一本のロウソクに灯がともり、

8畳の部屋はゆっくりと、静かに明るくなっていった。

 

神々達の対談がはじまる合図だ。

 

 

※<神々達の対談とは>

それは、自由のはじまりの地、松下村塾で
吉田松陰が様々な偉人達を招き、日本の未来を語る。
そんな、不思議な不思議な物語である。

 

 

はい、どうも。吉田松陰です。

いえ……。あの吉田松陰です。

 

今日も、この時間がやってまいりました。

調べてみると、一年ぶりの神々達の対談らしく

作者に、いささか憤りを隠せないでいるのですが、

頑張りたいと思います。

 

松陰は静かに2本目、3本目のロウソクに灯をともすと

スゥっと息を大きく吸い込み、「エイッ」と鼻毛を2本抜いた。

その瞬間、8畳の間は白い煙に包まれ、

3人の影がロウソクの光によってゆっくりと映し出された。

 

 

「はぁぁーいっ!!

今回は、いつもの時代と違って

今の日本の基盤を作ったとされる世代の神様!!

2名に来てもらいましたYO!!イェイイェイ!!」

 

MC用の派手な服に着替えた松陰はグっとマイクを握り

右手をひろげた。

 

「それでは!まずは一人目!

日本を代表する実業家であり発明家!!

日本を家電大国にのし上げ

一代でPanasonicをバカでかくした松下ーー幸之助ーー!!」

 

煙の中から姿を現した幸之助は

ずかしそうにしながら

控えめに右手をあげ、会釈した。

 

 

「そしてそして二人目は!

日本で一番エンジニアっぽい顔!

今日もカブに乗ってきてくれました!

世界のHONDA! 本田ーー宗一郎--!!」

 

宗一郎はツルっとした頭を押さえながら

もう片方の手をあげた。

 

「はいはい、さて!

近代からの対談参戦ということで

お二方ともなんと、メガネをかけてきてくれていますけど

今日はテーマを『挑戦と成長』にしぼって

対談をしていきたいと思っています!

どうぞよろしくお願いいたします!」

 

『よろしくお願いします』(松下・本田)

 

 

「その前に松っちゃんに一つ聞きたい。

松っちゃんは、松下政経塾というのをやっていたみたいだけど

あのネーミングってどうやって決めたの?」

 

『ああ、それは、私の名字が【松下】なものですから

その名と、政治を学ぶ場を作りたかったものですから

それを合わせて松下政経塾としました』

 

その返答に納得がいかなかったのか

松陰は腕を組みながら首を傾げた。

 

「実は僕も松下村塾っていう塾をやってたんだよねぇ。

まぁ、ここなんだけど。うん、ここ。」

 

松陰は人差し指を地面にさし、

この場所で塾をやっていたことをアピールした。

 

 

『え……ええ。存じております』

 

「松下村塾と松下政経塾……

読み方は違えど、すっごい似てるよねぇ?

あれれ? これって偶然かなぁ?」

 

『え? ……あ、ええ。

いやはや、松陰先生の活躍に少しでもあやかれたらと思って

偶然にも松下と言う名字だったので、運命を感じてお名前を頂きました。』

 

幸之助は面倒くさそうに松陰と目線を合わせないようにこたえた。

 

 

「えええ!! そうなの!!?

いやーまいった! 偶然だと思ってた!

これじゃあ私が今の政治まで影響を与えるカリスマみたいだ!」

 

『そ……そうですね。ええ。松陰先生はカリスマですよ』

 

「うわぁ! やっぱり!

松下村塾と松下政経塾、あまりにもソックリだなぁ!

と思ってたんだよ! そうかそうかー。

私のことを【神】のように崇めてくれてたんだねぇ!」

 

『あの……。松陰さん。

そろそろ本題に行きましょうか』

 

宗一郎が、困る幸之助に助け船を出した。

 

 

「あっ、そうだねぇ!

えーっと……。テーマは“挑戦と成長”だって!

じゃあ宗ちゃんから現代を生きる者たちに向けてなにかあるかな?」

 

宗一郎は「オホンッ」とはらい、話し始めた。

 

『そうですね、我々が生きた時代は

“大モノづくり時代”と言われるほどモノづくりの時代でして

新しいアイデアを形にして、失敗してそこから試行錯誤する。

需要があるからモノをつくるのではなく。

我々が需要を創り出していく。

そしてドンドン新しいモノが生み出されていく。

そんな時代でしたね。』

 

「そうよね、家電だけでなく、移動が容易になったというのは

人間の中でもとても大きかったね。

私もカブ乗りたかったもの。それでそれで?」

 

 

『そして“モノづくり大国ニッポン”になっていったわけですけど

今度はモノが溢れちゃうようになった。

だって、正直なところ物質貧乏なんていないわけじゃないですか。

物質は不足するどころか、溢れているんですよ。

つまり、我々の時代のような物質ハングリーがないわけです。

じゃあ、なにが大切になってきたかというと

“モチベーション”です』

 

「モチベーションですと?

あの物事に対するやる気とか動機付けとかの?

私、あのモチベーションに頼って行動するのって

馬鹿だと思ってるんだけど」

 

 

『いえ、ここでのモチベーションは

そういう“やる気”とか“動機”とかと若干とらえ方が違って

“決意”とか“覚悟”という風なとらえ方です。

技術も大切だし、知識も大切だし、色んな大切なことはあるけど

今の時代は『うおぉぉ! 〇〇やりたいぜ!』と叫べば

色んな人がそのモチベーションについていくんですよ。

 

つまり、食料や物質に満たされたら

増えてくるのはモチベーション貧乏なのです。

だって色んなものに満たされてるわけですから。

モチベーションなんて湧いてこない。

だから、面白そうなモチベーションを見るととてつもない光になる。

みんなそこに気付くべきですね』

 

「なるほど」

 

『例えば、SNSで『私は○○をどうしてもやりたい!』と熱意を書くと

それを広めてくれる人が現れたり、

「手伝える人紹介するよ」と応援する人が現れたり、

クラウドファンディングで資金を集められることができる。

つまり、知識、経験、資金、技術、色んな大切なことはあるけど

そのモチベーションに人はついていくようになってるんですよ

「面白そうだな! 手伝うぞ!」って』

 

「例えば『あの山登りたい!』と真剣に叫べば

色んな人が知恵を貸してくれたり、道具を貸してくれたり

なんなら『一緒に登ろう!』という人が現れたりするわけね」

 

『まさにそれです! そうやってモチベーションを先頭に

色んな人が協力し合って背中を押し合う時代になったんですよ。

だからそこを理解して、自分を表現していくと

この時代はとても面白くなっていきますね

才能や能力や経験じゃない所に可能性が生まれるわけですから。

まぁ、それでも私は、油まみれになって技術者をやりますけど(笑)

自分の幸せを自分で選べる時代ですからね。

 

だから(うまくできるかな? 失敗しないかな?)という基準で

挑戦を考えるのは非常にナンセンスなんですよ。

だってうまいかどうかとかじゃなく、

ある種の覚悟に似たモチベーションに、人は集まってくるんですから

 

そんな挑戦の連続に成長があって

成長の連続に新しい挑戦がうまれる。

両輪のように同時に動いていくものだと思うのです』

 

 

「なるほどなるほど、とてもいいお話をありがとうございました。

ではつぎ、松っちゃん的にはどうかな?」

 

 

鼻をほじってはロウソクに投げ入れるという遊びをしていた幸之助は

ビクっと驚いたような顔でこたえた。

 

『宗ちゃんに完全に同意ですわ

あと、私と宗ちゃんの共通点って

圧倒的な挑戦の数と、失敗の数なんですよ』

 

「ほう、天才の松っちゃんと宗ちゃんの共通点が失敗?」

 

『はい。

よく「自分も成功したいなぁ」なんて言いながら

成功してる人や輝いてる人を羨むのって

大きなビルを眺めて「すごいなぁ」と思っているのと同じなんですよ』

 

「ん? ちょっとよくわからない。どういうこと?」

 

『成功というのは、失敗という土壌の上に作り上げられる。

大きなビルには、圧倒的に強固な土壌や基礎が存在するのです。

それに気付かずに、大きなビルだけを見て羨むのは違うんですよね。

成功というものの土壌は、その何倍もの数の失敗が支えてる』

 

「なるほど、大きな木には必ず無数の根っこが張り巡らされている

大きな花や木が成功なのだとしたら、

その下には失敗という根っこや土壌が存在するということ、同じですな

可愛くて輝いてて、イキイキ生きている人の根っこにも

同じことが言えると。」

 

『そうですね』

 

『ほかにも松っちゃんと私の共通点がありますよ』

 

宗一郎は身を乗り出し、腕をまくり上げた。

 

「ほう、どんな共通点で?」

 

『“モノづくり”の会社である前に

“ヒトづくり”の会社であったこと』

 

「ヒトづくりというと?」

 

『例えば、松っちゃんの会社も、わが社も

従業員トイレが驚くほど綺麗なんですよ。

松っちゃんは自ら掃除をして姿で語っていたし

ウチなんてライン工場のど真ん中にトイレ作りましたもん。

じゃあ臭いの嫌だから皆掃除をするんです。(笑)

そうすると、不思議なことに工場全体が綺麗になるんですよ』

 

「なるほど、これは今の時代の「効率主義」にいい釘をさせそうですな」

 

『そうですね。むしろ、効率もよくなるんですよね。

効率を上げると言うことは大切なのですが

今「効率効率!」と言ってる人は極端な気がしますね。

本質をつけていない。

 

例えば、綺麗に整理されている会社って

何かを探してる時間が圧倒的に少ないんですよ。

みんなどこに何があるかわかっているから。

でも、汚い会社は、モノを探してる時間が凄く多い。

そして探し物中に井上陽水みたいな人が必ず出てくる。

だから結局トイレ掃除をすることで、その他のことも整理され

結果的に仕事に集中できるすごい効率を生むのです』

 

 

「なるほど、確かに整理されてることによって色んなことが明確になり

今やるべきことに集中できるのかもしれませんな。

これって自分自身にも反映されているよね。

自分探しや、答え探しを永遠としてさまよってる人っているじゃない?

さまようよろいみたいな顔して。

それって、松っちゃんや宗ちゃんが言ってくれているように

現実を整理したり明確にすることで解消されるんじゃないかな?」

 

『まさにそうです。

自分探しや答え探しの大半は現実逃避ですから

 

でも、現実を明らかにして、本当に目指したい未来を明らかにする。

そうすると、まるで明かりが灯ったかのように今と未来が明るくなる。

これが「明確になる」ということ。

そうやって、明るくなると、今やるべきことが見え、

新しいチャレンジもうまれる』

 

 

「なるほどな~! いやーいい話だった!!

結局、チャレンジは失敗だったとしても

成功が積みあがるための土壌に活かされる。

 

挑戦と成長は両輪のような関係で回していく。

そして、挑戦しやすい環境を整える。

 

まとめるとそんなお話だったと思います

それでは!お二人とも、今日はどうもありがとうございました」

 

 

『いえいえ! またいつでも読んでください!

おい、松っちゃん! カブの後ろ乗れや! 帰るで!』

 

『えええ! 登場の時の煙みたいので帰れるんじゃないの?』

 

『あほう、スペシャルチューニングのカブやで。

ええから、後ろ乗れや』

 

『えええー。宗ちゃんの運転荒いからなぁ……』

 

『帰ってはなそうや! “モノづくり”の次の“時代づくり”の話を』

 

『……キモ』

 

(ブロン!!ブロロロロロッ)

 

 

宗一郎と幸之助は仲良く、空に向かってカブを走らせていった。

松陰は二本のロウソクの火を消し、しずかに語り始めた。

 

「さて、今日は完全にインタビュアーに徹してたので

わたくしの“挑戦と成長”の話を。

 

結局のところ、【ノリのよさ】で決まる。

という一言でおまとめしたい。

 

自分のモチベーションに対してのノリのよさ

誰かのモチベーションに対してのノリのよさ

決意や決断や覚悟に対してのノリのよさ

 

そんなノリが、キミの可能性を拡げていくんじゃなかろうか?

そう思うわけだ。

だってほら、わたくし、吉田松陰のやってきたことなんて

完全にノリのよさでできたわけ。

 

黒船に乗って見たかったのも、留学してみたかったのも

全部自分の志に対してのノリのよさなわけ

 

その【ノリのよさ】が可能性を拡げたんだな

それを覚えておくといい。

 

……。

 

ああ、あと。私の友人が

「超体験型のお化け屋敷をやりたい!」という言葉を

圧倒的なモチベーションで言い続けた結果

それが実現したんだ。

 

京都、木屋町にあるリアル廃校を使って

様々なミッションをこなしていく体験型お化け屋敷だ。

 

今年で一部取り壊しが決定している正真正銘のリアル廃校だから

今回で最初で最後だ。めちゃくちゃ楽しいと聞いている。

よかったらノリのよさで行ってみるといいぞ

 

京都木屋町リアル廃校お化け屋敷

 

あのめしょん氏も、企画に携わってるらしいから

開催期間中はいるかもしれないという情報だ。

ぜひ、楽しんでくるといい」

 

 

そう言って、松陰は最後のロウソクの火を消した。

8畳の間には、うっすらと煙だけが残った。

 

虫たちは一斉に求愛の声をあげ

月が未来を照らしていた。

 

キミの未来を照らすように。

 

 

 

-神々達の対談-

 

 

<過去の神々達の対談を見る>

神々達の対談1 <ゲスト>秀吉・シャネル・聖徳太子・孔子

神々達の対談2 <ゲスト>劉備玄徳・土方歳三

神々達の対談3 <ゲスト>オードリー・ヘプバーン

神々達の対談4 <ゲスト>西郷隆盛

 

 

 

*全国の本屋さんで絶賛発売中*

 

本当にいい本です。一生モノだと思います♪

 

 

プレゼント本としても定着してきてると噂の
めしょ本♡手に入れてね♪

 

 

最高の自分の人生の教科書!!

という声がめちゃくちゃあがっているDVDです。

ONE OF THE MOVIE DVDはコチラ

 

 

美言1275『自分の心に乗れよ』



書籍化が熱望されまくってるかわいいLINEキャラクター満載の

めしょん公式LINE@友だち追加しよう♪
友だち追加数

 

 

皆様のおかげで2500名突破♪無料メルマガ 読むと可愛くならずにはいられない!アナタも30日でかわいくなる方法
メルマガ登録はコチラから♪


ワタシのフェイスブックはコチラから

ワタシのtwitterはコチラから