涙の分だけ墜ちてゆく -3ページ目

逮捕!?

「はぁ~?何、怒ってんのォ~?バカじゃないのぉ~?あたしがナイフ見せて脅かそうとしたら勝手に刺さってきたんだょ!あいつドジだからぁ~」

エッコが、ふてぶてしい態度で言った。

恵美をやったのはやっぱりこのバカ女か!

あたしはエッコの前にツカツカと向かっていき
「お前は死ね!」

バッツン!!!

うぐわおぁぁぁー!!

顔面にチョーパン(頭突き)をブチ込んでやった。

力の加減なんかするわけもなく怒りと憎しみを120%込めた渾身の一発…

ぐぢゃ!

変な音が頭蓋骨を通して聞こえて来たけど、そんな事お構いなしでエッコの後頭部に片腕を回して、逃げれないように抱き込んで、

バツン!バツン!バツン!バツン!

あたし自身の額も割れて血が流れ始めたけど、それでも何度も何度もチョーパンを入れ続けた。

真弓や周りの奴らの事は見ていなかったけど、攻撃の妨害にならなかった事を思うと、鬼気迫るあたしを見てドン引きしちゃって固まっていたのかも知れない。
エッコの後頭部に回した手に重みがかかり、それに耐えきれず手を話すとエッコは気を失いそのまま倒れ込んだ。

その時エッコはテーブルの角で側頭部を打ち血が吹き出た。

顔も鼻が曲がり、目の下を切り、血まみれで酷い事になっている。

「…おかしいょ」

真弓が真っ青な顔して言った。

「ライナ…おかしいょ…いくら揉めてたからって普通ここまでする?普通じゃないょ…」

その言葉を背中で聞きながら、さっきありったけのタマを飲み込んだトイレに戻ってハンカチタオルを濡らして額にあてた。

血が止まるまで何度か繰り返していると、カラオケ店のスタッフが何人かトイレの前まで来た。

「この子です!」

真弓の声に振り向くと、

「傷害事件で警察に通報したからおとなしくしていてね。暴れたら罪が重たくなるからね」

カラオケ店の店長らしき人にそう言われた。

(逮捕!?あたしが?)

それがどんな事なのかも漠然としかわからずに、ただあたしは呆然としていた。

「16時25分、緊急逮捕、罪名は傷害!」

刑事部長がそう言うと、若い刑事さんがあたしに手錠をかけた。

恵美は大丈夫だったのだろうか…

あたしを乗せたパトカーは繁華街の人ごみを掻き分けクラクションを鳴らし中警察署に向かった。

リアルファイト(-"-)

慌てて走り去っていくエッコ達の後ろ姿…

その場でうずくまる恵美…

怪訝な表情で見つめている傍観者たち…

!!!!( ̄□ ̄;)!!!!

「恵美ッ~!!!」

駆け寄ると恵美は、下腹部を手で押さえていて、押さえた手の指の隙間から血が流れていた。

「恵美ー!大丈夫ー!?」

恵美は痛そうにお腹を押さえながら、ウンウン頷きながら、

「お腹が…痛い…熱…いょ…」と言った。

「すぐに救急車呼ぶからー!しゃべっちゃダメー!動かないでジッとしててー!」

あたしもかなり動転していたのか、救急車を呼ぶつもりが警察にかけてしまった。

あたしの尋常じゃない雰囲気も伝わってか、電話に出た警察の人は親切迅速な対応で救急車を手配してくれた。

「恵美~もうすぐ救急車来るから~もう少し頑張ってねー」

「…大丈夫だょ…大して深い傷じゃ…ないと思う…から…」

泣きじゃくるあたしを安心させようとして恵美はそれだけ言うと、また痛そうに眉をしかめて口を閉ざした。


救急車で病院に運ばれた恵美を見送った、あたしはアル場所に向かっていた。

本当は心配だったから恵美についていたかったけど、病院には、恵美の親や先生や警察も来るだろうし、恵美を刺した相手が大人達に裁かれる前にあたしがケジメつけなきゃって思った。

エッコ達が、栄のオンチッチというカラオケ店にいる事はすぐに突き止めれた。

(恵美を傷つけといて呑気にカラオケかょ!フザけやがって!)

ブッ殺してやる!
ブッ殺してやる!
ブッ殺してやる!


頭の中で、何度も何度も繰り返し叫んだ。

カラオケ店に行くと、エッコ達が入っている部屋もわかった。

あたしはカラオケ店のトイレの中で持っていたタマを全部飲み込んだ。

多分、8錠くらいあったと思う。

さっきゲーセンでやったバーチャファイターの続きを頭の中でイメージしながら、トイレの鏡に映る自分の顔を見ると瞳孔がパッキリ開いてハンニャのような顔に見えた。

ファイティングポーズをとってみた。

誰にも負ける気がしないくらい身体の内側からパワーがみなぎってくる。

「おらぁ~!恵美やったのぁ~誰だぁ~!!!」

カラオケルームのドアを足で蹴り上げて乗り込み、あたしは怒鳴りつけた。

リアルファイトのゴングが鳴った。

金山駅で…

エッコと真弓の他にも中京女子の制服を着た数人のギャルっぽい女子高生がいた。

あたしは瞬時にして戦闘モードになったのか目つきも表情も一変したようで、それに気付いた恵美が、


「ライナ駄目!今、問題起こしたらライナが不利になるから!」

と言った。

(駄目と言われたって向こうはヤル気マンマンみたいだし、ヤラれる前にヤンなきゃ!)

心の中では、そう思ったけど何だか今日は、恵美に対して意見を言わない自分でいたい気がして口に出来なかった。


「おい!チンコロライナ~!コッチ来いよコノヤロ~!」

ギロッと睨んでやる。

「はぁ~!?何だぁ~そのツラァ~?」

「フザけんなょ!てめぇ!」

「覚悟しろょコノヤロ~!」

それぞれが、口々に言いながらこっちに向かって歩いてきた。

「恵美は関係ないから帰って!」

あたしが恵美に言うと、

「こんなライナ残して帰れるワケないぢゃん!ライナ一人残して逃げ帰るくらいなら死んだ方がましだょ!」

ニコッと笑って、

「話ししてくるから挑発に乗っちゃダメだよ!」

「あんたまたクスリやってんぢゃね~の?」

真弓が言うと、

「あ~本当だぁ~チャッテルキ~になってるょ!」

「みなさ~ん!この女クスリやってますょ~!」

あはははははははは

恵美がエッコの所まで行ってなんか話しているけど、内容はよく聞こえない。

時々、大きい声を出すエッコや中京女子の奴らの声が聞こえるだけ…

「てめぇもグルだろ!」

「どうしてくれんだょ!」

胸が痛くて見ていられなくなって、あたしは耳を塞いでしゃがみこんでしまった。



バカ!やり過ぎだょ!

ヤバイょ!早くフケよう~!


真弓達の声が聞こえ、バタバタと去って行く複数の足音が…

ゆっくり振り向くと…