何者 | カツヤハダオカ映画ブログ
何者 2016年 日本
 ★★★★★★★☆☆☆ 7点
 就活の話ではなく普遍的な話。

スタッフキャスト
 監督/脚本:三浦大輔
 原作:朝井リョウ
 製作:市川南、企画/プロデュース:川村元気
 衣装:伊賀大介
 音楽/主題歌:中田ヤスタカ
 撮影:相馬大輔、編集:穂垣順之助
 出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ
   菅田将暉、岡田将生、山田孝之

感想
 予告の出来が今年ベスト。
 それに加えて、原作者が日本映画史に残る傑作
 桐島、部活やめるってよの朝井リョウ
 主題歌NANIMONOも最高ということで、
 期待して観に行きました。
 就活の映画のコピーが
 人として誰が一番価値があるのか?
 青春が終わる。人生が始まるというのが超良い!

 はじめに桐島との共通点としては、
 両作品とも主題歌が良く、
 主人公と仲の良かった友人の顔が映らない。
 両作品とも群像劇的に描かれるからか、 
 観た後に友人と話したくなる。
 桐島なら高校生の時どんな感じだったか、
 今作なら就活ひいては大学生がどうだったか。
 という部分があげられる。

 菅田将暉が言う、
 内定をもらうと自分が肯定された感じ
 というのは凄く分かるし、
 その裏返しとして、
 面接に落ち続けたり無職だと
 社会から自分は不要な存在なのでは?

 と感じるんですよね。

 この映画で描かれるような就活はしたことはないけれど、
 個人的にも感じたことのある社会から不要な存在なのでは?
 というそのことを思い返すと、
 内定もらえない組があんな風になるのも無理はないと思える。
 あんな風にすることで自分を守っているんだと思う。

 佐藤健演じる拓人は
 他人を上から見下して笑う事でしか、
 自分を保てなくなっていた。

 他人を上から目線で笑うくせに
 自分はがむしゃらに頑張る事は出来ない。

 おそらくはやれば出来ると本人は思っているけど
 がむしゃらに頑張れない。

 というのは結構自分の過去に思い当たる部分で
 社会から不要な存在なのでは?という部分と合わせて、
 
これは俺映画かも!と少し心に刺さりました。
 SNSで自分もイタいと思っている人を笑ってますからね。
 ただ自分もこんな誰も読まない映画の感想あげてと
 笑われてますよきっと。

 拓人があれほどギンジと岡田将生に嫌悪感を抱くのは、
 そこに自分自身を観てしまうから。
 だからこそあれほどまでに嫌悪する。
 ギンジはありえたかもしれない自分の姿でもあるから。

 この映画で描かれる今の就活×SNSは辛いだろうなー。
 明かされるTwitterの裏アカウントの名前が、
何者というのがまたせつない。
 青春というモラトリアムが終わり、
 社会へ一歩踏み出す前に、
 いったい自分は何者なんだろうか?
 という自問自答があらわれてる。

 とても良かったのですが、
 終盤の佐藤健と二階堂ふみがお互いのPCと携帯を
 見合うクライマックスまでは
 ちょっと物足りなかった。

 ただそこから明かされる佐藤健演じる拓人のもう一つの顔、
 それを舞台で見せる演出、ラストシーンは凄く良かった。

 ラストに中田ヤスタカ×米津玄師のNANIMONOがかかり、
 ビルから出て行く佐藤健を背中から映すショットは
 とても良かった。
 まさにそこがコピーにある
 青春が終わる。人生が始まるその時。

 主題歌NANIMONOと青春が終わる。人生が始まる。
 の予告の出来がとにかく良く、
 原作者は桐島、部活やめるってよの朝井リョウと、
 とにかく期待が高まってたからなのか、
 ちょっと物足りないなというのは正直な感想でした。
 ただ桐島同様心に刺さっている人多数ということで、
 心に刺さった方がうらやましい。

 二階堂ふみが自分の海外での中身のない
 経歴だけを喋るところヤバかった。
 二階堂ふみと岡田将生の付き合ってない感もヤバかった。

 付き合った期間について二階堂ふみが三週間なのに、
 一ヶ月と言ったり、返さなきゃいけないメールあるから
 アピールもヤバかった。 

 菅田将暉良かったです。

 NANIMONOの曲自体が凄く良いし
 歌詞が映画にリンクして良い。

 面接と実存主義と劇中の佐藤健が
 歌詞に反映されている。
 歌詞の「下手糞でも迎え遠く向こうへ」というのは、
 人のことを上から目線で笑うんじゃなくて
 自分でがむしゃらに頑張れよ!
 という劇中の部分とリンクする。

 こう色々思い返して書いてると、
 観た食後より、良い映画だったなという
 気持ちが高まってもきました。
(NANIMONO聴いてるからかな。)

 原作者の朝井リョウは何者を書いたのは
Twitterの嘘臭さと就活が似ていると思ったから。」
 と語っている。

コピー
 人として誰が一番価値があるのか。

 青春が終わる。人生が始まる