永い言い訳 | カツヤハダオカ映画ブログ
永い言い訳 2016年 日本
 ★★★★★★★★★☆ 9点
 文句無し!完璧な映画なのでは?

スタッフキャスト
 監督/原作/脚本:西川美和
 企画協力:是枝裕和、分福
 挿入歌:手島葵
 撮影:山崎祐、編集:宮島竜治
 出演:本木雅弘、竹原ピストル
   藤田健心、白鳥玉季、堀内敬子、池松壮亮、黒木華
   山田真歩、深津絵里
   松岡依都美、岩井秀人、康すおん、戸次重幸
   淵上泰史、ジジ・ぶぅ、小林勝也
   木村多江(声のみ)、マキタ・スポール(声のみ)

感想
 西川美和監督作はゆれる、夢売るふたりを観てます。
 ゆれるの香川照之のラストにシビれた一人です。

 永い言い訳はとても良い映画でした!
 完璧系の映画!傑作!
 なんて言うんですかね、
 特に何も起きないのに(色々起きてるんですけど、)
 ずーっと画面に引きつけられるこの感じ、子役の感じに、
 是枝裕和作品のエッセンスを非常に感じました。

 なんであんなにも画面にひきつけられるのだろうか?
 他の映画と何がどうちがうのだろうか?
 一つは情報が過剰でなく、観客が能動的に
 読み込んでいくような映像になってるからなのかな?
 とも思うのですが、その映像ってどうやって作るのだろう。
 前作の夢売るふたりでは是枝裕和的な
 何も起きていないのにひきつけられるような
 抑制した画面ではなかったので、
 今作から西川美和ネクストレベル
 来たような気がします。

↓葬儀が終わり淡々と車に乗って鏡を見て前髪をなおすような
 演出の積み重ねによって
 ひきつけられる映像になってるのかなー。

 西川美和の作家性として、
 家族の崩壊と嘘というものを描いている。

 今作の子役の境遇が是枝監督の誰も知らないと
 少し似ているので、
 そこでも是枝監督を思い出したり。
 主人公の本木雅弘のギリギリ憎めないダメ男感も良かった。
 ここも重ね重ねになりますが、
 是枝監督の最新作海よりもまだ深く
 阿部寛のギリギリ憎めないダメ男感も似ている。
↓もっくんのこの泣きそうな猫みたいな顔最高!

 主人公の名前を衣笠幸夫にするに当たって、
 衣笠祥雄に許可を取るために連絡したところ、
 快諾され「限りなき挑戦」というサイン色紙を
 もらったとの事!
 さすが衣笠祥雄!聖人!
 なぜ衣笠祥雄と同姓同名なのか?
 という部分ははちごろうさんの永い言い訳評が
 非常に素晴らしくて勉強になりました。

 ちょっとしか出ないのに印象的な深津絵里力も凄い。

 黒木華はいつも良い映画に出てる印象!
 黒木華が出てる映画は全部良い映画説!

 竹原ピストルさんはトラックドライバーにしか見えない。
 竹原ピストルさんがちょいちょい怖いんですよね。
「初めて会ったのにそんなこと言うんだ」とか、
 お酒のビン(だったかな)を持って帰ってきた瞬間とか
 怒ってるの?風に見えて超怖かった。
 そんな怖さ、野性味とともに人懐っこさも持ってる。
 怖いそうにみえて寂しがりやで人懐っこい人
 って結構いますよね。
 竹原ピストルは海炭市叙景に出てるとの事!

 お父さんみたいにはなりたくない!と言ってからの、
 お父さんに酷い事言っちゃった。というシーンで涙。
 自分もお父さんみたいになりたくないと
 思って育ったのもあってか泣いてしまいました。

 自分の稚拙な文章であれこれ書きたくない。
 とにかく観て感じて欲しい!という映画でした!
 今年の邦画の最重要作のひとつ
 なのは間違いない。オススメ!

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 妻が死んだ。
 これっぽっちも泣けなかった。
 そこから愛しはじめた。