鏑木岑男氏の謡に衝撃を受け入門。小学生から大学生までの創作能や特別授業、朗読ライブも公演、指導している。「天籟能の会」主宰、寺子屋「遊学塾」主宰。米国Rolf Institute公認ロルファー(身体のバランスを整えることを目的としてアメリカで生まれたボディワーク)の一員。
「高校時代(市立銚子高)には漢詩ばかり読んでいた。国語の授業の時、短歌を詠めと言われて作った時に、お前の短歌は漢字が多すぎると言われた」(安田さん)
その時の短歌↓
★盲目の猫轢殺の如弾劾せよ顎(くび)掠めつつ飛ぶ繊月(つき)の匕首 安田 登

◎入選歌
★雪国は逃げてはじめてふるさとになる ちぎり絵のようなぼた雪 アメリカメリーランド州 毛糸
★飛び石の最後であなたが待っていて抱きとめられに行くよ三月 兵庫県西宮市 青木菓子
    ↑ 特選一席。
★春の日を蹴散らしてくる流鏑馬のように迷いのない恋だった 岐阜県可児市 前川泰信
★この春に時給が上がるときいて今からだのなかに温泉がある 石川県金沢市 高原すいか
★菜の花はお金で買える春だから出会えば迷わずカートに乗せる 神奈川県逗子市 久家雅子
★あたらしい街で自転車買ってから坂の名前を覚えはじめる 神奈川県横浜市 久藤さえ
★春先まで着られる服を買ってみる先があるのは春だけだから 東京都世田谷区 大岩真理
    ※「春先」はあっても「夏先、秋先、冬先」とは言わない。
    ↑ 特選二席。
★春になる少し手前に年をとる母は百年くり返してる 北海道札幌市 村田英俊
    ↑ 特選三席。
★自転車で桜吹雪へ斬り込めばリップグロスにひとひら留まる 青森県青森市 麻倉 遥
 ※リップグロス=唇に艶を持たせるために、口紅の上に重ねて使う。 

入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」4月号に掲載されます。次回投稿は、新選者、荻原裕幸さんへ ↓
◎「『光る君へ』で短歌を10倍楽しむ」
★人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける 紀 貫之
    【万智訳】人間の心はどうか知らないがふるさとの花の香り変わらず

この歌も漢詩が元 ↓
◎ゲストの安田登さんが、俵万智さんの「サラダ記念日」の中で、古典を踏まえて気に入っている短歌2首。
★ゆく河の流れを何にたとえてもたとえきれない水底の石 俵 万智
 ※「方丈記」をたとえながら最後に現代的なものを入れていく。
★あいみてののちの心の夕まぐれ君だけがいる風景である 俵 万智
    ※「あひみてののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」 という和歌がベース。『拾遺集』権中納言敦忠。
◎「ことばのバトン」
 ↓引き継ぐのは絵本作家のまつむらまさこさん。
八ヶ岳に夫婦で図書館えほん村(絵本専門図書館)館長。

◎再放送は、2/13(木)午後2:10〜2:35。