組手や試合にはルールがあります。
フルコンタクト空手のルールは、突き蹴りを本気で当てる直接打撃制とも呼ばれるルールですが、
・顔(首から上)への突きは禁止(蹴りは可)
・金的や背中への攻撃は禁止
・掴みや投げ禁止
等のルールがあります。
なぜこのようなルールが設けられるのかと言いますと
「危ないから」
が主たる理由です。
ルールを設定する事で、誰もが安全に競い合う事ができます。
もし安全なルールで無ければ、組手や試合の都度に怪我人が続出します。
「競い合い」ではなく「潰し合い」になってしまいますね。
なので、組手や試合に於けるルール設定は大切で、実践者はルールを厳守する必要があります。
対して、日常生活の中で、突発的に起きる可能性がある暴行事件。
暴漢は、
・顔を殴ってくる
・掴みかかってくる
・物を持って叩いてくる
等の行為をする可能性があります。
凶悪事件ともなると、凶器を使ってくる可能性もありますし、複数いるかも知れません。
誰しも暴行事件、凶悪事件に巻き込まれる可能性があります。
そこで、万一起こるかも知れない暴力に対して
「身を守れる技術(護身術)」
を空手に求める場合があります。
しかし暴漢の行為とフルコンタクト空手ルールを確認しましょう。
暴漢の行為:フルコンタクト空手ルール
顔を殴ってくる:反則
掴みかかってくる:反則
物を持って叩いてくる:反則
暴漢の行為は、フルコンタクト空手ルールでは全て反則です。
もし組手や試合で対戦相手が、いきなり顔を殴ってきたり、掴みかかってくれば、審判はストップし、相手が反則となり、こちらは勝ちです。
言うならば審判が守ってくれる訳です。
しかし暴行事件には審判はいません。
暴漢側にルールの概念がありません。
よって、逃げるか、逃げる事ができなければ自分の身は自分で守らなければならない訳ですが、フルコンタクト空手ルールの練習だけでは、ルールで反則となる行為に対して対処法は学べません。
また、試合の勝負論通りに、
「先手必勝!」
「攻撃あるのみ!」
で暴漢をボコボコにしたとしましょう。
その暴漢が凶悪犯人なら良いのですが、酔っ払いが絡んできた程度でボコボコにしたら、
「過剰防衛」
となり、こちらが罪に問われます。
つまり「組手や試合の技術」と「護身術の技術」は大きく異なるのです。
しかし、空手の稽古に護身術の練習も取り入れると、組手や試合に勝ちづらくなります。
当たり前です。
組手や試合に勝つ為に必要な練習時間が減らし、全く別な練習に時間を割ている訳ですから。
また逆に、空手に護身術的な要素を全く求めていない人もいます。
以前、顔を殴られた時に無反応では武道として宜しくないという趣旨で、
「今日は顔へのパンチを寸止めにして、顔面パンチ有りを想定した組手をしましょう」
と促した際、(何でこんな事しなければならないだ?)というようなリアクションの人や、何度も顔面前に拳を寸止めしても、何のリアクションもしない人が一定数いました。
こんな風に書くと、まるでそれらの人が悪いと言っているように聞こえるかも知れませんが、違うのです。
例えるなら、サッカーの練習中、指導者が、
「今日は手でボールを持っても良いルールしよう」
と言い出したら、頭がおかしいと思うでしょう。
私でも思います。
フルコンタクト空手を学んでいる人に、顔面パンチの練習をさせる事は、それぐらい違和感を感じさせてしまう場合があるのかもしれません。
つまり、空手に護身術を求める人と、全く求めていない人がいるのです。
ではどうしたら良いのか?
私が主催する川嶋塾では稽古内容によって教室やクラスを分けるようにしました。
スポーツ的に空手を学びたい方は川嶋空手教室(三鷹・武蔵野)
護身術的に空手を学びたい方はBUDO-STATION(日暮里)
個人のニーズに特化した出張レッスン
企業や法人のニーズに合わせた出張講義
このように分ける事で、各々のニーズに合った空手を学べるようにしました。
空手には色んなスタイルがあります。
どんなスタイルの空手も素晴らしいのですが、
「自分はどんな空手を学びたいのか?」
「自分が習う空手では、学びたい事を学べているのか?」
は理解しておくことをお勧めします。
LINE公式アカウント登録者募集中〈DVDの一部が無料視聴できます〉
https://lin.ee/vVzb6cz
川嶋塾ホームページ(上級者向け)
川嶋空手教室(初級者向け)
https://karate.kawashimayu.com/
動画チャンネル(空手や武術やコアな情報を発信中)
https://www.youtube.com/channel/UC1SKpkLky1mYmwFACEJb1sA
著作・DVD一覧(新作順)