#705 【マニアな一基】 東電PG大宮線7号 ~V吊懸垂型引き下ろし鉄塔~ | 関東土木保安協会

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送電線を地中分岐させている鉄塔、所謂引き下ろし鉄塔ですが、さいたま市にあるこの鉄塔はなかなか珍しい鉄塔でしたので、行ってみました。
 
 
鉄塔は埼玉県さいたま市立浦和高等学校の北にあります。
大宮線No.7鉄塔です。
大宮線と言えばこないだ国内黎明期の美化鉄塔として取り上げた彼らです。

そんな大宮線ですが、このNo.7は引き下ろし鉄塔なのに懸垂型からそのまま鉄構に引き下ろししてるのです。
遠目でみる彼がこちらです。だいぶ見慣れない姿です。
V吊懸垂で脇に長幹が生えてます。なんだこれは。。
 
▲懸垂型で引き下ろし

鉄塔の下に来ました。
住宅街の広くはない敷地に、鉄塔と地中引き込みの鉄構が設置してありました。
本当にV吊懸垂型で3相2回線引き下ろしてます、、凄い。
やってることは普通なんですが、この見慣れない違和感が凄いのです。
普通は腕金の長さと向きを変えたりした耐張型になるかと思います。

▲大宮線No.7(1968/4,29m)
 
ジャンパは開放されており、ここからの引き込み線は現在は通常使用していない送電線のようです。
腕金の先端になにやら増設されています。 
 
▲上部拡大
 
腕金先端には引き下ろし線の碍子の支持ができるようブラケットが増設されていました。
よくみると、丁寧に各方向へ張り出しています。
上相は線路方向奥へ、中相は線路方向とは垂直方向に、下相は僅かに線路方向手前に伸びています。
こんな僅かながら、ちゃんと相間離隔を考慮した改造がされているんですね。

▲先端にブラケットを増設
 
鉄塔は他の鉄塔と同時期のプレートで、この頃から建替はされていないようです。  
 
▲当時から建替していないようだ
 
住宅地内ですが、多少起伏がある土地を均して造成したのでしょう。
鉄塔敷地内はやたらと急な傾斜が残っていました。
 
▲ずいぶんと急な斜面に建っている

ところでこの引き込み線、初めは需要家向けの送電線かと思ったのですが、普通に送電線間を連絡する送電線でした。
大宮木崎線といい、木崎線の鉄塔まで繋がっているようです。
 
▲ジャンパー開放されたケーブルヘッド

送電線間を連絡する場合、○○連絡線などついている場合もありますが、ここは大宮線と木崎線を結ぶという二つの名前を冠したそのままの名称でした。
 
▲大宮線と木崎線を結ぶ 

この送電線の反対側のケーブルヘッドも見に行こうということで、行ってみました。
すぐそばの木崎変電所内にある木崎線No.1がそれでした。
変電所敷地内に引き下ろし鉄塔が建っていました。
 
▲木崎変電所内の木崎線No.1

スリムな腕金に引き下ろし設備で、ケーブルヘッド側に2方向に分岐できる少し大きめな腕金が設けられていました。
こちらでも、大宮木崎線側のジャンパは開放でした。
 
▲大宮木崎線はここでも開放だ
 
送電線としては現在通電していないのでしょうが、不要設備であれば撤去されてしまうでしょうし、工事や点検などで系統切替で使用したりするため残しているものと思います。
今のところは、V吊懸垂の引き下ろし鉄塔は拝み続けられそうです。