貧困強制社会 vs 成りあがりタイミーさん伝説 | katoo the world

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お笑い系デスメタルバンドFUJIYAMA、世界の大統領かとぅのブログ

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現代の日本は非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのはいったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。

日雇い仕事で食いつなぐ男性(51歳)はもうすっかり「タイミーさん」の呼び名に慣れてしまった。どの職場でも自分の名前を呼ばれることはほとんどない。最初は驚いたが、今はただ「私の存在はAさんでも、Bさんでも、なんでもいいんだな」と思うだけだ。

「タイミーさん」とは、「Timee(タイミー)」というバイトマッチングアプリからくる呼び名である。地方都市で暮らすユウジさんがアプリに頼る理由は「すぐに給料が入るから」。たしかにアプリの公式サイトには「24時間・365日いつでも銀行口座へ報酬を振り込むことが可能です」との旨が書かれている。バイトが終わり、スマホ画面の「振り込み申請」をタップすると、10分もたたずにATMから現金を引き出すことができるという。
「即日振り込み」どころか「即時振り込み」である。

世界の大統領たるこの私かとぅとして、現在の日本に於ける就労問題は実に根深い問題と感じる。

物価高騰が騒がれる昨今ではあるが、ここ30年に及ぶデフレは「正社員として働かなくても生きて行ける社会」を確立し、非正規雇用の拡大により、結果的に所得格差が急速に広がっている。

マクドナルドのハンバーガーはかつての100円から今年170円に値上がりし、2001年に280円だった吉野家の牛丼並盛は、2023年10月468円に値上げとなった。

遅きに失したデフレ対策ではあるが、労働賃金引上げが具体化しているのは評価出来ると言えよう。

しかしそんな正論の裏で、経済的自立や恋愛もせず、結婚など夢のまた夢。
日々を浪費し、死ぬまで生きると言う絶望的な生活を送る方々がいる。

特に親に依存し、ひきこもりを続ける者も年々増加し、2022年11月の内閣府アンケート調査では、15歳から64歳までの年齢層の、実に2%余りにあたる推計146万人がひきこもりである事が分かった。

私も脱ひきこもり支援を行う身ではあり、改善へのフォローを行っているが、彼等の語るひきこもりになった主な理由の1つとして、およそ5人に1人が「新型コロナウイルスの流行」をあげ、コロナ禍での社会環境の変化が背景にある事を伺わせている。

自身の心身の不調や、個人的な外的要因が理由であれば改善の糸口も見出せるモノだが、「新型コロナウイルスの流行」を理由にされてしまっては、さしもの世界の大統領たるこの私かとぅに至っても最早打つ手は無いし、「ジャアイイデス~」とお暇する次第だ。

「新型コロナウイルスの流行」を理由にひきこもりを続けると言うならば、もう何をしても無理だし、コロナ感染でもしたら何を言われるか分かったモノでは無い訳で、まあ逃げられる所まで逃げれば良い。

この様な者に、私は一切の関わりを持たない。

とは言え、そんなひきこもりが50代にもなると、必然的にその親は80代近くになり、場合によっては亡くなり年金支給も止まる。

要するに30年近く社会と断絶していた者が、いきなり社会に放流される事となるのだ。
そしてソレは現実の日本に於いて、溜まり溜まった膿が噴き出すギリギリのラインに来ていると実感する。

正直、吹き出した膿を受け止める気は更々無いので、我が社に於いては先ずは書類選考とさせて頂く。
また、応募書類は返却せず、弊社にて適切に処理させて頂きます事をご了承下さい。

人権を求めるへずまりゅう vs 世界人事総責任者かとぅからの提言
https://ameblo.jp/katoo-the-world/entry-12820412019.html

さて今回、「タイミーさん」と呼ばれる短時間バイトについての報告を拝見して、実に複雑な想いを抱えている。

実はこの私かとぅ、永年に渡り、労働者の就業支援を行って来たのだが、当初「Timee(タイミー)」の仕組みを拝見して感嘆した。

橋本環奈がモデルを務めるCMでは、急に予定の無くなった橋本環奈が、空いた数時間を活かし飲食店で働くと言うモノ。

労働者にとっても、雇用側にとっても、双方にメリットしかないサービスとして注目していたのだ。

ただ、気になったのが応募資格についてである。
CMを拝見する限りでは、詳細な業務説明や研修など皆無に見えるし、2時間勤務希望の応募者に対して仮にあったとしても数分の説明のみであろう。

飲食店などのサービス業では、どの様なオペレーションでも柔軟に対応出来る即戦力以上のスキルが求められる訳で、実際には仕分けや工場内作業と言ったマンパワーバイトの募集が中心であろう。

言い方は悪いが、誰でも出来る業務に対して、出来るだけ単金を落としたい企業からすれば、学生が隙間時間に行う「Timee」のスキームは願ったり叶ったりである。

「即日振り込み」どころか「即時振り込み」と言うのも、「金絡みは後腐れ無く」との意思が感じられて、実にドライだ。

だが、それによって是迄活用されて来た派遣社員や定期バイト人材の食い扶持は確実に失われて行く。
中長期的に勤務するとなると、賃上げも発生するし、8時間雇用も無駄時間になっているケースも有るだろうから、マンパワーを求める企業であれば「Timee」はベストマッチングと言えよう。

そんな労働環境に於いて、「タイミーさん」と呼ばれる事に「私の存在はAさんでも、Bさんでも、なんでもいいんだな」などと違和感を感じなくなっている、日雇い仕事で食い繋ぐ51歳男性の独白がリアルだ。

「あいさつをしても無視されることがほとんど。狭い通路をすれ違うときもよけたりしてくれません。『どうせ単発バイトで来るような落ちぶれた人間』と、見下されているように感じます」

「私だって、名前も覚えてもらえないような仕事がいいだなんて思ってません。でもそれが私の命綱なんです。惨めだし、屈辱的です。だから毎日、神さまにお願いしてますよ。『頼むからもう殺してくれ』って」

…死ぬまで生きる。
ソレが如何に大変な事なのか、男性の独白はとても他人事には感じられない。

貧困から抜け出せない理由について、タイミーさんは「男性性の強い社会が問題だと思います」と答えたと言う。

当の男性が言っているので、この言葉は実にリアルに感じるのだが、だからと言ってこの男性社会問題の解決に、何をどうすれば良いと言うのか?

この辺りの自身の課題に向き合わない他人転嫁こそが、抜け出せない「貧困強制社会」の主因に感じてならない。

問題を先延ばしにしても何も変わりはしないし、先ずは問題の原因を自分に置き換える事が第一である。

私からアドバイス出来るとしたら、自分で「タイミーさん」と名札を付け、割り切って活き活きと働いてみたらどうだろうか?

頑張る「タイミーさん」と認識されれば、「ウチの店で腰据えてやってみねーか」とか言ってくれる大将もいるかも知れないし、仮にいなかったとしても「貧困強制社会」に於いてはソレが普通なのだから、後は上がるのみである。

かとぅ